ソチ五輪男女スロープスタイル

女子スロープスタイルは予選決勝ともに、テレビで見た。
男子スロープスタイルは決勝のみ、ネット中継で見た。
テレビの場合、日本の放送局が流しているので日本語の実況解説がつくが、ネット中継はそうではなく、元々の映像がそのまま配信されているので、ノーカットな代わりに日本語の実況解説は全くなかった。さらにいえば、映像そのものにも実況はなく、会場で流れているMCが聞こえてくる程度であった。
スノーボードは男子だけ見た→ソチ五輪男子スノーボードスロープスタイル - Togetter
女子SSのあとに、某SNS向けに書いたスロープスタイル解説を一部引用してみる。

  • 大雑把な採点基準

まあ、なんというかスロープスタイルの採点って、女子見ててもあんまりよく分かりませんでした。あまり点数そのものも見てなかったけど。
ただ、解説の三浦豪太が言っていたことなど含めて、こんな感じ
コース全体の流れが大事
多彩さや新しさが大事
→「ワオファクター」といって、オーディエンスを驚かせること
まあ、何が新しいかは普段から見てないと分からないのでとりあえず無視するとして、
多彩さについて
あとで紹介するけれど、コース上にキッカーが3つある。
この3つそれぞれで別のトリック(技)を決めることが望ましいとされている。
これまたあとで解説するけど、エアには回転回数、回転の向き、回転軸の方向、グラブといった要素があってこれらを、それぞれのキッカーでそれぞれ

変えてくるといいということ。
例えば540を2回連続でやるとしても、同じ向きで回転するよりも、レフトとライトを混ぜた方がいい、と。

  • ソチのコース紹介

ソチのコースは、6つのセクションに分かれていると言える。
だから、選手はスタートからゴールまでのあいだに6つトリックを行うことになる。
前半3つがジブエリア、後半3つがキッカーエリア。
ソチのコースの最初のジブでは、レールが4つくらい並んでいるのだけど、その間にちゃんと階段も設置されていてなんか芸が細かい
真ん中のレールは、ガードレールみたいなのを飛び越えないと乗れないようになっていたりする。
2つ目のエリアは、なんか沢山あって何々があるのか把握できていないけど、ボックスやキンクレール、太めのレールなどがあったはず。
3つ目のエリアは、真ん中にマトリョーシカが置いてある、今大会独特のエリア。
マトリョーシカの両サイドには、ボックスとキャノンレールがそれぞれ設置されている。ここにあるボックスやキャノンレールというのは、先端が空中に突き出していて、そこから飛び降りる格好となる。
また、このエリア、キャノンレールのさらに隣には、普通のキッカーも設置されている。
女子スキーでは、こちらのキッカーを選択する選手もわりといた。一方、マトリョーシカを使う選手はいなかった。
男子スノーボードでは、マトリョーシカを使う選手も結構いた。タップといって、上空を通過しつつ板で軽く触れていくというトリックを見せていた。
キッカーも3つ設置されていて、あとになるほど大きくなっていく。
最初のキッカーは、大小どちらかを選ぶことが可能になっている。
3つそれぞれのキッカーに名前がついているらしいのだけど、忘れましたw
ソチのコースの特徴として、三浦豪太が言っていたこととしては、2番目のキッカーと3番目のキッカーのあいだ(トランジション)が短いということです。
このため、2番目のキッカーで失敗すると減速してしまって3番目のキッカーを飛ぶことができなくなってしまいます。
一方、着地についてスイートスポットというものが設定されているらしいです。ここらへんに着地するのがよい、というのが設定されているらしく、飛ぶ高さや距離が小さいのもよくないけど、飛びすぎるのもいけないらしいです。スイートスポットは、青でペイントされています。
また、高さがでないとキッカーの平らなところに着地してしまうことを、ノール落ちと呼ぶらしいです。スイートスポットというのは、キッカーの下り坂になっている部分で、ここに着地すると衝撃を逃がすことができるわけですが、ノール落ちすると衝撃をもろに食らってしまって危ないです。
実際、女子スキーの方では、ノール落ちして派手に転倒した選手が何人もいました。

  • トリック紹介
    • ジブ

ジブの上で回転する、ジブから降りる時に回転するなどがあります。
ジブから降りる時に、例えば270°回転すると、270(ツーセブンティ)アウトと呼ばれます。
エアの場合、180の倍数の回転数しか存在しないわけですが、ジブの場合、横向きで滑ってから降りるので90の倍数になるわけですね。
ちなみに、270アウトするとスイッチ(後ろ向き)になって次のアイテムへ入ることになります。
ジブに乗りながら回転する場合、ジブに乗った時の回転と同じ方向へ回転するとチェンジ、逆方向へ回転するとプレッツェルというそうです。
プレッツェルはマジオシャレ
それから、フィフティフィフティといって、横向きにならず、前向きのまま乗る技もあります。女子スキーでキャノンレールでやってる選手がいました。幅の狭いところに、前向きで乗るってのはすごいことだなと思います。

    • エア
      • 回転方向、

右に回ればライトサイド、左に回ればレフトサイドになります。既に述べたとおり、これを交互にやる方が点数が出る、と。
解説の三浦豪太曰く、自分は左回転でしかできないので、これを交互にどちらもできるというのは本当にすごい、と。
ちなみに、スノーボードだとこれが、バックサイドとフロントサイドということになるようです。

      • 回転軸の向き

横回転しながら回転軸を傾けて回るのが、コークスクリュー(普通コークと略してますが)
頭の方が足よりも下になると、Dスピンとなるようですが、少なくとも女子スキースロープスタイルでは見ませんでした。モーグルでは男子でも女子でも時折見かけましたが。
スロープスタイルだと、キッカーでかいせいなのか、普通に横回転しててもコーク気味になっているのを見かけました。
前方に向かって縦回転しつつ横に回すとミスティになります。
逆に、後方に向かって縦回転しつつ横に回すのがロデオ、だと思っているんですが、Wikipediaを見るにこれはフラットスピンなのかも。横方向に縦回転するのがロデオ?

      • グラブ

手で板を掴むことです。
セーフティグラブ=掴む手と同じ側の板を掴むこと
ミュートグラブ=掴む手と反対側の板を掴むこと。つまり、腕と脚が交差(ミュート)します。
ジャパングラブ=後ろ側から腕を回すミュートグラブ。
テールグラブ=板のテール(後端)をグラブ。
ノーズグラブ=板の先端をグラブ。
トラックドライバー=右手で右の板、左手で左の板の前の方をグラブ。トラックを運転しているように見えるから、この名がある。
トラックドライバーは、ソチ五輪ではじめて名前を知って、はじめて見ました。しかも、モーグルスロープスタイルの両方で。


今、今季の世界選手権ヴォス大会の動画を見直していたんだけど、如何にソチのコースが変態的にアイテムの詰め込まれたコースかというのが分かったw
世界選手権と五輪であんなにコース違うもんか。スキー場のサイズ的なものもあるのだろうか。


そういえば、気付いた範囲で、どこの板を使っているかメモっていたのだけど
モーグルだとID-oneとHARTが多かったかなあという印象なのだけど、スロープスタイルではVOLKLが多かった。サロモン、ロシニョール、K2、ATOMICといった定番どこも見た。

女子

まず結果

1 HOWELL Dara CAN 94.20
2 LOGAN Devin USA 85.40
3 LAMARRE Kim CAN 85.00
4 SEGAL Anna AUS 77.00
5 DAHLSTROM Emma SWE 75.40
6 TSUBOTA Yuki CAN 71.60
7 SUMMERHAYES Katie GBR 70.60
8 BERTAGNA Silvia ITA 69.60
9 BHEND Eveline SUI 63.20

例によって、当日の実況は
ソチ五輪女子スキースロープスタイル - Togetter
選手の国籍がモーグルと比較して多彩だった。チリやパラグアイの選手がいることに驚く。
上位はカナダとアメリカが多いけれど、スイスも結構決勝に残っていた印象。
それから他の競技からの転向が多いんだけど、アイスホッケーからの転向がいるのにも驚いた
実況解説付きで見れたので、比較的何をやっているのかはわかりながら見ることができたかな。
予選では、金メダル候補と呼ばれていたタースキーが脱落するという波乱があった。
日本の高尾も2回とも転倒して予選落ちした。
気温が上がって雪がゆるくなってしまい、特に決勝ではひっかかって転倒する選手が多かった。また十分なスピードがでずにキッカーで失敗する選手もまた多かった。
ただ、全体的にみんな楽しそうにやっていたのが印象的で、滑りはじめる前も滑り終わった後も笑っている選手が多かった。
多少ミスっても、ニコニコしながら点数を待っている選手もいたし。
ただ、これが決勝も後半になってくると雰囲気が変わってきて、ピリピリしはじめたように思えた。五輪、大変。
スイスのベラは、予選ではダブルフロントフリップを出していた。


個人的に好きだったのは、最終的に7位だった、イギリスのサマーヘイズ
ジブセクションは、イタリアのベルターニャとこのサマーヘイズがプレッツェルをやっていて、オシャレな感じあった。
サマーヘイズは、キッカーでのジャパン900とかもよかったなあと思う。
カナダのツボタは、日系カナダ人。実況の人と解説の三浦豪太が、観戦に来てた家族(おばあちゃんが日本から来ていた)に、予選と決勝の間に話を聞きにいったりしていたらしく、二人がわりとツボタを応援しているんだなあというのが伝わってくる感じあったw
ジブはおとなしめな感じだけど、キッカーではコーク900とか回していてわりと良かった。
ただ、決勝2回目で最後のキッカーで思い切りノール落ちしていて、レスキューに運ばれていった。大事になってないといいのだが。
カナダのラメーアは、決勝1回目で転倒してしまったけれど、予選1回目と決勝2回目の最後のキッカーで、スイッチ0という技を決めていた。これは、スイッチで入って全く回転しないで着地するというもの。三浦豪太曰く、回転しないということは回転によって軸を調整できないのでスイッチの時に軸をぴったり決めておかなければならず、とても難しい、と。また、新鮮さという意味でも高評価と述べていた。
アメリカのローガンは、決勝2回目こそ最後のキッカーの着地で転倒してしまったんだけれども、2人の兄がプロスキーヤーで幼少期からやってたということもあってか、危なげなかった。ジブセクションとか流れるようにこなしていたし。最後のキッカーはコーク720。決勝2回目の転倒についても、転倒した後スライディングポーズのような格好をしてオーディエンスを湧かせるなど、終始余裕があったように思う。
カナダのハウエルは、FISランキング2位、AFPというプロスキーヤーの順位では1位。コーク720にトラックドライバー540と大技連発で、納得の金メダル、という感じ。


女子はコーク720と900あたりがトップの技という感じだった。


男子

まず結果

1 CHRISTENSEN Joss USA 95.80
2 KENWORTHY Gus USA 93.60
3 GOEPPER Nicholas USA 92.40
4 HAATVEIT Andreas NOR 91.80
5 WOODS James GBR 86.60
6 HARLAUT Henrik SWE 84.40
7 AURDAL Aleksander NOR 81.80
8 HENSHAW Russell AUS 80.40
9 BROWN Bobby USA 78.40

女子は、軸ずれは大体コークで、ミスティとロデオもちらほらいた感じだった。ただ、明らかに横回転系と縦回転系とではっきり見分けがついたのだけど
男子は、正直よくわからなかった。ロデオ軸で回っているのが多かったのではないかという印象があるのだけど自信はない。ミスティは見かけなかったような気がする。コークで回ったと思っても、ぐるぐる回っているうちに縦成分が多くなっていって、さっぱり分からなかった。男子は途中から、3Dの軸が何なのか見分けるの諦めた。
回転数も、900と1080は平気で出る世界だったので、うまく数えられたのかが自信ない。1260とか1440とか出てたと思うのだけど、よく分からなかった。
グラブもすごかった。ダブルグラブだったり、途中でポジション変えたりとかしていたし。
そういうわけで、本当に男子のSSは異次元でした。


滑走順にコメント
中継見ながら走り書きしたメモから、読み取れる部分などを拾っている。繰り返すが、実況解説がなかったので、見ている最中も何やっているのかよく分からないところが多々あった。

半袖シャツで滑っていた。ソチはだいぶ暖かいみたい。また、点数待ちの時にスクリーンを見上げている時、みんなすごくまぶしそうだった。
1回目は最後のキッカーで転倒
2回目はマトリョーシカを手でタップしていたと思う。

ドレッドヘアっぽい感じだった。彼もマトリョーシカをタップしていたと思う。
1260とか1080とかを飛んでいたように思うのだけど、決勝2回目ではタッチダウンしていた。

なんか調子悪かったのだろうか。1回目も2回目も、キッカーでほとんど回してなかった。360とか0とか。0もラメーアのようにまっすぐ飛ぶのではなくて、ミュートグラブして少し軸ずらしたりしていた。

最後のボックスからミュートグラブのサイドフリップして下りてた。

1回目の時のメモに「TUEEEE」「テールグラブかっけー」というメモは残っているも、点数は1回目も2回目も60点台
ジブでは、最後のボックスの壁になっているところをのぼっていって飛ぶ、というちょっと面白いことをしていた。

  • オーストラリアのHENSHAW

2つ目のジブエリアのところに、他のレールに対して90°横向いている太めのレールみたいなアイテムがあるのだけど、それをサイドフリップで飛び越えつつ手でタップしていくというのをやってた。
一つ目のキッカーでミュート、最後のキッカーではニアノーズグラブのコーク。ミュートの時に、掴んでない方の手でも脚を抱えててかっこよかった。
2回目では最後のキッカーで1080を回そうとして、回転が足りなくて着地したときにトップがつっかかって転倒していた

  • カナダのBEAULIEU-MARCHAND

マトリョーシカの上を720で越えながらトップでタップしたけれど、ちょっと強すぎてその勢いで軸ズレしてた
1回目は、第1キッカーの着地でミスして、それ以降のキッカーをパス
2回目は、最後のキッカーで転倒

ジブエリアは、プレッツェルやったり結構回していたっぽい
1回目は最後のキッカーで転倒
2回目は、キッカー3つともスイッチで飛んでたみたい。最後は何やったのか分からなかった、会場のMCが1440と言っていたような気がする。

ストックなしで滑ってた。
ジブで、HENSHAWと同じようなことしていた。2回目は同じアイテムにトップをタップしていた。また、ボックスからループでアウトしていたみたい
ダブルミュートや、途中でグラブを右手から左手に変えるなどしていて、「すごい!」というメモが残っている

  • イギリスのWOODS

ジブでプレッツェルとか
キャノンからテールグラブロデオでアウト
ミュートからジャパンに変えたり、アイアンクロストラックドライバーやアイアンクロスダブルテールグラブとか
とかく、グラブについていうと個人的には、WOODSが一番良かったような気がする。
900からのスイッチ1080

スタート前に「オッケー↑」って言ってたり、滑り終わったあとに「センキュー」と言ってたり、テンションが高かった
マトリョーシカにタップしようとしていたようだが、メモには1回目「タップ?」、2回目「タップしてない?」とあるので、タップしてないかもしれない。
トラックドライバーっぽいことしながら、スイッチ1080とか回していたっぽい

キャノンからロデオか何かで下りてた。
ダブルミュートをしている?
最後は、スイッチ1260?



女子のを見て、その時に解説の三浦豪太が話していたことなどを頼りに、男子のは見ていたのだけれど
正直、女子と男子とではレベルが違いすぎて、全くついていけなかったw
こいつらは一体何をやっているのか、という感じ。
また、どれか一つに着目してみると(例えばグラブ何やっているか)、他の要素が全く追い切れなくなった。
回転数なんかは、それだけ見ててもいまいち自分でもあっているのかどうか分からないし(なので上に書いている回転数もあまり信じない方がいい)
回転軸は途中で見るの諦めた。
結構、最後のジブでキャノンやボックスから3D系で下りる選手いたのだけど、ロデオなのかループなのかとかもよく分からなかったし。縦っぽかったからロデオかなみたいな、そういう感じでしか見れてない。
あと、スイッチかレギュラーかっていうあたりもチェックしきれてなかったし(後半になって少し気にするようになった)、ライトサイドかレフトサイドかっていうことについては最後まで全くチェックしきれなかった。だから、そこでバラエティ出してたのか分からず。
しかし、グラブ一つとっても、とにかくすごかった。
アイアンクロスいれながらきれーにダブルテールとか決めるの、本当にかっこいい。


一応、あいまあいまに実況していた。
競技中よりもむしろ、決勝1回目と2回目の間とか表彰式(フラワーセレモニー)とかの時のものが多め
ソチ五輪男子スキースロープスタイル決勝 - Togetter


複数の固定カメラと、あとラジコンヘリっぽい奴のカメラを使って撮っているっぽい。
客席の方に大きなスクリーンがあって、中継で流れている映像と同じ映像が流れているっぽい。客席が映ると客が反応していた。
選手のノリもいいけどMCのノリもよかった。
MCは男性と女性の2人。英語とロシア語でやってたっぽい。最後の表彰式ではフランス語か何かも言っていた気がする。
表彰式(フラワーセレモニー)ってのもノーカットで流れていて、初めて見た。テレビ中継だとここらへんわりとカットされている気がする。