ジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』

レポート課題だったので一気に読んだ。
インド系アメリカ人の一世と二世の話。
簡単に言ってしまえば、家族の物語であり、その点で感動的なシーンもあったりして面白い。
あるいは、現在形の文体がもたらす独特の雰囲気を楽しむのもいいかもしれない。
主人公ゴーゴリ・ガングリーの生まれたときから、思春期、進学と共に親元から離れ、恋愛をして、働き始め、結婚と離婚までが描かれている。
一方で、新婚早々でアメリカへと移住し、慣れない生活の中、ガングリー家なりの生活を生みだしてきた、ゴーゴリの母、アシマの一生を描いた物語とも読むことができるかもしれない。
ある家族のおよそ30年間が描かれているだけ、といえばそうだが、それが滅法面白いのは何故なんだろうか。
父アショケとゴーゴリが関わるシーンのいくつかが、感動的*1


以前、インドに1週間ほど旅行に行ったことがある。
アシマとアシュケの故郷であるカルカッタには行っていないのだが、読みながらインドの風景を少し思い出したりしていた。


食べ物の固有名詞が多く出てきて、そうやって生き方(ライフスタイル)を描写しているのかなあと思った。

その名にちなんで (新潮文庫)

その名にちなんで (新潮文庫)

*1:その名の由来となった秘密を教えてもらうシーン、父が死んだあとで父との思い出を思い出すシーン、一番最後のゴーゴリが「外套」を読むシーン