小説その他

あんまりちゃんと感想メモ書けてなかったけど、読んだ本の記録1(『テスタメント・シュピーゲル』『15×24』『クォンタム・ファミリーズ』SFマガジン2月号『レ・コスミコミケ』『宿命の交わる城』『虎よ、虎よ』『星を継ぐもの』『ラギッド・ガール』『化物語』『偽物語』『傷物語』『ミシン』『ミシン2/カサコ』『タイタンの妖女』)』

『テスタメント・シュピーゲル』 『テスタメント』読み終わった。ずっと堪えていたが、最後の10か 20ページくらい泣きながら読んだ。 軽い放心状態になるなあ。 読み終わってから、テスタメントがスプライト4巻と同じくらいの厚さだ と気付いた。どおりで長…

樺山三英『ハムレット・シンドローム』

まさかの、樺山三英の新作はガガガ文庫。 『ジャン・ジャックの自意識の場合』*1よりはだいぶ難易度(?)が下がり、読みやすくなっているが、めくるめく樺山ワールドが繰り広げられている。 切り立つ崖に建つ怪しげな城の中で、ハムレットを演じ続ける男。…

奧泉光『ノヴァーリスの引用』

まだ、『グランド・ミステリー』や『鳥類学者のファンタジア』のようにぶっとんではいないけれど、ミステリかと思ったら次第にホラーだったり幻想小説だったりジャンルが混淆していく感じは既にある。 記憶の不確かさ、夢と過去。 そして死を巡る考察。 その…

岡和田晃『アゲインスト・ジェノサイド』

正確には小説じゃなくて、TRPG「ガンドックゼロ」のリプレイ。 リプレイというのは初めて読んだので、形式として小説と違うことに一瞬戸惑ったけれど、読み進めていく上で問題があるということはなかった。 むしろ、TRPGを全くやったことのない自分にとって…

色々(フィクションの美学・岩波講座哲学3・サマーバケーションEP・白の断章・デイヴィドソン・ストリートの思想・Jポップとは何か・ロッキンホースバレリーナ)

書くのをずっとさぼってしまった。 一回さぼるとどんどん面倒になるのだが、その一方で不安にもなってくる。 フィクションの美学作者:西村 清和勁草書房Amazonやっと読んだ 部分的には色々と使えそうな部分、示唆的だった部分がある でも全体的にはそうでも…

うえお久光『紫色のクオリア』

まさに見事なセカイ系ラノベであったなあ、と思う。 人の能力が視覚化されるってブギポっぽいし。 ループのあり方は、ひぐらしっぽい。 語り口は、ちょっとだけサマー/タイム/トラベラーっぽいけど、あそこまで感傷的じゃないし、単に一人称の語りで、あとか…

奥泉光『グランド・ミステリー』

面白い! というか、今まで何で奥泉を読んでなかったんだ、俺と言いたくなる。 『鳥類学者のファンタジア』も面白かったけれど、こちらも圧倒的。小説の仕掛けとしては、こちらの方が上かも。 笑いに関しては、そもそも主人公のキャラが違うので比較できない…

友人のデビュー作

友人である秋梨がケータイ小説文庫よりデビューしました。 『キミが教えてくれたこと』というタイトルで、第3回ケータイ小説大賞ジャンル賞を受賞した表題作*1と、「さみしさを追いかけて」という2篇が収録されてます。 ちなみに、以前筑波批評で彼にイン…

最近読んだ本2冊(『鳥類学者のファンタジア』『シンギュラリティ・スカイ』)

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)作者:奥泉 光集英社Amazon奥泉光は、しばらく前から気になっていたのだけどまだ読んだことのない作家だった。 で、これが面白かった。 女性ジャズピアニストが、敗戦間際のナチスドイツにタイムスリップしてしまう話。 …

最近読んだ本5冊(『ユービック』『瀬名秀明ロボット学論集』『三島由紀夫集雛の宿』『ボディ・アンド・ソウル』『葉桜の季節に君を想うということ』)

ユ-ビック (ハヤカワ文庫 SF 314)作者:フィリップ・K・ディック早川書房Amazonどこから現実でどこまで夢なのか、というディック的テーマを扱っているけれども、 それよりも、1930年代へのタイムスリップ*1ものとして面白かった。ごく普通のエンタメとし…

『ファウストVol.7』

うーん、まあだらだらと感想を書くか。 今回のファウストの読むべき場所というのは、中国特集だと思う。 逆に言えば、中国特集以外は……、ということになる。ファウストに掲載されている作家陣とかが好きな人ならともかく、今更、ファウスト7とかどうなのよ…

池上永一『シャングリ・ラ』

不死身の、女子高生と天才と変態*1が、霊的なものを巡って戦う、ということで、『レキオス』と同じ。 『レキオス』と違うのは、幼女が出てくること。 いや、幼女っていうか、小学校高学年くらいだけど。 美邦と香凛がかわいい。 あまりにも無茶苦茶で眩暈が…

『レキオス』池上永一

読みたい本、読まなきゃいけない本をさしおいて、何故か読んでしまった。 沖縄を舞台にして、謎の秘密結社と米軍のパイロットと天才科学者とCIAエージェントとシャーマンの血筋の女子高生が、古代より封印されてきた霊的なエネルギー(?)「レキオス」を…

中村恵里佳『ダブルブリッド10』

ダブルブリッドの最終巻。 これをちゃんと終わらせることができたということに、まず驚いた。 そして、その出来が予想以上によかったことに、感嘆するし、作者の底力のようなものを感じた。 『ダブルブリッド』については、つい先日、評論を一本書いている。…

チャンドラー『さらば愛しき女よ』/円城塔『オブ・ザ・ベースボール』

『さらば愛しき女よ』 うちの大学の先生*1が、飲み会の席でレイモンド・チャンドラーを非常に熱く語っていた。 最近になって読み始めたらしいが、日本語版も英語版も全部読むくらい、はまったらしい。 とにかくこんなに素晴らしい作家はいないという感じで言…

『薔薇窓』帚木蓬生

直球でエンターテイメントの小説を読むのが久しぶりだったような気がする。 ミステリ、それもどちらかという社会派(謎解きのある本格と対比する意味で)。 そんなわけで話の筋とかはここでうだうだ解説するようなものではない。 1900年、第5回万博の開…

『ラグナロクEX MISFORTUNE』安井健太郎

中学時代に非常にはまっていたラノベ。 自分の個人史的には結構重要な位置を占めていた作品。 「占めていた」って過去形なのは、もうずいぶんと離れていたから。 これが店頭で並んでいたのを見ても「懐かしいなあ」と思うだけで、読んだりはしなかった。 た…

備忘録(石田衣良『4teen』/BravoskiVol.3)

石田衣良『4teen』 ものすごい小説のレベルの高い宗田理、いや違うか。 とりあえず分かったことは、自分には中学生を主人公にした小説がうまく読めない、ということか。 フィクションだと割り切って読めば、わりと良くできている作品だったと思うんだけど、…

石田衣良『うつくしい子ども』

酒鬼薔薇事件をモチーフにした小説。 8歳の女の子を惨殺した13歳の少年の兄が主人公。 弟が何故凶行に到ったかを、兄が探っていく。 兄の心情やメディア・スクラムの悲惨さがよく描けている。 また、「夜の王子」の真相に近づいていくにつれて、なかなか…

『永遠のフローズンチョコレート』扇智史

ラノベも随分と変わってきた、と思ったり。 ラノベとは何か、なんてことを考えたり述べたりするつもりはないのだけれど、おおむねラノベというと 「表紙がアニメ絵で、電撃文庫とか富士見ファンタジア文庫とかそういったレーベルから出ている」 「中高生向け…

桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

有名だから、という理由だけで買い、内容を全く知らず読んだので、軽く衝撃を受けた。 『ブルースカイ』もそうだったけれど、サバイヴしようと足掻く女の子の話。 砂糖菓子の弾丸とは、主人公山田なぎさの中学校に転校してきた少女、海野藻屑のことを指す。 …

『涼宮ハルヒの消失』

やはり、同じ友達から借りて読む。 ハルヒはアニメしか見ていないので、小説の方を読むのは初。 『All You Need Is Kill』に似ているなぁ、というのが主な感想。 出た時期もほとんど同じだ(消失の方が4ヶ月だけ早い)。 ただ、ハルヒの方が、なんか作者の…

いくつか(『ブルースカイ』『批評理論入門』『ファウストVol.6』)

とりあえず、読んだ本のメモ ブルースカイ 桜庭一樹を初めて読んだ。女性作家の文章を読むのも久しぶりかも。 実は随分前に(11月末)読み終わっていたのだけど。 「少女」をテーマにした3つの物語 少女という存在がいない時代に少女がタイムスリップする…

『マルドゥック・スクランブル』『ネガティブハッピーチェーンソーエッジ』

2冊読了 どちらとも、一言でまとめてしまうのならば生きる価値を追い求める話 マルドゥック・スクランブル マルドゥック・スクランブルでは、偶然から必然への移行として描かれる。だからこそ、ギャンブルがテーマと密接に関わるものとして緻密に描かれるし…