最近読んだ本5冊(『ユービック』『瀬名秀明ロボット学論集』『三島由紀夫集雛の宿』『ボディ・アンド・ソウル』『葉桜の季節に君を想うということ』)

どこから現実でどこまで夢なのか、というディック的テーマを扱っているけれども、
それよりも、1930年代へのタイムスリップ*1ものとして面白かった。ごく普通のエンタメとして楽しめるんだけど、オチでちらりとディック的なものを見せて終わる。
バランスがよい。主に講演やインタビュー・対談をまとめたもの。
同じ時期のものを並べているので、同じネタや具体例が繰り返される。ので、読んでいて飽きるといえば飽きるし、次第にアイデアが固まっていくところを見ることができるといえばできる。
結論としてこれだ、というものはないけれど、考えていくためのアイデアなどは豊富にあると思う。
ちなみに、ここに収録されているもののうちのいくつかは、ネットで既に公開されている。
瀬名ファンでないのであれば、そっちですましてしまってもよいのではないかとも思う。全部は読んでないけど。
三島ってこんなのも書いてたのかーと思った。
目当ては、「小説について」という連載評論。いくつか面白いことが書いてあった。この言葉。この言葉は古川日出男だ。
前半は実を言うとちょっと退屈だったのだが、途中からは止まらなくなってくる。
話やオチに関しては古川っぽくないような気もするのだけど*2、小説が立ち上がってくるところとかとにかく歩くところとか、勢いに巻き込まれていく。
それにしても、YahooBBが面白いw叙述トリックだなー。
違和感を覚えさせるところはいくつかあって、あとから考えるとそれらはヒントになっていたのだけど、結局トリックには気づけなかった。

*1:正確にはタイムスリップじゃないけど

*2:とはいえ、僕の読んだことのある古川作品はまだ限られているし、そもそも「古川っぽい」ってなんだ?!