『ラグナロクEX MISFORTUNE』安井健太郎

中学時代に非常にはまっていたラノベ
自分の個人史的には結構重要な位置を占めていた作品。
「占めていた」って過去形なのは、もうずいぶんと離れていたから。
これが店頭で並んでいたのを見ても「懐かしいなあ」と思うだけで、読んだりはしなかった。
たまたまサークルの後輩が激賞していたので、貸してもらった。
EXというのは、外伝的位置づけの短編を収録したシリーズ。
今回は、今まで文庫への収録が見送られ続けてきた「幻の」一編が収録されている。
それが「剣の断罪」
件の後輩が激賞していたのもこの一本。
で、読んでみたのだが、書くことがない。
面白かったのは事実なのだが、彼のように語ることがない。
何故だろう、と思って分かったのが、もう相当ラグナロクについて忘れていたのだなあ、というありがちな事実。
というわけで、作品の内容とは全然関係なく、個人的にとてもノスタルジーを誘う一本となってしまった。
まあ、EXなので、忘れていたところで十二分に楽しめる(逆にそこが厄介なとことも言える)。
「剣の断罪」がよくできているのはさておき、個人的に一番好きだったのは「ミミック」。
あと、「ペイバック」と「トラフィック」はプロットだけ取り出すと、一体いつのラノベなんだっていう感じ*1。でもそれでも面白かったのは、やはりアクションシーンの濃密さ。これがラグナロクの魅力だよなあ。
神坂一のあまりのワンパターンさに対して、ラグナロクがより複雑なストーリーを展開してくれたのは事実。でも、EXっていうのはまたちょっと違う位置づけなのかもしれない。プロット自体はワンパターンだけども、一つ一つのシーンの描写が魅力的だ。
とはいえ、Exにもアウトサイダーのような作品があったことを考えると、安井が劣化しただけとも言えるのかもしれない。
でも、久しぶりにリロイの縦横無尽ぶりを見られたのは純粋に楽しかったのでよしとしよう。

ラグナロク EX. MISFORTUNE (角川スニーカー文庫)

ラグナロク EX. MISFORTUNE (角川スニーカー文庫)

*1:スレイヤーズ的とでも言おうか