『ファウストVol.7』

うーん、まあだらだらと感想を書くか。
今回のファウストの読むべき場所というのは、中国特集だと思う。
逆に言えば、中国特集以外は……、ということになる。ファウストに掲載されている作家陣とかが好きな人ならともかく、今更、ファウスト7とかどうなのよ、とか思っている人たちにとっては。


中国特集は、ファウスト編集長太田によるインタビューというか、対談がいくつか載っていて、まあそれが中心になっている。
中国で今一番人気があるといわれている若手作家、郭敬明へのインタビュー
太田と一緒に中国取材を行った、渡辺浩弐との対談(?)
それから、中国文学を研究している、福嶋亮大との対談(?)
対談としたのは、もはやインタビューではなくて、対談状態になっているからなのだが、(?)をつけたのは、一応、太田って編集者だから、インタビュアーって立場なんじゃないのか、というところから。
この『ファウスト』はずっとそうだったけれど、太田が編集者であるとは思えないほどに前面に出てきている雑誌であって、そういうのがウザいなあと思う人には、とてもウザいと思う。
しかし、そういうウザさをちょっと我慢して読んでみると、この人の危機感とアグレッシヴさというものには、なかなかすごいものを感じるのである。
この中国特集における、3つのインタビュー・対談において、彼のテンションの高さというのは、読みどころである。
もちろん、『ファウスト』におけるインタビューにおいて、いつでも彼はテンションが高かったわけだけれど、中国に触れて、あるいは郭敬明に触れて、彼はいつもにも増して何やら興奮している。
そこらへんが、読みどころなのではないかなあと思う。
福嶋による、あまり教科書には載っていないような中国文学史についての論文もあって、これがわかりやすいガイドになっているかもしれない。


今回は、佐藤友哉特集でもある。
遅延に次ぐ遅延で、もう出ないんじゃないかと思っていた、佐藤友哉特集である。
嬉しいことには違いないわけだけど、
とりあえず、「ウィワクシアの読書感想文」はそれほど面白いものではなかったなあ。
「青酸クリームソーダ」の方は、鏡家サーガファンとしては、嬉しいものになっている。潤一郎じゃん! みたいなね。入門編と銘打たれているのに違わず、というべきか、入門レベルだったなあという感は否めない。しかし逆に言えば、読みやすくなっているということでもあるので、ユヤタンを食わず嫌いしている人とか読めばいいんじゃないかなあ
っていうかね、ほんとね、「勇敢な者はいつだって三匹なのよ」って名言ですよね
あと、読んでいる最中に、クリームソーダと団子が食いたくなって、本当に買いに行きました。
「人生・相談」がレベルダウンしてしまっているのは、まあ致し方ない
西尾維新との対談とかもあった。
それから、福嶋による『水没ピアノ』評論「実在としての過去」も載っている。


今号の『ファウスト』でヤバイだろっていうのはやっぱり、
筒井康隆×いとうのいぢビアンカ・オーバースタディ」一挙三話掲載。
筒井康隆にかかると、ライトノベルというのは、まさにこのような姿になってしまう、というところを堪能する作品。
面白いけど、ちょっと異様な感じもする。


小説は、
郭敬明「悲しみは逆流して河になる」
上遠野浩平「オルガンのバランス」
西尾維新新本格魔法少女りすか」第10話
を読んだ。
北山、錦、小柳は読んでない。


それから、
動物化するポストモダン』の英語版・韓国版序文とフランスでの講演
Hな人人
Editor×Editor 『幻影城』編集長島崎博
を読んだ。
僕はミステリには疎くて、この『幻影城』という雑誌もよく知らないのだが、なんかすごい雑誌があったのだなあと言うことが分かった。
あと、この島崎博という人は台湾人らしくて、日本語は彼にとって外国語にあたる。外国語の雑誌の編集長やってたのかと思うと、これまたすごいなあと思う。


マンガは一応、パラパラと大体眺めたけれど、一番面白かったのは
西島大介「破壊の夜は断じて勝ち組」
X-JAPANのライブレポマンガ。
モーニングツーかなんかでも、Xのライブを外で聴いた話とか書いていたけれど、本当にライブの熱気が伝わってきて、なかなか感動的。
正直、いつも『ファウスト』というのは、西島大介が一番面白いんじゃないか、とか思ってしまう。


この雑誌、分厚いくせに目次にページ数がふってないばかりか、目次が掲載順に並んでいないので、検索しにくくてたまらない。

ファウスト Vol.7 (2008 SUMMER) (7) (講談社MOOK) (講談社 Mook)

ファウスト Vol.7 (2008 SUMMER) (7) (講談社MOOK) (講談社 Mook)