クラスナホルカイ・ラースロー『北は山、南は湖、西は道、東は川』(早稲田みか・訳)

2025年ノーベル文学賞受賞作家による、京都を舞台にした小説
日本に滞在したことがあり、そのときの経験を元にした作品とのこと。
2003年発表、2006年邦訳。
クラスナホルカイ*1の小説でおそらく唯一の邦訳作品なのだが、品切れで入手困難となっているらしい。
ノーベル賞受賞直後に、SNSでフォローしている人が「図書館で予約した」とポストしているのを見かけて、とりあえず自分も予約してみたのが、3ヶ月ほどたって順番が回ってきたのである。
実をいうと、当時と比較して、読むモチベーションが低くなっており、借りずにキャンセルしてしまおうかとも思ったのだが、なんとこの本、今から改めて予約すると順番が回ってくるのに3年くらいはかかってしまうのである。
全く読まずに返してしまうのももったいない気がしてしまい、とりあえず手に取った。
それもそれでどうかと思うが、かなり飛ばし読み気味で、一応目で追った感じである。


断章形式で書かれており、一つの断章がだいたい2~3ページほど
それが、2章から50章まである(1章は存在していない)。
基本的に京都の話で、京都の寺社仏閣にまつわる諸々の話が書かれている。
書物として木簡から絹が使われるようになった頃の話とか、職人が建築材料としてまず山を買うところから始める話とか、そういう知識解説的な章もパラパラある
一応、ストーリーとしては、「源氏の孫君」という人が、庭園百選みたいな本で見かけた百番目の庭を探し求めている、というもの。
京阪電車に乗ったり、自販機使ったりしているので、物語世界内の現在は現代なのだが、庭のことは平安時代からずっと探し続けているようである。
すごく地学的な話が延々なされている章もある(ジルコンはすごいとか)。
そういえば、どっかの寺の書庫か何かで、棚が倒れて壊されているけれど何も盗まれていない、一体どういう意図でこんなに荒らしたのだろうか、みたいなことが書いてある章があったのだが、それってもしかして地震では、と思ったりはした。
全然別の章で、京都はよく揺れる、みたいなこと書いてあった気もするが。
犬が死んじゃう章もある
あと、源氏の孫君のおつきの人たち(?)が、自販機でお酒買いまくってべろんべろんになって京阪電車に乗ろうとする、というよくわからん章もあった気がする。


訳者あとがきに、クラスナホルカイのほかの作品の紹介もあるが
作品の最後が、スイスの美術館に壁に書かれているという作品があるらしい(物語の登場人物について書かれた記念碑が現実世界にあることで虚実が入り交じる、ということらしい)
旅行が好きで、モンゴルや中国なども訪れている。
友人から誘われたのがきっかけで1997年に初来日。

*1:ハンガリー人なので、名前の表記は姓-名の順である