2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「動機」をめぐって

「文芸評論」と「哲学」のタグをつけてるが、「理論社会学」というタイトルの講義について。 ミステリ小説の言説空間についての授業だった。 取り上げられた作家は、エドガー・アラン・ポー、黒岩涙香、レーモン・ルーセル、松本清張らである。 が、ここでは…

ライル「系統的に誤解を招く諸表現」、ストローソン「指示について」(『現代哲学基本論文集2』)

『現代哲学基本論文集1』も半分くらいしか読んでいないが、『現代哲学基本論文集2』。 この本は、ムーア、タルスキ、クワイン、ライル、ストローソンの論文が1本ずつ収録されているのだが、とりあえず今回はその中で、ライルとストローソンを読んだ。残り…

池田信夫『ハイエク知識社会の自由主義』

ハイエクについて何かいい入門書はないかなあ、と思っていた今日この頃、ふと本屋で見つけた一冊。 ハイエクも池田信夫も、名前は知っているけど、どういう人かいまいちよく知らなかったので読んでみた。 僕がハイエクの名前を知ったのは、東浩紀が紀伊国屋…

『エクス・ポ』Vol.5

気付けばもう5号。大体ちゃんと読んでるよ、俺、すげーw 今号は、向井秀徳インタビューに始まり、黒沢清インタビューに終わる、という感じ。 向井秀徳インタビュー ZAZENって、実はちゃんと聞いたことがないんですが、4枚目のアルバムの話をしていて、聞…

後藤和智『おまえが若者を語るな!』

これは、悪口が書いてある本である。 その相手は、主に宮台真司と、著者が「宮台学派」と呼ぶ人たちである*1。 これは僕は、宇野常寛にも感じたことなのだが*2、よくもこんなに悪口を言うために、これだけ本を読めるなと思う*3。 その一種の負のエネルギーは…

速水健朗『ケータイ小説的』

サブタイトルは「再ヤンキー化時代の少女たち」で、郊外に住む、ヤンキーの少女文化について論じられている。 これは、東京に住む、オタクで少年の文化との対比でもある。 ところで、ヤンキーとは一体何を指しているのか。 斎藤環は『文学の断層』の中で、日…

『ゲーラボ』

メモ。 斎藤環は、ポニョの話。吾妻ひでおと宮崎駿を並べて、究極のロリコンは「少女の変形」を描く、と論ずる。 伊藤剛は、実は僕も女装したことがあるんです、という話から始まって、『ニコイチ』の話。男だと分かる描線で書かれている女装した主人公。し…

カール・シュミット『政治的ロマン主義』

19世紀ドイツの、ロマン主義を痛烈に批判している本。 決断主義とかの話はしていなかった。 『日本浪曼派批判序説』を書いた橋川文三による翻訳。 19世紀ドイツのアダム・ミュラーとフリードリヒ・シュレーゲルという二人のロマン主義者が、主に批判の対…

今月の文芸誌(新潮、文學界、群像)

『新潮10月号』 「ファントム、クォンタム(第3回)」東浩紀 面白い! もう、何の留保もなく、面白い! 僕はこれまで、つまり連載の第1回と第2回において、頑なに東の小説に対して「面白い」と言わずに来たのだけど*1 それは撤回する。 連載が進むにつ…

瀬名秀明編著『サイエンス・イマジネーション』

ワールドコンで開かれたシンポジウムを収録した本であるが、この企画そのものがなかなか独特なものとなっている。 この本がどういう本であるかは、あとがきからそのまま引用しよう。 本書は2007年9月1日にパシフィコ横浜で開催したシンポジウム企画「…

佐々木健一『美学への招待』

とても面白かった。 その名の通り、美学の入門書だが、美学の学説などについて論じられているわけではない。 しかし、知的刺激には溢れている。 美学とは、美と感性と芸術についての学である。 美学は、aestheticsの翻訳語だが、aestheticというのは、感性と…