Newton2025年6月号

柴田正輝─恐竜学に挑む

福井県立大学の恐竜学部開設に伴う、同学部教授へのインタビュー
ジョン・ホーナーが福井に訪れた際、福井での研究は、世界的に見ても珍しいというコメントを残しているらしい。
どういうことかというと、同じ場所を継続的に掘り続けていること。
アメリカなどの場合、化石が露出しているところを移動して発掘が行われる(一つ化石を掘り出し終わるとまた別の化石のあるところへと移る)ので、同じ場所をずっと掘り続ける、ということはしないらしい。
柴田の主な研究対象はイグアノドン類で、これは福井で発見されたフクイサウルスがイグアノドン類だから、ということらしいが、フクイサウルスはイグアノドン類としては珍しい種だという。
イグアノドンは、上下左右に上顎を動かして咀嚼を行うが、フクイサウルスの上顎は左右方向に動かなかった。また、口が細くて、何か特定の食べ物に特化していた可能性がある、と。
福井は、鳥類の化石も見つかっているが、鳥類は飛行するために骨を軽量化したので化石が見つかりにくい。中国で見つかっている化石は、板状になっているものである。これに対して、福井では立体のまま保存されている、と。
フクイティタンは、これまで全く化石の発見されていなかった地層で発見されたらしい。
化石を探す際、どのような地層を探すか。水流によって遺骸が流された場合、化石はたくさん見つかるが骨はバラバラになっている。逆にそうでない地層だと、保存状態のよい形で見つかる可能性が高いが、そもそも化石が少ない。
AIの発展がどのような影響をもたらしているかについて、恐竜研究については今のところ、変化がないとのこと。
福井の推し(?)はやはりCTのよう。海外の研究者が福井の博物館に、これCT撮ってくれと頼みにくることもあるらしい。