『日経サイエンス 2025年10月号』
夢をコントロール 明晰夢で心を癒す M. カー
流し読み
明晰夢はメンタルにいい。
レム睡眠中にビープ音などの感覚刺激を与える、見たい夢の内容を示すメッセージを流すなどで、明晰夢に誘導する方法がある。アプリ開発も行われている。
特別解説:暗黒彗星 R. G. アンドルーズ
2016年、小惑星の中に軌道が予測と異なる振る舞いをするものが発見される。
これについて調査が進められている途中、2017年に、恒星間物体オウムアムアの発見に邪魔される形となるが、件の小惑星とオウムアムアが似ていることに気付く。
彗星は、氷が蒸発してそれが推進力となっている。今回発見された小惑星やオウムアムアは、彗星のような動きをしているが、その推進源が観測されていない
同様の天体はその後も発見が続き「暗黒彗星」と名付けられることになる。
小惑星と彗星は、スペクトラム上の両端だと考えられるようになってきていて、両方の特徴を持つ天体が発見されてきている。
暗黒彗星について、今後、地上の高性能望遠鏡による観測で蒸発が観測されるかもしれない。また、JWSTでの観測も目指している。JWSTの観測時間を獲得する競争は激しく、暗黒彗星観測計画は一度リジェクトされている。また、提案する予定はある。
そして、なんと、はやぶさ2の次のターゲットは、暗黒彗星となる。
これは実は完全な偶然で、はやぶさ2としてはプラネタリーディフェンスの観点などから興味深い天体を選んだもので、そもそもその時点では「暗黒彗星」という概念は存在していなかった。はやぶさ2が新たな発見をもたらしてくれるかもしれない、と。
ADVANCES 種子サイズを変えた恐竜/恋愛願望
まず1つ目
果実の種子について、それを食べる動物が大きくなると種子も大きくなる、という傾向があるらしい。種子が大きくなって大きな動物に食べてもらえると、それだけ移動距離も伸びるし、種子が大きい方が植物としても大きくなれる、ということらしい。
ところが、動物の方があまりにも大きすぎると、抑制がかかる、と。というのは、植物をなぎ倒してしまうから。巨大恐竜がいた時代と、恐竜絶滅後の化石記録から、巨大恐竜がいた時代に抑制がかかっていた、と。
あと、同じ抑制をかけている存在として、人類がいる、と
2つ目
一般に思われていることに反して(?)、男性の方が女性よりも恋愛に依存しているという研究結果
男性は、弱音を吐くなどして友人や家族から支援を得ることが、ジェンダーステレオタイプによってやりにくい。そうした人間関係支援をもっぱら恋人に頼ることになる。女性は、恋人以外からも支援を頼る。
『Newton 2025年10月号』
AI創薬 最新レポート 薬の探索から設計へ─AlphaFoldの衝撃 監修 森脇由隆 執筆 梶原洵子
創薬のプロセスは、病気の原因となる標的タンパク質を探す、そのタンパク質に作用する化合物(薬)の候補を探す、開発、試験(非臨床・臨床)とすすむ
2025年6月にレントセルチブという薬が臨床試験に進んだと報じられたが、これは標的タンパク質の探索と新薬候補の設計をAIが支援した。
タンパク質の立体構造を実験で知るのは難しい。X線結晶構造解析という方法かクライオ電子顕微鏡による方法があるが、いずれも大変。特に前者は、結晶構造を作るのが難しい(宇宙にいかないと作れないタンパク質もある)。
そこに現れたのがAlphaFold
アルツハイマー病の原因となるタンパク質をつきとめたりもしている。転写因子のような働きをしているのが病因だった。転写因子と類似していることは、立体構造が分かることで明らかになった(アミノ酸配列などは似ていなかった)。
タンパク質は進化の過程で、変異しにくいところがある(共変異)。様々な動物のタンパク質のアミノ酸配列と立体構造を比較することで、共変異の場所が分かってくるので、そこから立体構造が予測できる。トランスフォーマーを使って、距離の近さを計算させている。
新薬の開発において、従来は、天然のタンパク質をもとにしていたが、AIを使って一から新しいタンパク質を合成することも可能に。
RFdiffusionという拡散モデルを用いたAIを用いて、新しいタンパク質を合成できる。さらに、ProteinMPNNというAIも使う。
ただし、そのように合成されたタンパク質が、例えば生体の中で安定的に存在できるか、などの課題がある。これは、そういう学習データの不足によるもの。
AlphaFold3は、タンパク質単体ではなく、DNAとかRNAとかとの複合体の予測も可能になった。
しかし、それでも創薬にあたっては、合成のしやすさとか副作用とかは、まだAIだけでは分からない。学習データが増えてオープンになっていくと対応できるようになるかもしれない。
現在では、ペプチド創薬が一番早く実用化されそう。ペプチドは構造が単純なので。
コラム記事として、創薬ロボットも紹介されていた(化学合成の自動化)
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