世紀転換期・戦間期

ポンピドゥー・センター傑作展

東京都美術館 ポンピドゥー・センターは実は去年行ったのだが、一部改装中で、常設展のうち20世紀前半の方は全く見れなかったのだった。 この展覧会は、すでに広く宣伝されているように「1年1作家1作品」という形式で展示がなされている。 普通の展覧会とい…

ウィリアム・H・マクニール『戦争の世界史』(下)

下巻は、「戦争の産業化」「産業の戦争化」が中心的なになっていく。 指令原理と市場的行動様式という、2つの行動原理から、世界史の動きを見ていくマクニール史観 上巻では、1000年ころ、中国・宋において市場的行動様式がより強くなっていき、それが世界に…

アポストロス・ドクシアディス、クリストス・パパデミトリウ『ロジ・コミックス』

サブタイトルは「ラッセルとめぐる論理哲学入門」 バートランド・ラッセルの半生を描くグラフィックノベル 著者の名前として、記事タイトルには、アポストロス・ドクシアディスとクリストス・パパデミトリウの名前を挙げたが、作画として、アレコス・パパダ…

チューリヒ美術館展――印象派からシュルレアリスムまで

オルセー美術館展 印象派の誕生――描くことの自由―― - logical cypher scape2に引き続き、はしごした。 どっちも新美術館 オルセーは、混雑っぷりもあって、決して悪くはないけど、ちょっと疲れの方が大きい、という感じになったけれども、チューリヒは、よか…

ハル・フォスター編『視覚論』

視覚文化をめぐるシンポジウムのための論文と討議を集めた本 マーティン・ジェイ「近代性における複数の「視の制度」」 「視の制度」という言葉は、クリスチャン・メッツ由来 近代における主要な3つの制度 デカルト的遠近法主義 イタリア・ルネサンスにおけ…

「モネ、風景をみる眼」

国立西洋美術館のモネ展 西洋美術館とポーラ美術館が所蔵している印象派やその周辺の作品を集めた展覧会で、やや雑多なところもあるのだが、まあ色々見れてよかった。他の人と比較できてよい部分と、これ何で一緒に並んでるんだって部分とがあった。 また、…

シルヴィ・パタン『モネ――印象派の誕生』

ターナーに引き続き、知の再発見双書。 まあ、伝記だが、そういえばモネの生涯ってどんなんだったか知らなかったわ、ということで読んだ。 パリで生まれてるけど、すぐに田舎に引っ越ししていて、生涯を通じてもわりと田舎暮らしを好んでいた人っぽい。若い…

宮下誠『20世紀絵画』

パウル・クレー研究などで知られる著者による、入門的な本。 ところで、著者名でググって、09年に亡くなられていたことを知った。クラシック音楽についても造詣が深かったよう。 基本的なフォーマットとしては、著者の選んだ20世紀の絵画作品それぞれに…

「色を見る、色を楽しむ――ルドンの『夢想』、マティスの『ジャズ』……」ブリジストン美術館

ブリジストン美術館は以前から行きたいと思いつつ、実は初めて。 ルドンは以前ルドン展見てたから、それほど目当てではなく、まあマティスとか印象派とか見たいなあという感じで行ったんだけど ブリジストン美術館すごいね 自前のコレクションでの展示なんだ…

エルンスト展

横浜美術館|Yokohama Museum of Art 土曜日に横浜美術館のエルンスト展に行ってきた。 しかし、その日はその後、アイマスライブに行ったものだから、エルンスト展の印象がかなり飛んでしまっているw まあそのことは予想済だったので、メモってあるものを転…

高階秀爾『20世紀美術』

高階秀爾『世紀末芸術』 - logical cypher scape2の続き。 序章 現代美術の課題 ピカソの言葉「人はみな絵画を理解しようとする。ではなぜ人は小鳥の歌を理解しようとはしないのだろうか。(...)人はなぜ理解しようとはせず、ただひたすらそれらを愛するのだ…

高階秀爾『世紀末芸術』

タイトルにある通り、世紀末芸術についての本。 以下、内容のまとめ。 序章 世紀末芸術とは何か 1転換期の芸術 19世紀末は、19世紀と20世紀に挟まれて美術史の盲点になっている時代*1。この二つの時代を繋いだとされると転載として、セザンヌ、ゴーガン、ゴ…

「ルドンとその周辺――夢見る世紀末」

三菱一号館美術館。 ルドン、面白かったー。 実はルドンのことは、バックベアード様くらいしか知らないような状態で見に行ったのだけど、初期から晩年まで網羅的に展示してあって、とても見応えがあった。 三部構成になっていて、一部は白黒時代のルドン、二…

パウル・クレー展

行ってきたわけだけれども、うーんと思ってしまった まず混んでた。混んでいるために途中でちょっと疲れてしまった。 それから、普段は大抵美術館というと新美術館に行くことが多くて、近代美術館は初めてだったのだけど、何かこう新美術館とは展示方法が違…

前田富士男・宮下誠・いしいしんじ『パウル・クレー絵画のたくらみ』

クレー展行く前のお勉強用。 いしいしんじは冒頭にエッセーを寄せていて、本書の大半は、前田と宮下の対談による解説。 クレーは、1879年に生まれて1940年に60才で病没している。国籍はドイツでドイツで活動していたが、生まれたのも亡くなったのもスイス。 …

シュルレアリスム展

国立新美術館 何となく新美術館の展覧会ってよく行くな−。代わりに(?)都内の他の美術館はほとんど行ったことない気がする。上野のあたりとか、ブリジストンとか。 国立新美術館の展覧会は、いつも広くて途中で疲れるけれど、今回は途中で映画を座って見れ…

カンディンスキーと青騎士展

三菱一号美術館にて。 初めて行ったのだが、丸の内の近代的なビルの中に煉瓦造りのモダンな造りの建物で、中庭にカフェとかがあって、「おしゃれ」な空間だった。 内装も当時を再現していて、暖炉の上に絵を展示していたりする。 初めてといえば、今回初めて…

オルセー美術館展2010「ポスト印象派」

今日は午前中、オアゾではやぶさのカプセルを見に行ったのだが、ついでに午後はどっかの美術館にでも行こうかと思って、当日に決めた。 恐竜展に行って科学デーにしようかなとも思ったのだが、恐竜は混んでそうだなあと思ったので。そういう意味ではオルセー…

「巨匠ピカソ愛と創造の軌跡展」

今とっている授業で、指定された展覧会のどれかを見てレポートを書いてくることという課題が出されていて、それで行った。 本当は「アヴァンギャルド・チャイナ展」を見に行きたかったのだが、行きそびれてしまった。 本当はアヴァンギャルド・チャイナを見…

青春のロシア・アヴァンギャルド――シャガールからマレーヴィチまで

今年、20世紀の美術とか音楽とかについての授業をとっていて、 この前行ったバウハウス展も、今回行ったロシア・アヴァンギャルド展も、その授業で教えてもらったもの。 ロシア・アヴァンギャルドに関していえば、その授業で聞くまで、ほとんど何も知らな…

今橋映子『フォト・リテラシー』

アートタグをつけたけれど、この本は、写真という表現が、アートとも報道ともいえる(あるいはいえない)ものであることを示す*1。 カルティエ・ブレッソン、ドアノー、アジェといった写真家は、テレビ東京の『美の巨人たち』で見たことがあって知っていた。…

バウハウス・デッサウ展

直線や円といった幾何学図形が組み合わさっているような、いわゆる抽象画などと呼ばれる、造形美術が好きなのだと思う。 あと色も、原色がはっきりと組み合わされているような奴がよい。 モンドリアンとかミロとか、あるいは、ミニマリズムとか。本物は見た…

コルビジェ展

わりと思いつきで、コルビジェ展に行ってきた。 六本木ヒルズの森美術館 初めての六本木ヒルズに、何というか自分は場違いだなあという感覚ばかり。 52階までの直行エレベータ。 天井の灯りの色が少しずつ変わっていく、という趣向。 上りは、東京観光して…

『分析哲学入門』竹尾治一郎

横組みの本は専門書っぽくてかっこいいなあ、と横組みの本を読むたびに言ってる。 全部で四部構成、伝統の形成、知識と自然、言語と意味、心の哲学となっている。 この英米分析哲学と呼ばれる分野の入門書としては、今までいくつか読んできたわけだが、この…

『現代哲学の岐路』生松敬三・木田元

ここ最近、読みにくい本を連続で読んでいたので、ちょっとした休憩。 対談形式の現代哲学史入門。 サブタイトルに「理性の運命」とあるのだが、現代哲学、現代思想というのは近代という理性の時代を批判していくものであった。 この本は基本的に、「近代合理…

ヴァルター・ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」

いつか読もうと思っていてようやく読めた。 平易な文章で書かれていて読みやすい、と思う。 写真論、映画論として読むことが出来る。 よく、アウラの消滅を論じた論文として紹介されることが多いけれど、それはどちらかというと冒頭のさわりであって、中心は…

ユクスキュル『生物から見た世界』

ユクスキュルの著した、環世界論についての一般向け啓蒙書 「環世界」とは、客観的なものである「環境」から各生物が切り取った、主観的なものである。あらゆる生物はみな、それぞれが別々の環世界に住んでいることを、様々な具体例を示して教えてくれる。 …