パウル・クレー展

行ってきたわけだけれども、うーんと思ってしまった
まず混んでた。混んでいるために途中でちょっと疲れてしまった。
それから、普段は大抵美術館というと新美術館に行くことが多くて、近代美術館は初めてだったのだけど、何かこう新美術館とは展示方法が違うところがあって、というか前半があまりにキャプションが少なくて、なんだかよく分からないまま進んでしまった。


この前読んだ入門編の本前田富士男・宮下誠・いしいしんじ『パウル・クレー絵画のたくらみ』 - logical cypher scape2が面白かったので、結構楽しみにしていたのだけれど、クレーはなんだかよくわからない、というかピンとこないままで、どのように見ていけばいいのかがなかなか掴めずじまいだった。
これは何というか、ピカソ展を見たとき「巨匠ピカソ愛と創造の軌跡展」 - logical cypher scape2にも似ているけれど、それともまたちょっと違うな。
美術展に行くと、時系列的な変遷で見ていくことが多くて、こういうふうに移り変わっていったんだなという感じで鑑賞しているんだけど、このクレー展は、技法ごとに並べているのでそういう時系列が読みにくかったのもあるし、クレー作品そのものが、どう変遷しているのかが全然分からない。どこからきて、どこへ向かうのかがよく分からないので、困ってしまった。
クレー作品は、簡単にはその魅力に触れさせてくれないというか、なんかとっつきにくさがある。赤外線で調べて、後ろに何かが描いてあるのが分かった奴とかあるしね。
それでいて、これだけ混んでいる、ポピュラリティを獲得している、というのがさらに分からなくて、益々困惑してしまった。


紹介されている技法とかについても、どう理解すればいいのか。
パウル・クレーの作品は、美的というよりも美学的・芸術学的な感じがする。
紙の裏にも描いたとか、紙を切って貼り合わせて作ったとか、キャンバスを使わずに普通の布の切れ端や紙の切れ端に描いたとか
それは美学・芸術学に色々な意義が見いだせるのだろうけど、それがどのように美的な効果を生みだしているのかがよく分からなかった。
板に描いてる奴があって、それは木目との組み合わせが美的な効果を出しているなーと思ったんだけど
紙の裏にも絵を描いているのって、「二次元的な紙に三次元的なものを組み合わせているのです」ってのは確かに言えるけど、物は言い様で、単に紙をケチってただけじゃないのかとか、習作に過ぎないんじゃないのかとか思ってしまったりするw
実際こうなってくると、展示されていた作品は、どこまでが制作途上だったり習作だったりでどこからが完成作品なのかが分からないのが多くて、そういうあたりも考え込んでしまった。
文字とか記号(矢印)とか使っている作品もあって、そういう表現も興味はあるのだが、散発的に出てくるので、どういう意図で描かれたのかが分からなかったしなー。


しかし、最後に「特別クラス」の作品というのが飾ってあって、これはクレー自身が「特別クラス」とカテゴライズして重要視していた作品で、これらはさすがに「特別クラス」というだけでどれもよかったなあーという感じがした。
「山のカーニヴァル」とか「教会」とかね。


見ていて、後半になってきてから思ったのだけど、マンガとの関係とか考えるとどうなのだろうなとか。
有名な天使シリーズなんか、『パウル・クレー絵画のたくらみ』では、ポケモンみたいだと言われたりしているのがあったのだけど
それ以外にも、展示を見ていて自分がおっと惹かれるものが、どこかコミカルな部分を持っているなあという感じがした。
あとなんか時々、西岡兄妹のマンガみたいだなーというのもあったりして(それは当然、影響の順序としては逆なんだろうけど)。


クレー、多分もっと面白いはずなんだけどなー
上手くそれに接することができなかったなー


その後、北の丸公園をぐるっと歩いてみたりした。
お堀を見ることには慣れてきたのだけれど、東京都のど真ん中に城がある、というか城壁や門があるというのが、いまだに慣れない。なんだーって思ってしまうね。
東京って案外でっかい公園や緑地があったりするよね
日本武道館はこんなところにあるのかとか。