「モネそれからの100年」展

横浜美術館にて
TLでもかなり評判がよく、また現代美術が多く展示されているらしいことを知って、気になっていた。
実際見に行ったら、モネをだしに、抽象絵画をガンガン見させるという展示会になっていてw かなり濃密で楽しかった
モネの点数も多いので、別に普通にモネ目当てで見に行っても十分楽しめるとは思うが、明らかにモネだけを目当てに来ていた方々が困惑していたw というか、モネの前は人だかりができているけど、抽象絵画の前はガラガラでなー
でも、抽象絵画や現代美術も面白いから、いいからちょっと見てみろって言わんばかりのキュレーションに、展覧会のコンセプトを感じられてよかった
あと、作品の所蔵館を見ると、日本各地の美術館からかき集めていて、そのあたりも「強い」って思った。「〇〇展」ってわりと、1つか2つの美術館からごそっと借りてきたものを集めてっていう感じあるし


いやしかし、混んでたな。
それなりに空いてそうなタイミングだと思ったんだけど、これもっと混んでる時だとどうなってたんだ……
まあ、モネとか印象派とか人気だもんな


横浜美術館来るの、気付けば6年ぶりとかですごく久しぶりだった
驚いたのは、美術館の前に、マークイズみなとみらいという商業施設が建っていたことで。「あれ、この前来たときはこんなのなくて空き地が広がっていたような気がしたんだけどなー」とw まあ、5年前にできた施設らしいんだけど
横浜美術館は、建物自体もいかにも美術館って感じの立派な感じでよいよね


以下は、出品リストの紙にメモっていたことを適当に復元しながら書いていくこととする
出品リストの作品番号順と、実際に展示されていた順は一致しないんだけど、後者を覚えていないので、基本的に作品番号順でいく

  • モネ《海辺の船》

こんな船を描いた作品もあるんだなーと

  • モネ《アヴァルの門》

最初のあたりでばーっと並んでいたモネの作品群では、これが一番よかった
海と空がいつのまにかつながってしまっているような感じ

  • デ・クーニング

《風景の中の女》と《水》
デ・クーニングってあんまりちゃんと見たことがないので、いつも、名前は知ってるけどどんな絵を描いた人だったか思い出せない人の枠に入ってるんだけど、キュビスム表現主義をあわせたような感じだった

抽象表現主義第2世代にあたるらしい。《湖》と《紫色の木》という2点が
《湖》は、かなり絵の具のあとがこんもりとしていた。縦方向に、おそらく絵の具が垂れていったような跡が結構ある

  • ルイ・カーヌ

1960年代フランスであったシュポール/シュルファルという美術運動に属する作家
《彩られた空気》など、金網に絵の具を塗った作品
この作家は、後半にも作品があった

こちらはアンフォルメルにも加わっていたらしい。同じく、後半にも作品あり

名前はよく聞くけど、作品見たことなかった奴ー
タイトルが長い!! なんじゃこれ
アクリル絵の具でポップな感じ?

  • 湯浅克俊

木版画なのだけど、色の異なる版で刷ったものを重ねて、後ろからライトボックスで照らしている作品で、見る角度によって色が異なって見えるという趣向

  • ふたたびモネ

《セーヌ河の日没、冬》ポーラ美術館所蔵のもの。まあ普通によい
《ジヴェルニー近くのリメツの草原》最初、海か水面を描いてる作品かと思ったら草原だった
《チャリング・クロス橋》と《テムズ河のチャリング・クロス橋》この2点は、実際の展示ではそれぞれ別の部屋にあったが、ほぼ同じ構図の2点を比較して見れた。後者の方がより全体的に紫がかっている。どちらも、橋の上を汽車が走っていて、汽車そのものは描かれていないが、煙が画面の真ん中らへんにぽっと描かれている。
ロンドンについての連作を1899年からモネは描き始めているそうで、前者は1899年のもの、後者は1903年のもの

ピクトリアリズムと呼ばれる絵画的な写真をとる写真家2人
スティーグリッツの方は馬車や汽車など。汽車の写真はやはり煙がもくもくしている
スタイケンの《暮れなずむフラットアイアン・ビル、ニューヨーク》がよかった

《ボトル・グリーンと深い赤》、《赤の中の黒》の2点
今回の展示の中で一番ぶっこんだなーって思うのがロスコで、他の現代美術作品は、「こういうあたりにモネからの影響が感じられますね〜」的な解説がつけられているのだけど、ロスコは確かそういうモネからの補助線的なものがほとんどなかった気がする
ロスコは見てく人少なかったなー
自分は、もうだいぶ昔前にやっていたロスコ展を見て以来、ロスコファンなので、ロスコ見れるだけで嬉しいのだが、一方で、やはりロスコを考えるのは難しいなあと思った
他の抽象絵画と比べても、とっかかりが薄い、というか
個人的には、矩形がじんわりと浮かび上がってくる視覚経験が、なんとなくよいなあと思っているのだけど、この視覚経験は一体何なの、というのがやはりまだよくわからない
矩形様のものが描写されている(=二面性がある)という形での理解を試みようと思っていたんだけど、やっぱ改めて見ると、二面性感じられないんだよな。そのあたり、ジャスパー・ジョーンズとはやっぱ違うというか。
一方で、ロスコはあれを感情を表現した絵画なんだと説明しているけれど、これは初見の頃からさっぱり分からなくて、今回見てみても、やっぱり何が感情なのかがわからない
それでもやっぱり、矩形の輪郭線がぼや〜っとしているところを見て「うん、いいな」とは思ってしまう

こちらアブストラクト・ペインティングシリーズから2点
リヒターはたぶんロンドンのテートかどこかで見ている気がするんだけど、これとてもよい
ロスコと並んで、よくぶっこんでくれたって感じ
まあ、ロスコよりはモネからの補助線は引きやすいわけだけど
光・仮象を意味する「Schein(シャイン)」がリヒターのキーワードらしい
これ、どうやって描いてんだろうなーと思ったが、ヘラで何度も描いているとのこと
アブストラクト・ペインティング(CR845-8)》は寒色系の色で
アブストラクト・ペインティング(CR845-5)》は暖色系の色と緑がメインで、こちらはひっかき傷のような細い線や、絵の具がそのままのった跡など、ノイズっぽく感じられる箇所もあって、情報量多い感じだった。

  • 松本陽子《振動する風景的画面3》(3は本当はローマ数字)

紫色の霧っぽい感じ
同じ抽象画でも、油彩で描かれている古いものより、アクリル絵の具で描かれている近年のものの方が明るい感じがある
何となく縦方向の動きがあるような感じがして、その点だけだけど《湖》をちょとだけ連想

  • 根岸芳郎

70年代に渡米して、ロスコやルイスを知ったと。しかし、作品自体は彼らともまた結構違う
《91-3-8》
見ているとくらくらとしてくるような、なんかSFで描かれる亜空間みたいなものが描かれていて、これもまた結構よかった作品
なお、ルイスの作品も2点あったが、こちらはあまりピンとこず

  • 丸山直文《Garden1》

個人的にあまりピンとは来なかったのだが、話のネタとしては、「渦巻きの上を走る」と接続することができそうな絵だなとは思った

  • 水野勝規《photon》

1982年生まれと、この展示会の中では最年少の作家
映像作品で2点あったが(後半にさらに1点)、この《photon》が最高だった
水面を映している映像だが、光についてかなり加工がされていてい、光点が浮かんでは消えていく。8分間の映像だが、なんかアンビエント系の音楽つけたら無限に見ていられる
ぶああーって光点が増えていて光でいっぱいになるところとか圧巻。そしてまた、たゆたう水面に戻っていく。

モネからの引用

会場の後半部は、モネからの引用など、より直接的にモネと関係している作品が並べられている
モネの《睡蓮》も後半にあり
後半部は、ロイ・リキテンスタインから始まり、アンディ・ウォーホルでしめるという構成になっていて、これまたよい

他作家からの引用が多く、特にモネからの引用が多いらしい
積みわらのシリーズの他、《日本の橋のある睡蓮》というのは、ステンレス部分が水面にあたる部分をあらわしているのだが鏡のようになっていて、目の前に立つと自分が映る。睡蓮がとてもカートゥーンタッチ

  • ルイ・カーヌ《睡蓮》

9連画になってる

緑とピンクの波って感じ

大原美術館には、モネの庭から株分けされた睡蓮があるらしいんだが、その睡蓮をモネの構図風に描いた作品で、二重の(?)引用になっているという作品
また、福田は、本展覧会のために《睡蓮の池》というのを描き下ろしている。
モネ展で描き下ろしがあるとは、って感じだが
こちらは、タイトルとは裏腹、睡蓮も池も描かれていない。ビルの高層階にあるレストランを描いたもので、夜景の見えるガラス窓にテーブルが反射されている。そのテーブルの並ぶさまを睡蓮にたとえている。ガラスに反射した光なのか何なのかというあたりが、モネの描く水面へのオマージュといったところか

  • ジャン=ポール・リオベル《絵画》

ミッチェルのパートナーらしいが、この絵は、モネの《バラの小道の家》のオマージュらしくて、この2点は隣り合って展示されていた

写真っすかね。2枚で1セットみたいな絵
睡蓮の浮かぶ池が描写されており、ピンク色の雲が水面に写っている
この作品が展示されていた部屋では、ちょうど真反対の位置に、モネの《睡蓮》(1906)があり、こちらも水面に写るピンク色の雲が描かれていて、対比されて展示されている。

  • 小野耕石《波絵》

床に置かれたインスタレーション的作品
素材はアルミに貼った紙と油性インクということだが、メッシュ状になっており、またそれにインクがベタっと塗られており、金属っぽい(ないし金属についたサビっぽい)質感になっており、見る向きを変えると見え方が変わる作品になっている

横浜美術館コレクション展

モネ展にあわせる形で開催されており、説明も結構接続している
タイトルを手元にメモっていたものだけメモ

あ、東大生協の人かって

メモには、「でかい」とだけ残っている

  • 吉村益信《大ガラス》

でかいカラスの模型
大ガラスというと、東大駒場博物館に、デュシャンの大ガラスの別バージョンみたいなのが置いてあった

山水図がちょっと面白くて、ボーイング787が描きこまれている

  • 森村泰昌《私の中のフリーダ》《神とのたわむれ》

そういえば、著作は読んだことあるけど作品直接見るの初めてだ
コレクション展の冒頭で、刺激の強い作品があるのでご注意くださいって書いてあってなんだろと思ったけど、たぶんこの森村作品のことだと思う
《神とのたわむれ》が、まあ一言でいうと、ザ・不謹慎みたいな作品
キリストの磔刑を色々とパロディ化していて、森村本人だけでなく着せ替人形とかもあって

  • 西野正将《New Generations》

作家がのび太のコスプレして、それを後ろから撮っている写真

ナダールやブレッソンなど
ジョルジュ・サンドの肖像写真があったな