2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

毛内拡『脳を司る「脳」』

脳の活動というと、イコールでニューロンの活動と思いがちだし、実際に脳の研究はそのような前提で進められてきたが、ニューロン以外の活動(非シナプス的相互作用)も実はかなり重要である、ということを紹介してくれる本 以前から、グリア細胞が実は脳の情…

大江健三郎「セブンティーン」他(『大江健三郎全小説3』より)

コンプレックスを抱え込み、自慰に耽溺してしまうことへ後ろ暗さを持つ17才の少年が、偶然にも右翼団体に参加することになり、天皇主義へと傾倒していく過程を描いた短編。 大江作品については、先日大江健三郎『芽むしり仔撃ち』 - logical cypher scape2を…

荻原和樹『データ思考入門』

データ可視化について、実践的な観点からその心構えを説いてくれる本。 データ可視化というのは、数表をグラフなど視覚的にわかりやすい形で表現することを指す。上で「心構え」と言ったのは、具体的なツールの使い方などではなく、データ可視化に取りかかる…

『日経サイエンス2023年5月号』『Newton2023年5月号』

日経サイエンス 日経サイエンス2023年5月号 [雑誌]日経サイエンスAmazon表紙にはでかでかとChat GPTと書いているが、特集のタイトルは「話すAI 描くAI」であり、Chat GPT以外の話も書かれている。とはいえ、中心になっているのはやはりChat GPTではあるので…

土屋健『前恐竜時代』

サブタイトルは失われた魅惑のペルム紀世界とある通り、ペルム紀を扱った本。 ペルム紀を単独で取り上げた本というのはとても珍しいだろう。 古生物といえば圧倒的に恐竜が人気の中心だろうが、その直前の時代にあたるペルム紀も面白いぞ、と古生物サイエン…

「佐伯祐三 自画像としての風景」展

最終日に滑り込んできた。 東京ステーションギャラリー地味に初めてだったような気がする。 佐伯祐三は、近代美術館にある「ガス灯と広告」が結構好きだったものの、それ以外について何も知らない状態だった。 かなり充実したボリュームの展示で、予想以上に…

秋田麻早子『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』

自由に見るのでもなく、知識を当てはめるのでもなく、何に注目し、何を探して見ていくかという、絵画を見る方法を教えてくれる本。この手の本としては以前、布施英利『構図がわかれば絵画がわかる』 - logical cypher scape2を読んだことがあるものの、あま…