『日経サイエンス2023年5月号』『Newton2023年5月号』

日経サイエンス

表紙にはでかでかとChat GPTと書いているが、特集のタイトルは「話すAI 描くAI」であり、Chat GPT以外の話も書かれている。とはいえ、中心になっているのはやはりChat GPTではあるので偽りはない。なお、表紙イラストは生成AIに出力させたものらしい。

AIに人間らしさをもたらした大規模言語モデル  吉川和輝 協力:今泉允聡

最近のAIの進歩をもたらしたものとして、Transformerがある。GPTもBIRTも末尾のTは、TransformerのT
アテンションという機能があって、これがあると、代名詞のitが指すものが、文の離れたところにあっても分かるらしい。
仕組みの説明はあんまり書いてなかった気がするので、よくわからなかった。

ChatGPTの頭のなかをのぞき見る  出村政彬

記事の著者はNewtonの編集者で、4人の研究者へのインタビュー記事
まず、松尾豊(専門はAI、ディープラーニング)。
生成AIは、正しいことを答える場合もあれば、出鱈目や嘘を答える場合もある。学習データの中で、参照先が一つの時と、複数の時があって、後者の場合、出鱈目や嘘になることがあるし、ある種AIが創造性を発揮しているように見えるのではないか、と。
あと、AIがどういう形で知識を有しているか、AIの内部を分析する方法がないわけではないだが、大規模言語モデルでやるにはあまりに大変すぎるので、AIに直接聞くという方法が最近ではとられているという。
というところで、次に出てくるのが谷中瞳(専門は計算言語学、推論、自然言語処理)。
AIが文法を理解しているのかどうか調べている。
具体的には、関係節が何重にもなっている文を見せて、何重になっているか答えさせるというテスト。
実はAIは、これに答えられない。というか、学習データの中にあった、最も関係節が多い文の関係節の数+αくらいまでしか答えられない。
文法という法則としては理解していないっぽい(この結果だけでそこまで踏み込んでいいのか分からないけど、帰納推論ができないのか? と思った)。
小島武(文章生成モデルを研究)は、AIが適切に答えられるような「呪文」を発見した。順番通りに考えるように指示すると正答率が高まる。システム1とシステム2の切り替えみたいなことが起きるんじゃないか、と。
ところで、小島が「呪文」を発表すると、それを越える呪文の探索が行われたらしいが、なかなか見つからず、ようやく見つかったらしいが、その呪文探しはAI自身にやらせたらしい。
最後に新納浩幸(専門は自然言語処理機械学習)から、とはいえ生成AIも既存のAIの問題点を抱えていると指摘する。「パターン認識」と「推論」の2つの知的機能があり、前者に秀でているが、結局まだ後者はできていないのではないか、と。ただ、量が質に転化する可能性もあるかもしれないし(ないかもしれない)、あるいは最近だと、(言葉だけの世界ではなくものと関連付けるために)センシング情報と関連させる研究がホット、と。

無限対談 AIがでっち上げた有名人トーク  G. ミチェリ

記事筆者はドイツの映画監督ヘルツォークスロベニアの哲学者ジジェクとのフェイク対談動画を作成した研究者。
ディープフェイクがいかに脅威かをデモンストレーションするために作った、と。
元になるデータが多少でもあれば、すぐにその人そっくりのスピーチを作れてしまうことを警告している。

微生物スライムがとどめを刺した古生代末の大絶滅  C. メイズ/ V. ヴァイダ/ S. マクラフリン

ペルム紀末の大絶滅について、海洋微生物の増加が原因だったのではないか、と
二酸化炭素の増加、温暖化、富栄養化の3つの条件がそろうと、海洋微生物が増加する。海洋微生物の増加は、酸素の減少を引き起こし、また微生物が毒素を発するため、他の生物が死滅してしまう。
シベリアトラップの大噴火が、この3条件を引き起こした。
読んでいて思ったけど、これって要するに赤潮か。
二酸化炭素の増加、温暖化、富栄養化は現在も起こっていることなので、注意が必要、と

Newton

恐竜が絶滅した日 監修 丸岡照幸(筑波大)

最近、隕石が衝突したのは春だったという研究が発表されたが、まずその話題から始まる。
骨に残る炭素同位体の年輪から季節を推定した研究。なお、温暖な季節だということは分かるが、春か夏かというところまでは特定できないらしい。ただ、秋冬より春夏の方が、生き物は活動的であり、より隕石衝突の影響を受けやすかったと考えられ、タイミングは悪かったということは言える。
隕石衝突の角度も最悪だったらしい。
隕石衝突後、舞い上がったちりが太陽光を遮断し寒冷化が起きた、と従来は言われていたが、最近では、寒冷化を引き起こしたのはちりではなく、硫酸エアロゾルだったのではないか、と言われているらしい。
また、硫酸エアロゾルは、酸性雨も引き起こした。
とまあ、色々と新しいことも分かってきている反面、実際の絶滅のプロセスの詳細はまだ分からないところも多い。隕石衝突の衝撃で火災が起きたと考えられるが、そうした火災、そして上述の寒冷化、酸性雨のどの要因がどの程度絶滅に関与したのか、という点。
衝突時に死んだ魚は、特殊なガラスの粒が残ることで見つけられるが、衝突後の世界で生きていたかどうかを調べるのは今の技術では難しい。しかし、今後そのような生き物の情報を得て、衝突後の具体的な環境変化の調査が求められている

最新の宇宙船

民間の宇宙船紹介記事。最初に全般的な解説があったが、そこで今後必要になるのは、型式証明とか運航ルールと
写真・画像付きで紹介されていたのは以下

破産申請のニュースを見た後に読んだのでつれーわ

この会社だけ知らなかったのだが、2017年に設立された会社で、大樹町で打ち上げ計画をもっているらしい。
長友というのは、故長友信人氏に由来するとのこと。で、どうもHOPE計画を継承しているらしい。こんなところで生き延びていたのか!

  • ペガサス(PDエアロスペース)

下地島に宇宙港作る予定の奴
ジェットエンジンモードとロケットエンジンモードに切り替えられるらしい。