哲学

『哲学の探求』37号

「分析美学の現在」ということで、 清塚邦彦「フィクションの統語論をめぐって」 西村清和「「美的なもの」の分析美学」 三浦俊彦「進化美学の可能性」 清塚さんのは、『フィクションの哲学』の補論みたいな感じなのかな。サールに対する反論と、あと統語論…

あんまりちゃんと感想メモ書けてなかったけど、読んだ本の記録2

清塚邦彦『フィクションの哲学』 色々な意味で勉強になった。 何というか、文章の書き方レベルから。 想像って結局何なの、とか、西村清和から来るであろう反論をどうかわすの、とかが気になった。 あと、やはりウォルトンは面白そうだなあとか。 虚構記号と…

伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』

動物倫理を手がかりに、英米系倫理学について概観する入門書。 様々な立場を紹介し、それぞれの立場について、動物倫理においては具体的にどのような立場をとるか見ることで、それぞれの立場の長所と短所を見ていく。 そういう意味で、終章で倫理学的理論の…

イアン・ハッキング『偶然を飼いならす』

ハッキング二冊目。 統計にまつわる科学史。 面白い章も色々あったのだけど、一方で統計がよく分かっていないとよく分からない部分も多かった。統計について解説してくれるかと思ったら、統計や確率の概念についての説明はほとんどなくて、統計や確率といっ…

『RATIO』01〜04

図書館行ったら、RATIOあったし! 3巻と4巻を借りる。 図書館には4巻までしかないが、今のところ6巻まで出ている。鬼界先生の論考は5巻、安藤馨は6巻のようだ。 今まで本屋では、戸田山・伊勢田連載以外わりとスルーしていたのだけど、よくよく眺めて…

三中信宏『分類思考の世界』

生物学哲学の大問題である「種」を巡って、その博覧強記をもって様々なエピソードから描き出した一冊。 というわけで、これは紛うことなき科学哲学の本であり、実際著者も何度も形而上学という言葉を使っているのだけど、哲学という言葉を聞いてこういったも…

内井惣七『ダーウィンの思想』

ダーウィンが如何にして進化論を考えるに至ったのか、ということがまとめられている。 進化論そのものの解説としてもコンパクトにまとまっているけれど、それが実際にダーウィンがどのように考えていったのかがわかる。 まずはビーグル号の話と、地質学者ラ…

哲学者RPGを作ろう計画Ver0.3

哲学者RPGを作ろう企画 - pon_zhanの日記 哲学者RPGつくろうぜ計画 ver0.2 - 覚え書き、あるいは思考メモ というわけで、流れに乗ってみることにした。 哲学者RPG分析哲学編。 導入 主人公がフレーゲと会うところから始まる。数学の基礎について語り合う2人…

色々

書くのをずっとさぼってしまった。 一回さぼるとどんどん面倒になるのだが、その一方で不安にもなってくる。 フィクションの美学作者: 西村清和出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 1993/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (20…

『哲学の探究』第35号

伊佐敷隆弘「反実仮想とフィクション――実在する物個体をめぐって――」 反実仮想とフィクションの違いについて 細部の確定性(不確定なのがフィクション) 変更明示の原則(伴わないのがフィクション) 履歴への追加の不可能性 これらから、フィクションには実…

飯田隆『言語哲学大全 意味と様相』

2巻と3巻、意味と様相の上下を読んだ。 やはりこれもまた、何で今まで読んでいなかったという感じだが、久しぶりに言語哲学に触れるとやっぱり楽しい。1年か2年に一回、言語哲学の本を読むといいのかもしれない。わからんけど。 入門レベルというのには…

アントニオ・ダマシオ『感じる脳』

これは面白かった! 感情とは一体何かということについて、かなり踏み込んで仮説を構築している感じがする。 具体的な部分について、まだ分かっていないところがあるとも言っているが、大まかなアウトラインはできている。 何よりも、感情とは内部状態につい…

『思想』2009年第5号

特集「『思想の科学』の原点をめぐって」 〈インタヴュー〉『思想の科学』の原点をめぐって──鶴見俊輔氏に聞く── 聞き手:藤野寛、伊勢田哲治 これは、初期のアメリカ哲学の輸入者としての鶴見の功績を探ろうとする藤野、伊勢田に対して、鶴見がこうなんだか…

思想地図vol.3

安藤馨「アーキテクチュアと自由」(『思想地図vol.3』) 読んだ。面白い! 彼の立場や結論には必ずしも首肯しないが、議論のやり方や文体がとても 好み 分析哲学的(というか、メタ倫理学の方法論を汲んでるんだろうが )で、明晰な感じがする こういうのは読ん…

5月後半に読んだ本・雑誌

現代思想ダーウィン 「鳥のさえずり行動と四つの質問」岡ノ谷一夫他 「ArtHistoryとNaturalHistory」田中純 思ったほど面白くなかった 「「エボデボ革命」はどの程度革命的なのか」戸田山和久 勉強になった。発生から見る遺伝子。(環境とかによって変わる非…

文芸誌(磯崎憲一郎「終の住処」他)

『新潮6月号』 磯崎憲一郎「終の住処」 磯崎作品のテーマはこれだっとかズバッと言いにくいのが磯崎作品の特徴だけれども、それでもやっぱり磯崎作品は大体どれも「時間」というのが通底していると思う。 この作品でも時間そのものを感じさせるような描写が…

スーザン・ブラックモア『「意識」を語る』

哲学者、心理学者、神経科学者などなどの「意識」研究者へのインタビュー集。 著者のスーザン・ブラックモアは、『ミーム・マシンとしての私』の著者。僕は、このタイトルと名前しか知らなかったので、てっきり生物学者か何かだと思っていたので、訳者解説を…

今日立ち読みした雑誌

立ち読みしつつtwitterしてたのを抜粋。 今月の日経サイエンス。茂木インタビューの相手は、三中信宏。新書に載ってた顔写真と顔が違うw(多分髭) 系統樹コレクションの話、「種」概念の話、ダーウィンの話をしてる 種の話は、分類学はもっと認知心理学とか…

スティーブン・スティッチ『断片化する理性』

今までの認識論のプログラムの問題点を指摘し、認識論的プラグマティズムを提案する本。 様々な心理学実験によって、人は下手な推論ばかりをしているのではないかと思われ始めている。 一方で、筆者がデイヴィドソン/デネット論証と呼ぶものに見られるよう…

『現代形而上学論文集』

メタフィジクスをやるとモテるという噂を聞いて、ゆるふわに近づくために読んでみた。 読んでみての感想は、メタモテへの道は遠い、というかこんな道は諦めるw そもそも形而上学って何なのよ、単なる言葉遊びじゃないの、と思われる向きに対して まああなが…

山内志朗『ライプニッツ』

副題は「なぜ私は世界にひとりしかいないのか」 自分の唯一性にテーマを絞って、ライプニッツについて解説している。 ハンディで、それでいてできるだけ平易な言葉でモナドロジーについて解説していて、よかった。 それなりに難しいことは難しいけど。モナド…

『現代思想12月号』「特集ドゥルーズ」

ほとんど12月に読み終わっていたのだけれど、ブログに書くのが遅れていた。 「映像・脳・言語」(宇野邦一インタビュー) クリスチャン・メッツ=映画を記号学的に読む ドゥルーズ=映画を記号論的に読む ライプニッツの話、脳の話、反復の話 「時間の総合…

内井惣七『進化論と倫理』

上とあわせて、今日は進化論漬け。 それにしても、ダーウィンはすごいなあと思う。 20世紀の天才はアインシュタインだとして、19世紀の天才は間違いなくダーウィン。 進化論は、ダーウィン以後様々に改訂されてきたし、そもそもダーウィンは分子生物学は…

問いの整理2(個人的なメモ)

以下、超個人的なメモ。 公開しているブログに書くことでもないのだけど、ブログというのは自分でもよく目にする場所なのでここに書いておく。twitterから転載 インターフェイスについての問い。自分と世界との間のインターフェイス。自分と自分との間のイン…

今月の文芸誌他

『新潮12月号』 舞城王太郎「すっとこどっこいしょ。」 私立の中高一貫校に通う男子の、中学の修学旅行から高校までの、恋愛と友情を描いた作品。 なにこれ、舞城作品の紹介じゃないみたいだw うーん、いやほんと、さらさらっと読めるし、まあまあ面白い…

ギルバート・ライル『心の概念』

言うなれば、哲学に対するちゃぶ台返し、それが日常言語分析。 一冊まるごと、デカルト的心身二元論に対する批判。 世界は、「物的世界」と「心的世界」の2つに分かれていて、様々な「心的」と呼ばれる現象は「心的世界」で起こっている出来事である、とい…

問いの整理

ブログで書かなくてもいいのだが、ブログで書いてもいいので、とりあえず書く。 自分の興味・関心のあることを腑分けしてみる。 「何故生きてるのか」的問い 哲学的な問いの例として、「私は何故生きてるのか」というのが挙げられることが多いと思うのだが、…

『感情とクオリアの謎』

柴田正良、服部裕幸、長滝祥司、月本洋、伊藤春樹、前野隆司、三浦俊彦、柏端達也、篠原成彦、美濃正の論文集*1。 第1部が感情、第2部がクオリアを扱っており、第3部では座談会が行われている。 論文数は、第1部が4つ、第2部が6つであり、第1部にし…

「動機」をめぐって

「文芸評論」と「哲学」のタグをつけてるが、「理論社会学」というタイトルの講義について。 ミステリ小説の言説空間についての授業だった。 取り上げられた作家は、エドガー・アラン・ポー、黒岩涙香、レーモン・ルーセル、松本清張らである。 が、ここでは…

ライル「系統的に誤解を招く諸表現」、ストローソン「指示について」(『現代哲学基本論文集2』)

『現代哲学基本論文集1』も半分くらいしか読んでいないが、『現代哲学基本論文集2』。 この本は、ムーア、タルスキ、クワイン、ライル、ストローソンの論文が1本ずつ収録されているのだが、とりあえず今回はその中で、ライルとストローソンを読んだ。残り…