これは面白かった!
感情とは一体何かということについて、かなり踏み込んで仮説を構築している感じがする。
具体的な部分について、まだ分かっていないところがあるとも言っているが、大まかなアウトラインはできている。
何よりも、感情とは内部状態についての知覚である、と言い切ってしまっているところがすごい。
情感と感情の区別
身体マップ
感情と意志決定
自己の感覚
意識と記憶
スピノザは、ダマシオがこの仮説的理論を作っていく上で、指針として機能したのだろうと思う。ただ、ダマシオの理論的枠組は、スピノザからは独立して成立しているので、読者的には何でスピノザにこんなページを割くんだろうと思ったりもする。ダマシオがスピノザに惚れ込んでいるのは非常によく分かるが。
しかし、その理由は最終章に明らかになる。最終章は、脳科学という領域を越え出る。脳科学によって、感情の仕組みが分かることが、私たちがどのように生きていくかということとどのように関わるのかを論じている。そこでダマシオが参照しているのは、ネガティブな感情をポジティブな感情に変えて生きることをよしとしたスピノザの思想と人生なのである。
感情移入の項とか、考えていくヒントというか、なんか読んでいて盛り上がった。
あと、現象的意識に関しては、ダマシオも今のところはよく分からないといっている。ただ、なくてもいいというわけでもない。
- 作者: アントニオ・R・ダマシオ,田中三彦
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2005/10/28
- メディア: 単行本
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