哲学
普遍についての現代形而上学の入門書 普遍論争というと中世スコラ哲学が連想されるだろうが、現代の哲学においてもなお論争の続いているトピックである。 普遍についての問いというのは、「トークンa、b、c……が同じタイプFであるとはどういうことか」という…
ついに出た! 日本語による現代形而上学の入門書! 日本語で読める現代形而上学の入門書としては、既にアール・コニー+セオドア・サイダー『形而上学レッスン――存在・時間・自由をめぐる哲学ガイド』 - logical cypher scapeがあり、内容には一部重複すると…
内井惣七『空間の謎・時間の謎』 - logical cypher scape、大栗博司『大栗先生の超弦理論入門』 - logical cypher scapeと読んできたので、時間関係の本をもう少し読もうかと思って、手に取ってみた。とはいえ、先に挙げた2冊とはかなり毛色の違う本。 サブ…
Ucci Leipuccini, Monadology, Information, and Physics - Togetterを読んで、内井惣七がまたライプニッツの本を準備していると知ったので、再読してみた。 件のtogetterでは、ライプニッツの情報理論的な側面の話をしているが、本書では最後に、情報理論に…
5年前くらいから読みたいと思っていて、ようやく読めた本w サブタイトルは「非合理性の哲学入門」 行為の哲学に属する話で、非合理な行為に思われる「自己欺瞞」と「自己犠牲」について分析を試みる。 非合理というのは、「何故それをやったのか」という問…
基礎的な、行為の哲学がそもそも何かとか基本用語の説明から始まり、専門的にはしすぎないものの、どのような議論がなされていたのかをなぞり、この分野で著名な哲学者の主張についてもおさえつつ、最終的には筆者自身のテーマの筆者なりの議論を展開すると…
17,8世紀のフランス思想史を、動物霊魂論という観点から紐解く本*1。 デカルトの動物機械論、つまり動物はただの物質に過ぎず、言うなれば機械仕掛けで動いているようなものなので精神はないという考えに対して巻き起こった様々な反応、とでも言えばいい…
八木沢敬『意味・真理・存在 分析哲学入門中級編』 - logical cypher scapeを読んだ勢いで読んだ 八木沢本を先に読んでてよかった。 第一部 言語哲学の誕生 フレーゲ「意義と意味について」(野本和幸訳) 言わずとしれた超有名論文。1892年。 改めて、…
八木沢敬『分析哲学入門』 - logical cypher scapeの続編である(前作を読んでないと分からないという部分はなく、全く別の著作として読んでも問題ない)。 ぐっと内容の濃度が上がっていて、なるほど中級編だという感じ。 すごい色々と勉強になり、そういう…
サブタイトルは「哲学の新たな構想」で、原題のReconceptions in Philosohy and Other Arts and Sciencesの訳 序文で、科学と芸術あるいは認知と感情の二元論を脱却して、新しい哲学を打ち立てるというような宣言がなされる。 さて、実はこうしたグッドマン…
これぞ分析哲学だよねーという感じの本で、非常に面白い。 後半は結構議論が難しくなってくるが、それでも議論が追いやすくなるように作られているので基本的には分かりやすいと思う。 もっとも、心の哲学全く知らないとなると多少つらいかもしれない。 注釈…
フッサールについては、元々あまりしっているわけではないが、これを読んでフッサールのイメージが変わったかもしれない*1。 というか、おそらく著者自身が、今まであまり言われてなかったフッサール像を出そうとしたのかな、と思う。 筆者は、フッサールに…
最近哲学読んでなかったので タイムトラベルとは一体何なのか、ということを起点にした時間論。 内容まとめではなく、テキトーに気になったとこだけ拾いメモ 序章にあるレコード盤の喩えは、『順列都市』っぽい。 「私の時間」と「前後の時間」の区別は、A系…
CiNii Articles 検索 - 現代存在論入門著者が計画している『現代存在論入門』(仮題)という著書の「スケッチ」ということで、プロトタイプになるような原稿が公開されている。 普通の文章に混ざって、ヨシオ、ノリコ、タカシの会話文が挟み込まれるスタイル…
志向性*1について非存在主義を採用することで一般的な説明を与え、また同時に非存在主義についての擁護を行う本。 非存在主義とは、存在しない対象についても指示や量化ができるという立場。マイノング主義ともいわれ*2、かつてラッセルやクワインによって批…
ちくま新書から出た分析哲学の入門書。 分析哲学の入門書というと、先日、講談社選書メチエから、八木沢敬『分析哲学入門』という本も出ているが、この両者はある意味ではよく似ているし、ある意味では結構違う。 どちらも分析哲学とは何かというところから…
『名指しと必然性』の訳者による、初めての日本語による著書。 トピック毎に分かれた章立てになっているが、特に従来の分析哲学入門と比べると*1、クリプキに割かれている部分が多いのが特徴的ではないかと思う。 かなり八木沢流に噛み砕いて書かれている感…
超長いこと、積ん読になってた本。 しかも何故か1と2は読んでないのに3だけ持っていたという謎具合。 5つの論文が収録されていて、そのうち1番目に入っていたキム論文が難解だったため(後述するが訳語が悪い)、挫折していた。どうせ、論文集なのだから…
サブタイトルは「心身問題と心的因果」 徹底した物理主義の立場から書かれた心の哲学の本。 実を言えば、心の哲学の中でも心的因果の話はいまいちピンとこないままだったのだが、今更ながら、おー、そういうことなのか、と思ったりw スーパーヴィーニエンス…
「ブックガイドシリーズ基本の30冊」というシリーズの中の一冊。 その名の通り、30冊の本についての紹介がなされている。 1つの本につき大体6ページくらいなので、それぞれにつきそれほど詳細に論じられているわけではないけれど、要約に終わらず、著…
KAWADE道の手帖シリーズ。 鬼界彰夫、永井均、飯田隆、岡本賢吾による「レクチャー」、野家啓一のエッセイ、戸田山和久、大家雄裕、田中久美子、小山明、前田泰樹、山田啓一による論考、著作解題、さらに、大森荘蔵、藤本隆志、坂井秀寿、奥雅博がかつて書い…
この三連休のあいだ行われている応用哲学会の1日目において開かれた、音楽の哲学シンポジウムに行ってきた。 哲学者、美学者に加えて、フルート奏者と作曲家を交えた、哲学のシンポジウムとしては異例のメンツによるちょっと実験的な企画であった。 最初は…
「生き方」を考えるとはどういうことかを考える本。 その一方で、「プラトニズム」批判も展開されている本であり、まさに「生き方」と「哲学」の本になっている。 ウィトゲンシュタイン研究で知られる筆者だが、この本で前面に出てきているのは実はアリスト…
タイトルにあるとおり、形而上学の入門書である。 が、そもそも形而上学とはなんぞやというところが分からないとならないだろうが、それはそれ自体が一つのトピックになるほど、実は厄介であったりする。 とりあえず、訳者あとがきから要約しておくと、 形而…
やっと読めたよ、ヒューム。 去年の7月に中公クラシックスから出ていた。冒頭に一ノ瀬正樹による解説がある(なお、抄訳であちこち略されている。あと、この翻訳の初出がわからない)。 冒頭の解説にもあるけれど、主要なテーマは因果関係 これが非常にきっ…
中世哲学のトピックの一つである普遍論争について、従来的な図式を壊して解説するもので、語り口は平易なのに難解な本。 難解なのは、中世哲学独特の単語や言い回しのせいだが、テクストを引用した後、ちゃんと噛み砕いてくれているので、見慣れない単語に目…
文フリよりもさらに2週間くらい前に読み終わっていたのだが、なかなか書く時間がなかった。 帯に「もっとも読みやすいウィトゲンシュタイン」とあり、実際そうかもなあと思う。 といっても自分は、ウィトゲンシュタインの『論考』と『探求』の一部を読んだに…
上巻だけ。目次を見て下巻に惹かれなかったので、というか最初はとりあえず崇高論だけ読むつもりだったので、上巻しか買わなかった。 そういえば、ブログに書き損ねたけれど、以前『純粋理性批判』も中巻だけ、読んだのだったw これは、読書会に途中から途…
三中さんの本で紹介されていた本で、ようやく読めた*1。 日本語サブタイトルは「生物学の哲学入門」、原著タイトルはそのものずばり“Philosophy of Biology”である。 では、生物学の哲学とは何か。まあ、何かと問われてはっきりとした答えが出せるものでもな…
日本語版のサブタイトルに「相対主義と実在論を論駁する」とある通り、科学哲学における二つの極端な(?)考えを批判していく中で、ラウダン*1の網状モデルという科学哲学が展開されている(解説で戸田山さんが述べているが、「網状モデル」というより「三…