美学

Bence Nanay ”Inflected and Uninflected Experience of Pictures”

描写の哲学・美学の論文 屈折してる視覚経験と屈折していない視覚経験について 絵を鑑賞している時に、単に絵に描かれている内容だけを見ているのではなく、同時に絵の表面の性質・デザインについても見ている時=屈折 直接(フェイストゥフェイスで)対象を…

グレゴリー・カリー『フィクションの本性』("THE NATURE OF FICTION")第5章

フィクションとは、作者が読者にごっこ遊びさせる意図で作られたものであり、フィクションの内容を解釈するとは虚構的な作者の信念を解釈することである、というカリーの主張をもとにしたフィクションの哲学の本 5章で最後となる。 グレゴリー・カリー『フィ…

グレゴリー・カリー『フィクションの本性』("THE NATURE OF FICTION")第4章

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章 - logical cypher scape グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章 - logical cypher scape グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATU…

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第3章

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章 - logical cypher scape グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章 - logical cypher scapeの続き Chapter3. Interpretation 3.1. Relationalism …

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章 - logical cypher scapeの続き Chapter2. The Structure of Stories 2.1. Truth in fiction and fictional worlds 2.2. Being fictional 2.3. Lewis's theory 2.4. More on make-b…

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章

ウォルトンのKendall L. Walton "Mimesis as Make-Believe :On the Foundations of the Representational Arts" - logical cypher scapeに引き続き*1、分析美学のフィクション論の本 まだ読んでいる途中で、とりあえず第1章の部分について 1990年初版、…

ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")後半(6〜9章)

イメージの哲学の教科書 ROUTLEDGEのNew Problems of Philosophyというシリーズの一冊 全部で9章構成で、大きく前半と後半に分けられる。 前半については、ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")前半(1〜5章) - logical cyphe…

ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")前半(1〜5章)

イメージの哲学の教科書 ROUTLEDGEのNew Problems of Philosophyというシリーズの一冊 全部で9章構成で、大きく前半と後半に分けられる。 前半は、描写についての説を5つ紹介している。これらは20世紀半ば以降のもので、ゴンブリッチからの影響を受けてい…

ノエル・キャロル「映画(movies)の力」(『分析美学論文アンソロジー』より)

映画が、他の芸術様式と比べて、より広くより強く人々を捉えるのはどのようにしてなのか、という論文 ラマルク+オルセン編『美学と芸術の哲学:分析的伝統:アンソロジー』 - logical cypher scapeに収録されている。初出は1985年。 映画についての、リアリ…

レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語』

ニューメディアとは、CG合成の映画やコンピュータゲーム、web、メディアアートなど、コンピュータを使ったメディア(作品)の総称で、そうしたものについての美学理論入門*1 ニューメディアと(オールドメディアである)映画との連続性を検討している感じの…

名古屋哲学フォーラム2013秋「美を語る資格があるのは誰だ? 心理学(脳神経美学) vs 科学哲学 vs 分析美学」

日時: 2013年9月14日(土曜日)午後1時半より 会場: 南山大学名古屋キャンパスR棟R32教室 行ってきました。 名古屋は2度目。とはいえ、1度目は、他のところへの旅行の途中で立ち寄って名古屋駅の近くで昼食食べただけ。今回も、南山大学直行して、またすぐ…

ロバート・ローゼンブラム『近代絵画と北方ロマン主義の伝統』

ドイツロマン主義の画家カスパー・ダイーフィト・フリードリヒから、抽象表現主義の画家マーク・ロスコまでを、「北方ロマン主義」という系譜の中で位置づけようという本。 崇高の話とか読んでいると、時々言及される本なので、まあ読んでみるかと。 北方ロ…

『美学芸術学論集(特集:脳/美学――脳科学への感性学的アプローチ』神戸大学芸術学研究室

レポジトリからpdf落として読めたので、読んでみた。神戸大学学術成果リポジトリ Kernel 神経美学のシンポジウムが近いのでその予習、と思ったからというわけでもなくw たまたま、じゃぶらふきゅーさんに教えてもらったので 『歌うネアンデルタール』そろそ…

ロバート・ステッカー『分析美学入門』

その名の通り、美学の入門書であり、複数のトピックについて基本的な議論が紹介され、各章末には練習問題と参考文献が付されている。 また訳注も充実しており、時に、いわゆる分析哲学における議論の進め方についての一般的な解説とでもいうべきようなものま…

ネルソン・グッドマン『Languages of Art』

グッドマンの美学本。 内容については『筑波批評2013春』でたっぷりレジュメを書いたので、そちらを是非ご覧くださいw 詳しい告知は、今週末に出しますのでw グッドマンは、絵画や音楽もまた、言語と同じように、なにがしかを意味するという記号作用を担っ…

ネルソン・グッドマン/C.Z.エルギン『記号主義』

サブタイトルは「哲学の新たな構想」で、原題のReconceptions in Philosohy and Other Arts and Sciencesの訳 序文で、科学と芸術あるいは認知と感情の二元論を脱却して、新しい哲学を打ち立てるというような宣言がなされる。 さて、実はこうしたグッドマン…

川畑秀明『脳は美をどう感じるか』

神経美学の一般向け紹介の本。 似たタイトルの本として、セミール・ゼキの『脳は美をいかに感じるか』があるが、ゼキは川畑の師にあたるらしい。 筆者の専門は心理学であるとのこと。 神経美学とは、脳科学的アプローチによって芸術鑑賞や制作について迫ると…

小田部胤久『西洋美学史』

@tieckP、@nix_in_desrtis、@ja_bra_af_cuのお三方と一緒に、読書会をしました。 さらっと流し読みもできるけど、しっかり読もうとすると省略とか飛躍があって難しいというか、そういうところも含めて概説本なのだと思う。 ここらへんの話題面白いなーという…

ラマルク+オルセン編『美学と芸術の哲学:分析的伝統:アンソロジー』

原題は"Aesthetics and the philosophy of art : the analytic traditon : an anthology"で、編者はPeter LamarqueとStein Haugom Olsen。 英語の本なので、ブログ記事タイトルは自分の勝手な翻訳。以前、洋書のタイトルをそのままブログのタイトルにしたら…

Kendall L. Walton "Mimesis as Make-Believe :On the Foundations of the Representational Arts"

ウォルトンの「ごっこ遊び」論 小説や絵画といったフィクション作品=representational artsをごっこ遊びとして捉えて分析する。 まず、想像、特にごっこ遊び的な想像というものが取り上げられる。この場合の想像というのは自由奔放に思い描いてくことではな…

西村清和『フィクションの美学』

フィクションは現実を指示しているわけではないよ(サン・ヴィクトワール山の絵は、まず第一に絵であって、サン・ヴィクトワール山を指示していたり、サン・ヴィクトワール山の代理であったりするわけではない)。ただし、何らかの約束事があって、指示して…

桑島秀樹『崇高の美学』

美学における「崇高」という概念についてまとめられた本。 崇高とは、何か超越的な気高いものを指しているというわけではなく、むしろ山とか石とか地面とかいったものを徹底的に凝視することで感じられる感性的な価値である、というのがざっくりしたまとめ。…

東浩紀『サイバースペースは何故そう呼ばれるか+』

「サイバースペースは何故そう呼ばれるか」を河出文庫版で再読。 それから、収録されている論考「精神分析の世紀、情報機械の世紀」「想像界と動物的通路」「スーパーフラットで思弁する」を読んだ。「精神分析の〜」は再読、残り2つは初めて読んだ。対話の…

音楽の哲学シンポジウム

この三連休のあいだ行われている応用哲学会の1日目において開かれた、音楽の哲学シンポジウムに行ってきた。 哲学者、美学者に加えて、フルート奏者と作曲家を交えた、哲学のシンポジウムとしては異例のメンツによるちょっと実験的な企画であった。 最初は…

カント『判断力批判』(上)

上巻だけ。目次を見て下巻に惹かれなかったので、というか最初はとりあえず崇高論だけ読むつもりだったので、上巻しか買わなかった。 そういえば、ブログに書き損ねたけれど、以前『純粋理性批判』も中巻だけ、読んだのだったw これは、読書会に途中から途…

『哲学の探求』37号

「分析美学の現在」ということで、 清塚邦彦「フィクションの統語論をめぐって」 西村清和「「美的なもの」の分析美学」 三浦俊彦「進化美学の可能性」 清塚さんのは、『フィクションの哲学』の補論みたいな感じなのかな。サールに対する反論と、あと統語論…

『RATIO』01〜04

図書館行ったら、RATIOあったし! 3巻と4巻を借りる。 図書館には4巻までしかないが、今のところ6巻まで出ている。鬼界先生の論考は5巻、安藤馨は6巻のようだ。 今まで本屋では、戸田山・伊勢田連載以外わりとスルーしていたのだけど、よくよく眺めて…

『講座美学3』今道友信編

とりあえず、美学って何なんだということで入門編として読んでみた。 美学の方法というタイトルで、色々な方法論が紹介されている。 わけわからんものもあれば、面白いものもあった。 現象学 フッサールの遺稿から、フッサールの美学を再構成するという試み…

佐々木健一『作品の哲学』

作品という存在を主題とした哲学的探求。 従来の美学が、作品によってもたらされる体験を対象としていたのに対して、この本は作品という存在そのものを対象とする。 まず、存在を三つに区分する。すなわち、自然・行為・作品である。 自然に対して、行為も作…

佐々木健一『美学への招待』

とても面白かった。 その名の通り、美学の入門書だが、美学の学説などについて論じられているわけではない。 しかし、知的刺激には溢れている。 美学とは、美と感性と芸術についての学である。 美学は、aestheticsの翻訳語だが、aestheticというのは、感性と…