美学

ベンス・ナナイ「トロンプ・ルイユと画像知覚の腹側/背側説明」

Bence Nanay ”Trompe l’oeil and the Dorsal/Ventral Account of Picture Perception” https://philpapers.org/rec/NANTLA-2 2008年の論文であるベンス・ナナイ「画像知覚と二つの視覚サブシステム」 - logical cypher scape]の内容をもとに膨らませて書いて…

ベンス・ナナイ「画像知覚と二つの視覚サブシステム」

Bence Nanay “Picture Perception and the Two Visual Subsystems” https://www.semanticscholar.org/paper/Picture-Perception-and-the-Two-Visual-Subsystems-Nanay/ddfd7a7276afa17a0e8b486659ac137392c21ecc?tab=abstract 描写の理論に関する論文 二面性…

リチャード・ウォルハイム「画像的表象について」

美学論文アンソロ(ラマルク+オルセン編『美学と芸術の哲学:分析的伝統:アンソロジー』 - logical cypher scape)から Mulcom Budd “How pictures look” (マルコム・バッド「画像はどのように見えるか」) - logical cypher scapeに続いて、描写について…

Mulcom Budd “How pictures look” (マルコム・バッド「画像はどのように見えるか」)

美学論文アンソロ(ラマルク+オルセン編『美学と芸術の哲学:分析的伝統:アンソロジー』 - logical cypher scape)から 描写の理論(Theory of Depiction)にはいくつかの立場があって、類似説、経験説、認識(認知)説、メイクビリーブ説、構造(記号)説…

戸田山和久『恐怖の哲学』

ホラー映画を題材にして、情動の哲学、フィクションの哲学、死の害の形而上学、意識の哲学など、哲学の各分野の議論を紹介しつつ、筆者のホラー映画愛も盛り込まれている本 (入門書だけ読んでおわりがちな)自分にしては珍しく、この本の元ネタのいくつかを…

THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪ GROOVE☆

横浜にあるDMM VRシアターで行われた、アイマスのVRライブイベント、我那覇響回に行ってきた 久しぶりのアイマス関係記事 アイマスとかアニメとかの記事は、数年前からはてなブログの方に書くようになったので、こちらでアイマスのライブイベントについての…

『フィルカルVol.3 No.1』

分析哲学と文化をつなぐ雑誌通巻5号 急にこれまでの倍くらいの分厚さに 今回は、分析美学の論考が2本に、前号の「大森靖子と推論主義」に対するリプライ、イベントのレポート記事などもあって盛りだくさんとなっている。 また、本号に「創造と複製-芸術作品…

日大哲学WS「美的経験、再考!」

金曜日に行われていたワークショップだが、自分は行くことができなかった。 しかし、提題者の方々がみな配布資料をアップしてくださっていたので、それらを読んだ。 いずれも、日常的なことと関わるようなことを検討していて、美学の面白さが出ていると思う…

Bence Nanay ”Threefoldness"

Threefoldness | SpringerLink Nanayによる、「二面性」でなくて「三面性」だという論文 二面性が、絵の表面と描かれているものの二面だが、 絵の表面、絵の表面によってエンコードされる三次元のもの、描かれているものの3つだ、と。 間に1つかますことで…

美学会・科学基礎論学会・科学哲学会

10月から11月にかけて参加した学会 とりあえず、どの題目を聞いたくらいはメモっておくことにした 第68回美学会全国大会(@國學院大学) 大会プログラム 10/7 研究発表 松粼俊之(石巻専修大学) 表象的特性としての知覚的クオリアと美的クオリア―フレーゲ…

S.E.P.「Depiction描写」

Depiction (Stanford Encyclopedia of Philosophy) 1. Resemblance Theories of Depiction 1.1 Resemblance and its Critics 1.2 Recent Resemblance Theories 2. Conventionalist Theories of Depiction 3. Psychological Theories of Depiction 3.1 Experi…

清塚邦彦『フィクションの哲学 改訂版』

新章が追加されたということで、取り急ぎそこの部分だけ読んだ。フィクションの哲学 〔改訂版〕作者:邦彦, 清塚発売日: 2017/06/24メディア: 単行本 第七章 フィクションの意義と意味 この章のタイトル、目次だけ見てた時、どういうことかわかってなかったん…

『芸術の言語』から現代の分析美学へ

グッドマン『芸術の言語』発売を記念して、東大駒場で開催されたイベントへ行ってきた。 5つのトピックについて、5人の登壇者がそれぞれ、グッドマンの主張とその後の分析美学における主張とを紹介するというもので、とても勉強になって面白かった。 特に、…

ケンダル・ウォルトン『フィクションとは何か』(田村均訳)

サブタイトルは「ごっこ遊びと芸術」 Kendall L. Walton "Mimesis as Make-Believe :On the Foundations of the Representational Arts" - logical cypher scapeの邦訳であり、1年程前に出ていたのだが、ようやく手に取ることができた。 が、まあなにぶん長…

科学とイラストレーションについて

むかわ竜復元画 以前読んだ土屋健『ザ・パーフェクト』 - logical cypher scapeの中には、むかわ竜の復元画を描いた服部雅人についての章もあった。 小林からの依頼から、プレスリリースで使われるむかわ竜のイラストをどのように描いていったのか、メールの…

ネルソン・グッドマン『芸術の言語』(戸澤義夫・松永伸司訳)

待望の邦訳 原著についてはネルソン・グッドマン『Languages of Art』 - logical cypher scapeというか、超文フリにて新刊『筑波批評2013春』! - logical cypher scapeでレジュメをまとめたので、こちらの記事では内容まとめません。 ただまあ、やはり…

ロバート・P・クリース『世界でもっとも美しい10の科学実験』

古代から現代まで、物理学における「美しい」科学実験について紹介するとともに、科学実験における美についての哲学的エッセイがまとめられている本 筆者の専門は哲学・科学史で、『フィジックス・ワールド』誌でコラムを担当している。 ちなみに、訳は青木…

ウォルトンにおける想像のobjectについて

ケンダル・ウォルトン『フィクションとは何か』田村均訳について、 以前、高田さんが ウォルトンにおける想像の対象 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ という記事を書き、田村氏が、「表象体の対象(an object of a represenation)」と「想像活動のオブジ…

カロル・タロン=ユゴン『美学への手引き』(上村博・訳)

古代から現代に至る美学史をコンパクトにまとめた1冊 文章も読みやすく丁寧で、西洋哲学史の中での美学の変遷を掴むのにはよいのではないのかと思う。あまり類書を読んでいないので比較はできないが。 それぞれ時代ごと、人ごとの美学の紹介なのだが、その際…

『思想2016年4月号』(特集:神経系人文学――イメージ研究の挑戦)

神経美学に対して、ドイツを中心に、神経科学を取り込んだ美術史研究、文学研究等が生まれ、実験美学、経験美学として研究が進められているという動向について 一応、「神経系人文学」と銘打たれているが、他にも色々名前があって、そこらへんはまだあまり整…

『アートオブコミックス:哲学的アプローチ』序文(文フリ東京ボツネタ)

5月1日に東京流通センターで行われる文学フリマ東京にて、 シノハラユウキ『フィクションは重なり合う――分析美学からアニメ評論へ』を発行します。 詳細は→5/1文学フリマ東京にて『フィクションは重なり合う』発行 - logical cypher scape *1 『フィクション…

ステイシー・フレンド「事実とフィクションを想像すること」

ウォルトンやカリー、デイヴィス、ラマルク&オルセンなど、フィクションと想像とを結びつけることに対する批判 ちょっと、内容は省略。 フレンドの提案 ・想像を、定義的特徴として使うのではなく、ウォルトンが「芸術のカテゴリー」で述べた標準的特徴とし…

デイヴィッド・ルイス「フィクションの真理」(樋口えり子訳)

以前読んだグレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章 - logical cypher scapeで、ルイス説についてまとめられていたけど、まあ当たり前だけど、大体同じだった。 マイノング主義ではうまくいかないことがあるので、「然々の…

ケンダル・ウォルトン「フィクショナリティと想像」

指定された想像が、フィクションの十分条件でなかったという論文 (『ごっこ遊びとしてのミメーシス』*1の頃の見解を修正している) 1. Imagination (and Beleif) 2. Fictionality 3. Tempting Solutions 4. Seeing the Unseen; Reporting the Unreported 5.…

デレク・マトラバーズ『フィクションと物語』後半

フィクションと想像を結びつける、ウォルトンやカリーらに代表される、フィクションの哲学の主流派の考え方を批判している。 前半についてはDerek Matravers"Fiction and Narrative"1〜4章 - logical cypher scape 主流派の考えは、想像を指定するものがフ…

科学基礎論学会WS「現実とフィクションの相互作用」「意識のハードプロブレムは解決されたか」科学哲学会WS「心の哲学と美学の接続点」

今月は2つ学会に行って、3つWSを聞いてきたので、簡単にメモ 科学基礎論学会秋の研究例会は、11月7日に東大駒場キャンパスで 日本科学哲学会は、11月21日・22日に首都大学東京で開催 科学基礎論学会WS「現実とフィクションの相互作用」 松本大輝「虚構的情動…

西村清和編・監訳『分析美学基本論文集』

内容は大体タイトルの通り、ダントー「アートワールド」、シブリー「美的概念」、ウォルトン「フィクションを怖がる」といった有名論文が収録されている。 ただし、「分析美学って何?」って人は、ロバート・ステッカー『分析美学入門』 - logical cypher sc…

Derek Matravers"Fiction and Narrative"1〜4章

フィクションの哲学の本 フィクションと想像とを結びつける主流派の考えに異を唱える とりあえず、全11章あるうちの最初の4章 ほんとは一気に全部読もうと思っていたのだけど、英語読むのがだるくなってきたので一度中断 1.Introduction 2.Walton on Fictio…

モリス・ワイツ「美学における理論の役割」、ケンダル・ウォルトン「芸術のカテゴリー」

それぞれ、若手美学研究者である松永さんと森さんが翻訳をnoteで公開して、話題になっているもの。 M. Weitz「美学における理論の役割」|まつなが|note K. Walton「芸術のカテゴリー」|morinorihide|note これらの論文については、上記noteにおいて、訳…

H.Brown ”Seeing things in pictures”

描写の哲学・美学の論文 分離されたSeeing-inについて 読んだけど、全然読めなかった。英語無理……。 なんかすごくテキトーなメモ 分離 鉛筆のスケッチ画で、腕の向きがちょとおかしくなってても、それは描かれた人の腕がおかしいというわけではないとか 15世…