文芸評論

『SFマガジン6月号』『メフィスト5月号』

『SFマガジン6月号』 読もうと思って読まなかったもの クラーク追悼特集 クラークのエッセイと、追悼コメントだったので、とりあえずパス 来月はクラークの短編が載るらしいのでチェックしよう。 西島大介が、クラークがいなければ漫画家になっていなかっ…

『探偵小説のクリティカル・ターン』限界小説研究会

e-NOVELSで限界小説書評を公開していた*1限界小説研究会による評論集。 表紙を見ると、元波状言論スタッフである前島賢、波状言論でデビューした渡邊大輔、福嶋亮大の名前が並んでいる*2。 東浩紀の影響下に展開された、太田克史いうところのゼロアカ的な批…

今月の『群像』と『新潮』

芥川賞が川上未映子、直木賞が桜庭一樹になりましたね。 今回、どれも読んでいないので*1、特に感想はないけれど、メッタ斬りの予想が完璧に当たるという異常事態(?)が起きていたりする。 大勢の本命予想を、あえて外してくるようなところがある芥川賞な…

『物語の(無)根拠』第6章

『物語の(無)根拠』目次 第6章 インターフィクション 第三のメタフィクション 連続体と無限 連続体からの分節化 自己言及 フラクタル的――メタを志向しない構造 不完全な対称構造――各章をゆるやかに繋げる(1) 転送――各章をゆるやかに繋げる(2) イン…

『物語の(無)根拠』第5章

『物語の(無)根拠』目次 第5章 核兵器の行方 『ミステリアスセッティング』の依存的な妄想 爆発するミステリアスセッティング 核兵器とアメリカ 核兵器とフィクション メイクビリーブとメタフィクション 少し前、文学に関する「評論」と「研究」を以下の…

『物語の(無)根拠』第4章

『物語の(無)根拠』 第4章 「1000の小説」と「文字の海」 脳内妹の不在 《言語》 小説を書くことというカルヴィニズム 物語の「制度」としての「文字の海」 オートポイエーシス・システムと「文字の海」 上位【メタ】の視点からシステム内部の視点へ …

『犬狼伝説』と『GUNSLINGER GIRL』/日常化した非日常的存在/自分にとっての文学・文芸評論

最近読んだ。ガンスリは新刊を買った。犬狼伝説は友達から借りた。GUNSLINGER GIRL 9 (電撃コミックス)作者: 相田裕出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2007/11/27メディア: コミック購入: 10人 クリック: 90回この商品を含むブログ (186件) を見る犬…

SFマガジン1月号

テッド・チャン特集 「商人と錬金術師の門」 アラビアンナイトの世界を舞台にした、タイムトラベルもの。 過去も未来も改変不可能なんだけど、タイムトラベルすることで、知っている情報が変化することで、主人公の気分は変わる*1。 知っている情報が変わる…

『物語の(無)根拠』第3章

これからおそらく毎週月曜日が、『物語の(無)根拠』の日になるかと。 年内には終わりますね。 物語の(無)根拠 第3章 不自由な佐藤友哉 操りの問題 作者の転落 「言語ゲーム」と「規則に従う」 『クリスマス・テロル』から「世界の終わりの終わり」へ ミ…

『物語の(無)根拠』第2章

『物語の(無)根拠』目次 第二章 メタ物語から物語へ 選択の根拠 物質か精神か 量子力学と自由意志 選択と喪失――ゲーム的リアリズム 自由で責任を持つ主体 非日常と日常を巡るサブカルチャー史 責任の不可能性と時間の暴力 第一章で論じられた「物語の自律…

『物語の(無)根拠』第1章

『物語の(無)根拠』第一章html版を公開する。 『物語の(無)根拠』html版公開に関して 基本的に僕の活動範囲はweb上であって、僕の文章を読んでくれる人がいたり、あーだこーだと意見を交わすことのできる場というのもweb上にある。 というわけで、自分の…

今月の文芸誌(『群像2007年12月号』『新潮2007年12月号』)

群像 創作合評「つぎの著者につづく」 このR氏というのは、村上春樹のことなのではないか、という小池昌代の指摘。 つまり、SREのリチャードとジェイムスとリタの話が村上春樹っぽいと円城塔は実際に誰かに言われたのではないか、と仮定して読んだらしい。…

文学フリマ感想その1

今日までに読み終わったものの感想。 今後も、読み終わり次第随時書いていく予定。 感想その2 CRITICA Vol.1 探偵小説研究会。 友達用で、渡す前に瀬名秀明インタビューと千野帽子の文章を読んだ。 法月綸太郎による瀬名インタビューは、インタビューという…

仲俣暁生『極西文学論』

仲俣暁生の常で、というべきかもしれないが、この本は論理展開が真っ直ぐ進んでいかない。歴史的事実と小説や歌の中の言葉を重ね合わせていくことで、何かを炙り出そうとする。 さて、『ポストムラカミの日本文学』や『「鍵のかかった部屋」をいかに解体する…

ポリフォニーとか

このタイミングで、東浩紀とか読書とかのタグつけた日記書いたら、当然「キャラクターズ」についてだと思われそうだけど、残念ながら違う。まだ読んでいない。 『カラマーゾフの兄弟』を読んだので、『小説家が読むドストエフスキー』という本のカラマーゾフ…

セカイ系とかについての整理

黙示録的想像力の系譜(八〇年代/九〇年代/ゼロ年代) という文章を書いた。

『ラオコオン』レッシング

レッシングであってレッシグではない(^^;*1サブタイトルは、「絵画と文学との限界について」。その名の通り、絵画と文学とを比較しているのだが、ここでいう絵画は造形芸術全般を指し、特に具体的に取り上げているのは主に彫刻である。文学の方はもちろ…

古川日出男×向井秀徳

こ、これは、ヤバイ……!! 自分の語彙の少なさを恨むが、しかしヤバイとしか言いようがない…… 今年の5月に、渋谷で行われた古川日出男と向井秀徳のライブが、スペースシャワーTVのWEBサイトで公開されている。 このライブには本当に行きたかったのだが、瞬…

君たちは何故小説を書くのか/僕は何故評論を書くのか

今日は、図書館で『新潮』と『群像』(と『文學界』)を読んできた。 目当てはもちろんアレとアレなんだけど、まあそれの感想と最近思っているよしなしごとを絡めて書く。 『新潮』東・仲俣対談と佐々木敦の『1000の小説とバックベアード』論 『東京から考え…

『不過視なものの世界』

『コンテンツの思想』でも『文学環境評論集』でもなく『不過視なものの世界』 今までずっと読み損ねていた東浩紀の対談集で、斎藤環、山形浩生、村上隆、法月綸太郎、山根信二、阿部和重との対談がそれぞれ収められている。 『存在論的、郵便的』『郵便的不…

『現代小説のレッスン』石川忠司

主に、村上龍、保坂和志、村上春樹、阿部和重、舞城王太郎、いしいしんじ、水村美苗が取り上げられ、山田詠美、高橋源一郎、金原ひとみ、角田光代、生田紗代、吉田修一、藤沢周平、佐川光晴、森絵都、玄月などにも言及している、まさに現代小説と呼ばれるで…

『ゲーム的リアリズムの誕生――動物化するポストモダン2』

この記事の目次 外観 装丁や文体(?)に関して 全体要約 本書の全体について 「メタリアルフィクションの誕生」との比較 本書のもとになった連載記事との比較。特に、削除されてしまった柄谷行人に関する議論について 大塚英志 本書と大塚英志の関係 コミュ…

仲俣暁生『「鍵のかかった部屋」をいかに解体するか』

2003年から2006年にかけて、群像やユリイカに掲載された文章がまとめられたもの。 それほど長くない文章なのだけど、その中で次々と異なる議論を展開していくので、軽い文体で綴られながら読みにくいものもある。 「羊男賞」の話は、面白くてワクワ…

仲俣暁生による桜庭一樹評論『野生時代』39号

少女七竈についての評論。 桜庭一樹の新しい点を二つ。 ここではないどこかの居場所を探すのが近代文学や女性作家だったとして、桜庭はいまここで生きていくことを選ぶ。いまここの生き方をどのようによりよくしていくか。 従来は、都会=若さの象徴だったの…

阿部和重『グランド・フィナーレ』

今受けている授業で、「批評文を書く」という課題が出ている。 それで、『グランド・フィナーレ』を使って書くことにした。 この作品が芥川賞をとったときに、選評読んだりmixiのレビュー読んだりして、この作品について何か書こうと思っていたのだけど結局…

仲俣暁生『文学:ポストムラカミの日本文学』

全然内容と関係ない話から。 何故か仲俣暁生と山形浩生の区別が付いていなかった時期が結構長く続いていた。 今まで仲俣の文はblogでしか読んだことがなくて、山形の文は山形が翻訳した本のあとがきを立ち読みしたり、彼のサイトを読んだことがあった。山形…

小説トリッパー秋号

普段は立ち読み(もしくは図書館読み)ですましている雑誌なのだが、何故か買ってしまった。 小特集として中原昌也があったから、だと思う。 正直、それ以外に何で買ったのかが自分でもよく分からない。 本当は、パース特集をやってた「大航海」とか欲しかっ…

瞬間と記憶と『サン・ラザール駅裏』とベルクソンと『ダブルブリッド』

テレビ東京の『美の巨人たち』で、『サン・ラザール駅裏』という写真が取り上げられた。 その写真を撮ったのは、アンリ・カルティエ=ブレッソンという。 彼は、決定的瞬間の巨匠と呼ばれた。 しかし彼の撮る写真の、何が決定的瞬間なのか。 彼の写真に写っ…

小説トリッパー春号

特集「ネットから遠く離れて」 大塚英志インタビュー 以前聞いた大塚英志の講演会と内容はほぼ同じ。要約はおおよそ以下の通り。 現在は、完全な近代である。この完全な近代化にネットによってもたらされた。ただし、それは量的な問題であって、質的には明治…

時間と無時間

『仮想化しきれない残余』、「小説の環境」(ファウスト vol.6 SIDE―B (講談社 Mook))『偶然性・アイロニー・連帯―リベラル・ユートピアの可能性』『大学受験のための小説講義 (ちくま新書)』を読んでいて、最近考え始めたキーワード(各著作に関してはまた…