2020年ふりかえり

今年は、私的にも世間的にも激動の年だったが、その影響を受けて、本のタイトル数自体は少なめ。
ただ、下記の通り、シリーズ一気読みが2つと、英語論文をわりと読んでいることもあって、読書量そのものは意外と減ってないのかもしれない。
ブログを書く時間がとれなくなった、という方が大きいかも。


1月から8月にかけて連続刊行された『世界哲学史』を、ほぼ刊行にそって追っていたのと、『天冥の標』全10巻を一気読みしたのが、今年の二大トピック(?)
それ以外だと、英語の本・論文をいつになく読んでいる年だった。主に美学関連だが、美学以外のものもちらほら。

小説

『天冥の標』を除くと、14冊
そのうちSFが11冊。しかも、非SFカウントした3冊のうち2冊は奥泉光ミルハウザーという、広義ではSF作家にもカウントされることのある作家の作品なので、今年もまた相変わらずほぼほぼSFを読んでいた年だった。
SF自体は好きだし読みたい本も尽きないのでガンガン読んでいきたいのだが、もう少し非SF比率も高めたい。
(雑誌をノーカンにしているので数に含めていなかったが、1月に『群像』の短編特集を読んでいたので、まあそこで非SFを読んだといえば読んだ)
今年はほぼ国内作品を読んでいて、海外作品少なめかも。
面白かった本というと、『息吹』と『なめらなか世界と、その敵』がやはり突出しているかな。
あと、『天冥の標』も噂に違わずすごかった。

  • SF

アーカイブ騎士団『会計SF小説集』
テッド・チャン『息吹』
陳楸帆『荒潮』
飛浩隆『自生の夢』
冲方丁『マルドゥック・アノニマス5』
伴名練編『日本SFの臨界点[怪奇編]ちまみれ家族』
伴名練『なめらかな世界と、その敵』
津久井五月『コルヌトピア』
伴名練編『日本SFの臨界点[恋愛編]死んだ恋人からの手紙』
スタスニスワフ・レム『完全な真空』
天冥の標1~10
『2000年代海外SF傑作選』

  • 非SF

渡辺零『Ordinary346(4)』
奥泉光『雪の階』
スティーブン・ミルハウザー『私たち異者は』

哲学

今年は『世界哲学史』シリーズを読んでいたので哲学を読んでいたような気持ちもあるのだが、それ以外はほとんど読んでいないので、あまり哲学に触れていなかったような気もする。
『世界哲学史』シリーズは、哲学は哲学でも、自分にとっては普段触れないタイプの哲学だったこともあり。
やはり雑誌をノーカンにしていたが、『フィルカル』を読んでいたので、そこでも哲学に触れてはいた。分析的ニーチェ研究とかアメリ哲学史とか
それから、古生物学の哲学を一冊読んだ。


倉田剛『日常世界を哲学する』
『世界哲学史』1~8
Derek D. Turner "Paleoaesthetics and the Practice of Paleontology(美的古生物学と古生物学の実践)"

科学

科学本は、ほぼ生物学系。
進化生物学・分子生物学系で4冊。人類学2冊。古生物学2冊。神経生物学1冊。
『我々は生命を創れるのか』『生命はデジタルでできている』のブルーバックス2冊、および『交雑する人類』が特に面白かった 


藤崎慎吾『我々は生命を創れるのか』
チャールズ・コケル『生命進化の物理法則』
ジョナサン・ロソス『生命の歴史は繰り返すのか?』(的場知之・訳)
河合信和『ヒトの進化七〇〇万年史』
デイヴィッド・ライク『交雑する人類』(日向やよい訳)
田口善弘『生命はデジタルでできている』
”All Yesterdays: Unique and Speculative Views of Dinosaurs and Other Prehistoric Animals”
 トッド・E・ファインバーグ,ジョン・M・マラット『意識の神秘を暴く 脳と心の生命史』(鈴木大地 訳)
土屋健『化石の探偵術』

美学・その他

今年はウォルハイムの訳書がでたのがとにかくでかい


ミゲル・シカール『プレイ・マターズ 遊び心の哲学』(松永伸司・訳)
リチャード・ウォルハイム『芸術とその対象』(松尾大・訳)
岩下朋世『キャラがリアルになるとき』

美学論文

描写関係の論文を中心に読みつつ、フィクション論関係のものも挟みつつ。


石田尚子「フィクションの鑑賞行為における認知の問題」
エティエンヌ・スーリオ「映画的世界とその特徴」
R.Hopkins ”Depiction"
Rafe McGregor "The Problem of Cinematic Imagination"
Elisa Caldarola "Pictorial Representation and Abstract Pictures"
Rune Klevjer, "Virtuality and Depiction in Video Game Representation"
Shaun Nichols ”Imagining and Believing: The Promise of a Single Code"
D.Lopes "The 'Air' of Pictures"
Dominic M. Lopes "Drawing Lessons"
Glenn Persons "The Aesthetic Value of Animals"
Stacie Friend "Fiction as Genre"

論文その他

文学研究の方の「フィクショナリティ」について2本と、古生物学の哲学1本。古生物学の哲学は今後ももう少し勉強したい。
Henrik Skov Nielsen, James Phelan and Richard Warsh "Ten Theses about Fictitonality"
Paul Dawson "Ten Theses against Fictionality"
Marco Tamborini "Technoscientific approach to deep time"

マンガ

そういえば、『チェンソーマン 』読みました
単行本派なので最終回読むのは年明け
主な感想は、以下の日のtwilogにおおむねまとまってる
シノハラユウキ(@sakstyle)/2020年08月10日 - Twilog



それでは、今年もお世話になりました。
来年も当ブログをよろしくお願いします。
よいお年をー