土屋健『リアルサイズ古生物図鑑 中生代編』

現代の風景写真の中に、古生物のCGイラストを合成することによって、古生物の「サイズ感」を実感することのできる本
本書は、シリーズ第二弾である中生代
中生代の古生物といえばもちろん恐竜
というわけで、恐竜を多く収録しているが、この本の面白いところは恐竜以外の古生物に多くページを割いているところ
中生代の古生物で恐竜以外というと、翼竜、首長竜、魚竜、モササウルスといったあたりがすぐに思いつくが、それだけなく、上述した以外の様々な爬虫類、両生類に単弓類や哺乳類、アンモナイト類などの海棲生物、植物と幅広く収録している。
また、日本で発見された恐竜・古生物も多く取り上げられている
三畳紀ジュラ紀白亜紀前期、白亜紀後期の4章構成となっている

古生物のサイズが実感できる!  リアルサイズ古生物図鑑 中生代編

古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 中生代編

好きな写真

  • シンラプトル

ジュラ紀の獣脚類
砂漠を進むキャラバンの写真の中に配置されており、ひたすら絵としてかっこいい

白亜紀前期の竜脚類
突起が特徴的だが、ゴシック(?)建築の内を歩いているという図で、突起と柱のハーモニーがよい感じ

白亜紀前期の獣脚類。羽毛恐竜として有名。
羽毛の色素が化石に残されていたので、体色がかなり判明しており、縞模様の尾をもっている。
それで、ワオキツネザルと並べられている。

白亜紀前期の獣脚類。
ティラノサウルスの祖先で、大型ながら羽毛をもつ
雪の舞い散る温泉街の中に立っていて、羽毛のもふもふ感がよく出ている。

  • ニクトサウルス

白亜紀後期の翼竜
非常に特徴的なトサカをもっており、頭だけをぴょこんと見せているのがかわいいw

  • オルニトミムス

白亜紀後期の獣脚類
通称ダチョウ恐竜、ということで、ダチョウの中に放り込んでみましたという写真になっている。一瞬どこにいるんだか分からないくらいうまく紛れ込んでいるのが、うまい

三畳紀

三畳紀は、特に前半までは、恐竜はほとんで出てこなくて、偽鰐類が多くを占めるが、偽鰐類は言われないと非常に恐竜っぽい姿をしている。
アリゾナサウルスとかシリンガサウルス*1とかデスマトスクスとか、ここらへん上の「好きな写真」で挙げるかどうか迷ったくらい、絵的にもよい
逆に、まんまでかいワニみたいな奴もいるけど
サウロスクスとかファソラスクスとか、ほんとデカい
板歯類という爬虫類が、変な形してる奴が多くてちょっと楽しいw
カメの祖先とかカエルの祖先とかも載っている
首長竜じゃないけどめちゃくちゃ首長竜っぽい見た目のタニストロフェウスは、釣り竿と並んでいているのが面白い
後ろ脚に皮膜が生えていて、まるで全翼機みたいな蜥蜴、シャロヴィプテリクス
三畳紀は全部で35種類の生物が登場
そのうち恐竜は6種類

ジュラ紀

最古の哺乳類モルガヌコドン、ビーバーのような姿の哺乳類カストロカウダ、モモンガのような哺乳類ヴォラティコテリウムなど、中生代にも多様な哺乳類がいたというのが分かる
恐竜では、ステゴサウルスはじめ剣竜勢ぞろいの写真(何故か合掌造りの日本の村の中にいる)とか、マメンキサウルス、アパトサウルス、カマラサウルス、ギラファッティタン(元ブラキオサウルス)、ディプロドクスといった竜脚類の有名どころも並ぶ。それぞれキリン、電車、重機、アーチ橋、カーネギーホールと比較されていて大きさが分かりやすい
山道で出くわすアロサウルス
めちゃくちゃ巨大な魚、リードシクティス(プールで一緒に泳ぐ人との比較でサイズ感がはっきりわかる
ドイツのパブにるランフォリンクスとかも

白亜紀前期

最古の真獣類エオマイア
植物としては唯一の登場か、キカデオイデア
日本から、カガナイアス(こいつは恐竜ではなく爬虫類)、フクイサウルス、フクイラプトル、タンバティタニスが登場
日本の恐竜ではないが、東京駅前にきたパタゴティタンの写真もすごくいい。東京駅前に置いてほしいw
ツパンダクティスルという、でかいトカサの翼竜も。この本の翼竜はなんか人懐こい感じの奴とかとぼけた感じの奴が多い印象w
ディロング、シノサウロプテリクス、ミクロラプトル、ユティランヌス、ディノニクスが羽毛をまとった復元CG

白亜紀後期

8m超の巨大サメ、クレトキシリナ。水族館の水槽を泳いでいるが、あまりのでかさにビビる(いやしかし、リードシクティスはこれよりさらに倍以上でかいんだよな……)
異常巻きアンモナイトから、ユーボストリコセラス、ニッポニテス、ディディモケラス、プラヴィトケラスと4種も登場。いやでも、異常巻きアンモナイトいいよねw なお、ディディモケラス以外は日本の種
日本からは、他にフタバサウルス、ハボロテウティス(ハボロは北海道の羽幌)、ナナイモテウティス、むかわ竜(まだ種名ついてないよ!)、フォスフォロサウルス(モササウルス類)が登場
なお、ハボロティウスはイカナナイモテウティスはタコで、それぞれ全然海とは関係ないところにいる写真になっているw
海の生き物なんだけど、写真は海と全然関係ないとしては、ウミユリ類のウインタクリヌスとかも(アンモナイトも大概そうだなw)
他の生物が写りこんでいる系写真として、プロトケラトプスのいる部屋を覗き込むオヴィラプトルが!
鎧竜が3種類でてくるが、どれも車(うち1つは戦車)と並べられている
デイノケイルスとテリジノサウルス、でか
駅の自動改札に突っ込んでくるパキケファロサウルス怖いw ただ、他の有名恐竜と比べてサイズが少し小さめ、というのは分かる
デカすぎて飛行できなかった説もある翼竜ケツァルコアトルスはバスケの試合
京都鴨川を散歩するタルボサウルス、日本家屋の縁側を歩くアルバートサウルス、秋葉原を闊歩するティラノサウルスという、そんなとこ歩かれたら怖すぎるシリーズw


些細な点では、古生物に対して使われる人称代名詞が全部「彼」で、「彼女」が多分どこにもなかったように思えたのはちょっとだけ気になった

*1:こいつ偽鰐類じゃない爬虫類だが見た目が恐竜っぽい