恐竜博2019

科博にて
今回は、ディノニクス、デイノケイルス、むかわ竜の3本立て企画展で、もちろんこれ以外の恐竜及び中生代の古生物も来ていたのだが、この3つのインパクトがはっきりと強く打ち出された展示になっていた。
(誰かも書いていたが、タルボサウルスやティラノサウルスといった大型肉食恐竜が完全に脇役になっていた、というのはなかなか珍しいのではなかろうか)

Chapter1 恐竜ルネサンス

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ディノニクスの足(実物・ホロタイプ)
いや、いきなりこれですよ
入口はいってすぐ、一番最初の展示物がこれ
博物館の企画展でも美術館の企画展でも、たいてい一番最初って、一番最初なりの、前菜みたいなもの展示から始まるもんじゃないですか
これは、入った瞬間いきなりメインデッシュ(のうちの1つ)から、というもので、今まで来たことある科博の他の企画展ともちょっと最初の構成の仕方が違っていた
円筒形の展示ケースに入れられて、360度ぐるりと見渡せる。そして、周囲の壁には、ディノニクスの他の部位(手など)の骨や、オストロムのフィールドノートが展示され、ディノニクスが発見された当時の発掘調査の写真が大きく壁に印刷されていた。
今年って、ディノニクス発見50年でもあるんですね!
アポロ11号の月着陸とディノニクスの発見が同じ年だったとは……
ところで、この足の写真は、恐竜博始まってから何度も色々なところで見ていたのだけれど、指の骨の関節、なんでこんな人工物みたいに丸いんだ?! と写真を眺めていて、実際に実物を見たらやはり見事な円形をしているんだけど、ディノニクスに限らず他の獣脚類も結構こんな感じの関節だった。
ここでは、ディノニクス以外にマイアサウラや羽毛恐竜関連の展示がなされていた。
羽毛恐竜の標本自体、最近あちこちの恐竜展で見かけるけれど、こちらシノサウロプテリクスもアンキオルニスも実物でありました
あと、オルニトスケリダのきっかけともなったチレサウルスもあったんだが、自分にはあれは普通に小型獣脚類にしか見えない……
加えて、ディノサウロイドも!
いやちょっと、懐かしい感もあるんですがw
ところで、仮に恐竜が絶滅せずに進化を続けたとして、あんなふうに直立するんだろうか。もともと、尻尾を伸ばして体を地面と平行に伸ばす形で二足歩行をするような体制しているので

Chapter2 ベールを脱いだ謎の恐竜

続いてデイノケイルス
腕だけ、Chapter1のところに一緒に並べられていたんだけれど
こちらの展示はまず、デイノケイルスのキメラ的特徴を明らかにするために、デイノケイルスが似ているといわれる、サウロロフスの頭骨、スピノサウルスの脊椎骨(いわゆる帆の部分)、竜脚類の脊椎骨などが並べられたのち、デイノケイルスの頭骨や足、脊椎などの展示が続き、そしていよいよ全身骨格となる

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デイノケイルスの椎骨
これは確かに、竜脚類みがある。
空洞が多いところがそういう特徴らしい
デイノケイルスの胃石もあった
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とにかくでかい
11mは伊達じゃない
ティラノサウルス級のでかさですよ、まあこいつは植物食恐竜なわけだけど。
以前の恐竜博で腕だけ見た時、「腕だけでこの大きさって全身って一体どんな大きさだよ」と思っていたもんだけど、実際に全身を見てみるとやっぱり「どんな大きさだよ」ってもんです
大きさだけでなく、まあフォルムもかなり異様だし
f:id:sakstyle:20190904133016j:plainこちら、同じくモンゴルのオルニトミモサウルス類であるアンセリミムス。これまた、実物・ホロタイプ標本。とかく、実物多かった。
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で、アンセリミムスとデイノケイルスの中足骨比較。アークトメタターサル構造が、アンセリミムスにはあるけれど、デイノケイルスにはない
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こちらはアンセリミムスとデイノケイルスの後ろ脚
確か、大腿骨の長さが相対的に短い方が脚が速い。
オルニトミモサウルスはダチョウ恐竜などとあだ名され、基本的に脚が速い部類なわけだけれど、脚の構造を見ると、まあデイノケイルスは多分脚遅かったんだろうなということが分かる。まあ、この巨大とあのでかい腕で脚速かったらかなり怖いけど。
あと、タルボサウルスがデイノケイルスを襲っていたと考えられており、隣にはタルボサウルスも展示されていた。
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これは、テリジノサウルス類。爪はケラチン質で、普通化石として残らないのだけど、残っていたという珍しい化石らしい。っていうか、化石化した場合で、ケラチン質だって何でわかるんだ?
テリジノサウルス類は普通3本指のところ2本指なので新種と思われている由

Chapter3 最新研究から見えてきた恐竜の一生

このパート、あまり写真撮っていないな(写真なくはないけど、ブログにアップするほどの写真がない)
まず、恐竜の営巣と抱卵
大型恐竜の場合、卵を放射状に並べて、その真ん中に親は陣取っていた。鳥みたく、親は卵の上には乗らない。乗ると卵割れるから。この場合、抱卵は、「卵をあたためる」というよりは「外敵から守る」ことを目的として行われていたのではないか、と。
あ、卵の展示のところに書かれていた説明の元ネタは、たぶん下記の二つだ
「恐竜が卵を温める方法」を解明!-名古屋大学プレスリリース
巨大恐竜の巣作り戦術を解明! - 名古屋大学
岡山理科大のチームが発掘した竜脚類の巨大足跡化石もあったんだけど、これ面白かったのは、発掘現場で記録するために透明のシートをかぶせてペンでなぞって記録したものが展示されていたこと
砂漠だと砂でデジタル機器が使えないことがあるから、これが一番確実な記録方法だとか

Chapter4 「むかわ竜」の世界

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これ、種名が決まったらここに入る奴でしょ! と思って思わず撮ってしまったw
と思ったら、今日の科博のツイートがこれだった

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全身を撮ったつもりで、尻尾の方は入ってなかった
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まだあまり世に出回っていないのではと思われる前からの写真
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デンタルバッテリーがわかる
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穂別から発見された古生物といえば、長らくこれでした。ホベツアラキリュウ
(穂別と鵡川が合併してできたのがむかわ町。むかわ竜が発見されたのは旧穂別で、ここは昔からアンモナイトやクビナガリュウの化石が出ることで有名でした)
その他、むかわから発見されたフォスフォロサウルスというモササウルス類の化石や
和歌山から発見されたモササウルス類の新種と考えられている実物化石なども
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むかわ竜の胴椎。これ、上の部分が少し前掲しているけれど、これ他の種には見られなくて、新種であることを示す特徴の一つらしい

Chapter5 絶滅の境界を歩いて渡る

こんなところにティラノサウルスが! でもそんなに広くないところにあり、もう展示も最後の方ということもあって、みんなあまり見てないというw かくいう自分も特に写真とかも撮らずに立ち去ってしまったw
ここのエリアでは、K/Pg境界の上と下、つまり恐竜が絶滅する直前直後の地層から出てくる化石を並べている
哺乳類とか爬虫類とか植物とか
あれもこれもヘルクリーク層から出てる奴で(ほかのとこもあったが)、おおヘルクリーク、名前知ってるぞってなったw
哺乳類の頭骨の化石を見ていて、哺乳類展で学んだので「あ、この歯は昆虫食べてそうだな」というのがあったりした。有袋類のディデルフォドン。っていうか、白亜紀にすでに有袋類っていたんだ? めっちゃ古い系統なんだな
あと、頭骨の大きさ自体は小さかったけれど、歯の形が「これ、象では?」みたいな奴もいた。多丘歯類
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イクチオルニス、この角度から撮ったのは、叉骨を写したかったから。
見た瞬間、叉骨と竜骨突起がはっきりわかり、鳥類って感じ。そういえば、獣脚類は叉骨があるんだっけかと思って、ティラノサウルスを見直したんだけど、どれなのか全然わからんかった。
一番最後にいたのはガストルニスだった。

第2会場

第1会場が終わったところで、展示クレジットがでているんだけど、そこで荒川弘の名前があって「?」となったんだけど、第2会場にマンガが飾ってあったw
図録に収録されている


ガチャは、ディノニクスでした

常設展

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これ、チバニアンの地層だとか

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名前がかっこよかったから撮ったw

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スーパーカミオカンデのレンズだーと見るなり撮ったんだけど、今調べたら2014年に科博行った時も撮っててブログにアップしてたw

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アポロ11号が採ってきた月の石と、アポロ11号に乗って月まで行って戻ってきた日本国旗

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ラムダロケットのロケットランチャー。下からは何度か見たことがあり、それこそこの日も恐竜博に入る前にロケットランチャー見に行ってたんだけど、3階の窓から見えるというのを知らなかった