ブノワ・ペータース、フランソワ・スクイテン『闇の国々2』

ブノワ・ペータース、フランソワ・スクイテン『闇の国々』 - logical cypher scapeの続刊
2は本当はローマ数字だけど
2巻は8割くらいカラーだった

サマリスの壁

サマリスへ派遣されることになった主人公。今までサマリスに向かった者たちは戻ってきておらず、友人や恋人から止められるが、それでも向かうことになる。
サマリスは一見立派な都市だが、どこか不自然で、実は巨大なハリボテ、書き割りでできている街だということに気付く。
主人公はサマリスを逃げ出し、これを報告するべく戻るのだが、自分の住んでいた街は様変わりしていて、友人たちの姿もなく、恋人の家には、1巻の「狂騒のユルビガンド」に出ていたロビックが何故か住んでいる。
ようやく議会に報告することができたのだが、その議会自体がハリボテであることに気付き、今度はサマリスに戻らなければと主人公が思い直すところで終わる

パーリの秘密

ア・シュイーヴル誌に掲載された4編の短編(ないし断片)からなる。未完とのこと。
それぞれ、ポンピドゥー・センター特集号、ルーヴル特集号、オペラ座特集号、エリゼ宮特集号に掲載されたとのことで、それぞれの建築物が登場する。

ブリュゼル

冒頭はマンガではなく、ブリュッセルについての解説文章から始まる。
プラスチックの植物を作っている花屋のおじさん、コンスタンが主人公。
都市計画に携わっている、電気的医療法の研究者であるデルサンヴァル教授に、コンスタンがあちこち連れ回されるたり、入院させられたりする。
ブリュッゼルを近代化させるために、都市を大改造したり、病院に新しい治療法を入れたりするのだけど、逆にどんどん混乱していく
あと、マリー=ジャンヌっていう謎の女性もでてくる。
なんか「闇の国々」は、おっさんが若い謎の女性と突然恋に落ちて、あちこち歩き回ったりするというパターンが多いような気がするけど、どうだろう。
「傾いた少女」に出てきたワッペンドルフも出てきたりした

古文書官

「狂騒のユルビガンド」や「塔」に出てきたイシドール・ルイの話
中央史料館に勤めるイシドール・ルイの報告書
イシドール・ルイは「闇の国々」の住人ではないっぽい。イシドール・ルイの住んでいる世界に「闇の国々」にまつわる信仰が急速に広まって騒動になっているらしい。で、イシドール・ルイは断片的な史料を集めて闇の国々について調査している。これらの史料から、「闇の国々」はあまりにも複雑なため、1人の手による創作や妄想ではないのではないかという報告をイシドール・ルイはするのだけど、その結果、中央史料館からは追い出されてしまう。
最後、「闇の国々」を描いた絵の中に、イシドール・ルイが自分自身の姿を見つけるところで終わる。
イシドール・ルイの世界については白黒で描かれ、闇の国々についてはカラーの一枚絵で描かれている。


闇の国々II (ShoPro Books)

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