冲方丁『スプライトシュピーゲル』『オイレンシュピーゲル』

何でこれを今まで読んでなかったんだ、自分! と後悔すると共に、何はともあれ完結する前に追いつくことができて良かったと思う。
ラノベの到達点
ガンスリンガーガール』と『虐殺器官』を足して、さらに「キャラクター」を掛け合わせてブーストしたような感じの小説
設定や物語のレベルでも色々と面白いのだけど、加えて文体レベルでも、ラノベの到達点というか、キャラクター小説の文体として一つ突き詰めてみせたようなところがあって、面白い。


筑波批評で高橋さんが論じていたスケールの問題をちょっと考えていたり。
戦闘級ないし戦術級の問題と戦略級の問題はいかにつながるのか。セカイ系はそこが短絡しているわけだけど、シュピーゲルシリーズは戦術面においてベストを尽くせば戦略面での活路が開けるというような展開なのかなあと思う。藤田さんがいうところの、ひぐらしとか雷撃SSガールとかの流れとも繋がったりするのかなあと思ったり思わなかったり。


特甲児童6人の中では、乙と雛が好きです
ロリコンで何が悪い!


とにかく滅茶苦茶面白くて、読んでいる最中は興奮しっぱなしだったわけだが、そういう興奮というのはなかなかブログなどの文章で伝えるのは難しいわけで、今は多くを語らずにおくことにする。
というか、スプライトとオイレンが同時に並行して進行するという構造上、一回読んだだけでは読んだ気にならないというか。
これはメモとか取りながら読むと面白いだろうなあと思いつつ、メモを取りながら小説を読む習慣*1がないので、そこまでするかどうかは分からないが、気持ち的にはそういう感じ。


冲方は、マルドゥック・スクランブルの最後がカジノだったことで肩透かしを食らった気がして*2、それでシュピーゲルもヴェロシティも、気になりつつも今まで結局手を出しそこね続けていたのだけど、こうなったらヴェロシティも手を出すよ、多分

*1:ミステリ読む人はそうしているらしい

*2:銃撃戦か何かだと思っていたのに