ヘンペル「意味の経験論的基準における問題と変遷」(現代哲学)

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。
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前回までが言語哲学だったとすると、今回からは科学哲学。
経験論的基準というのは、いわゆる線引き問題のこと。
線引き問題とはつまり、科学と非科学をどうやって分けるか、という問題。
基本的なプログラムとしては、科学的言明は全部観察文に還元できる、というもの。
直接見聞きできるものについての文であれば、真偽の判定は直接行えるわけで、そういった文に還元することができれば、オッケーじゃないのか、という話。
でも、実際にはそんなにうまくいかないよ、というオチ。


「「対象xが摂氏c度である」ことの必要十分条件は、温度計がxと接しているならばその温度計はc度を示す。」
これだと、温度計がxと接していないときでも、対象xが摂氏c度となってしまうので
「温度計がxと接しているならば、「対象xが摂氏c度である」ことの必要十分条件はその温度計がc度を示すことである。」
とする。これを還元文と呼び、この還元文によって操作的定義というものが定式化される。


結核菌は棒状である」という仮説は、それだけでは、「結核患者の痰の標本を顕微鏡で見ると棒状のものが観測される」ことを帰結しない。顕微鏡に関する補助仮説が必要となる。


解明とは、わかっていないことをすでにわかっていることで言い換えること。