2009-01-01から1年間の記事一覧

稲葉振一郎『増補 経済学という教養』

貨幣的ケインジアンの立場に立って、日本の左翼のとるべき(?)経済政策について勉強する本。 『「公共性」論』と同じく、ブックガイドともなっており、稲葉流に論点がまとめられていて勉強のためになる。 日本の「構造改革主義」と「新自由主義」ないし「…

立ち読み(『ゲーラボ』『文學界』ほか)

ゲーラボ 斎藤環は、栗本薫の話をマクラに腐女子ネタ。アフタヌーン新書の腐女子本でdisられていたらしいので、それへの反論をしつつ、腐女子のことを語るのってほんとに難しいよねって話と、「関係としての化学」では腐女子視点で中上健次とかを評論したか…

またリコメンドに釣られて

ネクストバトルズとか書いてあるから。THREE TRAPPED TIGERSアーティスト: THREE TRAPPED TIGERS出版社/メーカー: KLEE / RALLYE発売日: 2009/05/13メディア: CDこの商品を含むブログ (1件) を見る ポストロック - logical cypher scape battlesと近いといっ…

ウエルベック『素粒子』

面白かったともつまらなかったとも言えるけれど、6:4でつまらなかったかもしれない。 ところどころ面白いところがあるのだけれど、全体を通して「キター」となることはなかった。 ブリュノとミシェルという異父兄弟の話。天才生化学者であるミシェルは、…

『国文学増刊 2009年6月号』『すばる6月号』『群像7月号』

国文学増刊 特集「小説はどこへ行くのか 2009」 病/鹿島田真希 豊穣の角/円城塔 [鼎談] 岡田利規、鴻巣友季子、福永信 「船は波を切って進む」 『アクロバット前夜』の話から始まる。段組をするのはデザイナーであって自分たちじゃないというところ…

『思想』2009年第5号

特集「『思想の科学』の原点をめぐって」 〈インタヴュー〉『思想の科学』の原点をめぐって──鶴見俊輔氏に聞く── 聞き手:藤野寛、伊勢田哲治 これは、初期のアメリカ哲学の輸入者としての鶴見の功績を探ろうとする藤野、伊勢田に対して、鶴見がこうなんだか…

思想地図vol.3

安藤馨「アーキテクチュアと自由」(『思想地図vol.3』) 読んだ。面白い! 彼の立場や結論には必ずしも首肯しないが、議論のやり方や文体がとても 好み 分析哲学的(というか、メタ倫理学の方法論を汲んでるんだろうが )で、明晰な感じがする こういうのは読ん…

5月後半に読んだ本・雑誌

現代思想ダーウィン 「鳥のさえずり行動と四つの質問」岡ノ谷一夫他 「ArtHistoryとNaturalHistory」田中純 思ったほど面白くなかった 「「エボデボ革命」はどの程度革命的なのか」戸田山和久 勉強になった。発生から見る遺伝子。(環境とかによって変わる非…

去年の学祭で止まってみた

去年の学祭の映像ですが、ようやくアップされたようなのではってみる。 「freeze」「止まってみた」でyoutubeやニコ動を検索すると、色々と出てきます

SFマガジンと日経サイエンス

今日の立ち読み。 SFマガジンは、追悼伊藤計劃。色んな人の追悼文と、さらに『屍者の帝国 』の冒頭が掲載されてる! 伊藤が死ぬ直前まで書いていた原稿。これが目茶苦茶面白い! 何 でこれの続きが読めないんだって感じ これでもかというくらいネタが詰まっ…

大江健三郎『万延元年のフットボール』

物語的な意味でも、政治・社会的な意味でも、最近の小説より豊か(?)であることだなあと思った。 おそらく読み取れていない部分も多い気がする。 大食らいの女ってどういう意味だったんだろう、とか。 障害をもった子供が生まれてきて、夫婦仲が微妙になっ…

文芸誌(磯崎憲一郎「終の住処」他)

『新潮6月号』 磯崎憲一郎「終の住処」 磯崎作品のテーマはこれだっとかズバッと言いにくいのが磯崎作品の特徴だけれども、それでもやっぱり磯崎作品は大体どれも「時間」というのが通底していると思う。 この作品でも時間そのものを感じさせるような描写が…

第八回文学フリマ感想

空中キャンプ/伊藤聡『下北沢の獣たち』 ブログ空中キャンプの中の人である伊藤聡の短編小説集。 空中キャンプは以前から、時折書かれるエッセイやショートショートに数多くのブクマを集めており、いわばその文章の魅力というのは折り紙付きであった。そう…

エリクソン『Xのアーチ』

エリクソン二作目。 面白かったのだけど、分からなさが面白さをさらに上回ってしまっていて、何だか当惑したまま読み終わった感じ。 あらすじすらもうまくまとめられない。 最初は、トマス・ジェファーソンとその奴隷であり愛人でもあるサリー・ヘミングスの…

お疲れ様でした

文学フリマ参加者のみなさん、事務局・スタッフのみなさん、文学フリマに関わった全ての皆さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。 新しい会場でも、大盛況の中無事終了しました。 僕のところも、おかげさまで盛況でした。ありがとうござい…

日曜日は蒲田で!

今回もまた参加させていただきます。4回目かな。 ほんとは文学フリマにかまけてもいられないのですが、何だかんだで色々と関わっています。というわけで、告知がいっぱりあります。というか、それだけ楽しいことがいっぱいあるってことです。是非とも、日曜…

Twitter本関連記事

この記事は、2019年9月30日に書かれています。 はてなグループが、2019年中にサービス終了するということなので、はてなグループのダイアリー機能を使って書かれていた、Twitter本関連の記事をこちらにサルベージしておきます。 20090507 表紙絵公開と関東以…

イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』

濃密なファンタジーを読んだなあという感じ。 ここでいうファンタジーというのは、ドラクエ的ファンタジーではなくて、どちらかえといえばミヒャエル・エンデとかそういう感じ。エンデとも違うけど。 1〜3頁程度の断章で構成されていて、一つの章につき、…

『レッドクリフPART2』

サブタイトルは「未来への最終決戦」だけど、中国語だと「決戦天下」だった Part1が痛快活劇アクションだったとすれば、こちらPart2は戦争物に仕上がっている。 戦闘シーンのほとんどは、呉の軍勢と魏の軍勢が戦うところであり、超雲や関羽、張飛の超人的な…

『アフタヌーン6月号』『IKKI6月号』

アフタヌーン6月号 シドニアの騎士 今月から、弐瓶勉「シドニアの騎士」が連載開始! 気付けば僕は、BLAME!、NOiSE、アバラ、バイオメガと全部揃えていた。 それはそれとして、今までの弐瓶とはだいぶ雰囲気の異なる。色の塗り方かトーンの使い方あたりが変…

藤田令伊『現代アート、超入門!』

これ集英社新書、3月刊行。ちくま新書で4月から、『現代美術のキーワード100』というのが出た。まあ現代アートの本は定期的に出たりしているだろうけど、ブームだったりするんだろうか。 美術館で勢いで買った本で、正直言えば、買わなくてもよかったか…

森村泰昌『踏み外す美術史』

名画に化けてそれを写真に撮るという作品を作り続けている森村泰昌による、美術入門書 少し違う観点から、絵を見てみるというもの。 最初は「モナ・リザ」 彼自身がモナリザに変身するというのが目的なので、モナ・リザが一体どういう服を着ていて、どういう…

「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」@川村記念美術館

川村記念美術館は、千葉県の何もない田園地帯の山林の中に建っているところで、周囲を広い庭園に囲まれている。平日に行ったのでそんなに混んでいないだろうと思ったが、そういう立地であるためか、観光スポットのようになっていて平日とは思えない人の入り…

スーザン・ブラックモア『「意識」を語る』

哲学者、心理学者、神経科学者などなどの「意識」研究者へのインタビュー集。 著者のスーザン・ブラックモアは、『ミーム・マシンとしての私』の著者。僕は、このタイトルと名前しか知らなかったので、てっきり生物学者か何かだと思っていたので、訳者解説を…

『群像5月号』

諏訪哲史「ロンバルディア遠景」 今までの諏訪とはタッチが違うが、しかしやはり諏訪だなあという感じの作品。 マイナーな詩の雑誌の編集者である井崎が語り手となり、若い詩人であるアツシの作品やイタリア旅行が紹介される。 主人公の二人ともが、詩に関わ…

ポストロック

And So I Watch You From Afarアーティスト: AND SO I WATCH YOU FROM AFAR出版社/メーカー: XTAL RECORDS発売日: 2009/03/04メディア: CD クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見るbattles好き必聴という、店先のリコメンドコメントに釣られて。 ジ…

最近読んだ本2冊

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)作者: 奥泉光出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/04/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 17回この商品を含むブログ (70件) を見る奥泉光は、しばらく前から気になっていたのだけどまだ読んだことのない作家だった。 …

最近読んだ本5冊

ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)作者: フィリップ・K・ディック,浅倉久志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1978/10/01メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 175回この商品を含むブログ (108件) を見るどこから現実でどこまで夢なのか、というディック的テ…

伊藤計劃氏逝去

遅ればせながら、逝去の報に触れたのでここに記録しておきたいと思う。 それにしても、好きな作家の死というのはどう受け止めればいいのだろうか。 僕は直接面識があるわけではないので*1、その人が死んだことについての悲しみはあまりないし、仮にあったと…

向井秀徳×古川日出男SP

http://www.dax.tv/で公開されていたので貼っておく。 2008.12.13に広島横川シネマで行われた、音楽と文学の融合!向井秀徳×古川日出男「Asobi」 http://www.dax.tv/?item=2478 向井秀徳×古川日出男「ベルカ、吠えないのか?」 http://www.dax.tv/?item=2477…