『レッドクリフPART2』

サブタイトルは「未来への最終決戦」だけど、中国語だと「決戦天下」だった
Part1が痛快活劇アクションだったとすれば、こちらPart2は戦争物に仕上がっている。
戦闘シーンのほとんどは、呉の軍勢と魏の軍勢が戦うところであり、超雲や関羽張飛の超人的な活躍はほとんど見られない。
とはいえ、アクションが派手であることは間違いなく、色々な趣向が凝らされている。
印象に残るのは爆発音。火薬を詰めた玉を、手で投げたり、投石器で投げたりして戦っているのだが、それが爆発するときの音がなかなかごつくてよい。三国時代の映画なわけだが、あの爆発が次々と起こっていく様はさながら近代戦のようである。攻城戦の様子は、『プライベート・ライアン』の冒頭のようでもあった。
そうした火器や、矢や投げ槍や投石の応酬によって、名もなき兵がとにかくひたすら死んでいく。
超人的な武将たちが敵を薙ぎ倒していくというよりは、大量の兵士が殺されていくところを中心に描いているという感じがして、その点でアクションものではなく戦争ものになっていたのだ。
前半、孫尚香が魏の兵卒に化けて営舎へと潜入する。そこで、魏の兵卒と親しくなっていく。もちろん最後に魏は大敗北を喫するわけだが、その戦闘の最中、彼は尚香の目の前で戦死する。戦闘が終わり、尚香は彼の死体を抱き上げて涙するのだが、カメラは即座にひいていき、誰からも顧みられない他の遺体の顔を次々へと映していく。Part2が戦争ものであるということは、このシーンに何より込められていたように思う。


前半は、呉と魏が互いに策略を巡らせあうもので、そういえば赤壁の戦いというのはそういうものだったなあと思い出したが、映画で出てくるのは孔明が矢を集めるのと偽手紙の奴くらい。ホウ統黄蓋の活躍はなし。そもそもホウ統は出てこないし。でも、魯粛魯粛だなあという感じ。
まあ要するに前半は地味といえば地味。あ、でも、蹴鞠と称してサッカーやってたりするけど。
赤壁の戦いという奴は、孔明が風向きを変えたところで、趨勢は決してしまうので、そこがクライマックスという感じがするけれど、この作品ではそうはなっていない。というか、孔明が風向きを変える祈祷を行わない。
既に述べたように、近代戦のような雰囲気すら漂う集団戦が展開される。
後半におけるこの戦闘シーンの長さには結構驚いた。
この戦闘の始まりは、孔明の祈祷ではなく、小喬曹操に決死の思いで茶を出すシーンである。
水上での火攻め、攻城戦と展開していき、泥臭い戦いをこれでもかと描いた後に、周ユと超雲が無数の布がはためく本陣で曹操を探すアクションを持ってくるところで、アクションのクリエイティビティというものの面白さを感じる。


ラストに関しては、ちょっと不満がある。
あれ、曹操を殺しちゃってもいいんじゃないかなーとか。従来の三国志とは違う話になっているのだから、そこはさらに徹底して違う話にしちゃっても面白かったような気がする。
まあ、孫権のことを考えるとああなるかあとかも思うけど、関羽とか張飛とかのこととか考えると色々複雑(?)
あと、周ユと孔明が最後まで親友同士なのが逆に怖いw