小田切博『キャラクターとは何か』

「キャラクター文化」を巡る様々な(国際的、国内的な、主にビジネスにまつわる)状況を概観させてくれるハンドブック。
であるが、それを前提にしつつ、第三章のキャラクター論が非常に面白い!
ディケンズの挿絵からアメリカの戦前出版文化あたりに、キャラクターの起源を見出しながら、キャラクター概念の分析を行っている。
類書にはない視点の分析で、無論類書の論点は踏まえており、明快でいて本質的なキャラクター概念の提示になっているのではないか、と思う。
無駄に哲学的概念などは用いず、歴史的な分析をしているからではないかと思う。
その時々の技術や社会背景などに規定されたものとして捉えるという点で、ポップカルチャー分析であると思うし*1
あと、日本特殊論やネットがすごい論の相対化ともなっているところも、よい。

キャラクターとは何か (ちくま新書)

キャラクターとは何か (ちくま新書)

*1:ただし、カルチュラルスタディーズという意味ではなく