『serial experiments lain』

OPがかっこよかったのと、短かった(13話)だったので、気付いたらyoutubeで全部見ていた。*1
ネットものだと思ってみてたら実はネットものじゃなかったよアニメっていうことで、まるで『電脳コイル』のようでうもあるw
というか、ネットで物語を描こうとしても結局ネットじゃなくなってしまうんだろうなあ。多分、ネットにはネットとしての特性があんまりないんじゃないかとか。
まあ、ネットの話といえばネットの話なんだけども、むしろ濃厚について回るのは都市伝説の方だったりする。
あと、すごく90年代臭がする。
これ、ラストはかなりいいと思うのだけど、そこに至るまでの雰囲気がかなり陰鬱なのでなかなか見通すのは難しいかもしれない。
抽象的なイメージ映像が非常に多い! 夢なのか記憶なのか想像なのか何なのかよく分からないシーンとかも。
客観的な現実はないということを示す演出だともとれるが、それをやるためにも色々方法はあるわけで、これはかなり実験的というか、なんでこんなイメージビデオを延々見せられなきゃならんのかと思わないでもないw
あと、キャラクター原案は安倍良俊なのだけど、アニメの線はIGとか今敏とかそんな感じで、話の雰囲気とあわせるとかなり今敏っぽいかもしれない*2
自殺したクラスメートからメールが届くとか、あるネトゲーにはまっている奴らがどんどん自殺するとか、後半になるとリトルグレイすら出てくるという感じで、都市伝説ネタを背景にしている感じがする。それに加えて、クラブの雰囲気とか、怪しげなドラッグとか、援助交際的なことをしてるっぽい女子高生とか*3、あとイジメっぽい描写とか、家族ごっことか、なんかこう90年代っぽいんだなw
死んだ後、人格データをネットに残してネット上で神様を名乗る奴が敵で*4、それと戦って倒すというのが一応あるにはあるんだけど、その一方で、主人公のレインって少女が一体何なのかというのが話の中心になる。
実際には彼女は人間ではなくて、ネットが生みだした人格、あるいはネットそのものっぽい。だから、神を名乗ってる男と同様な存在であって、プロトコルが更新されて現実世界との関係がよりシームレスになってくると、ほとんど万能な存在になる。作中ではそのことを、「遍在する」と表現している。
しかし、一度肉体を持ち人格化してしまっているレインは、本当は自分が遍在するネットそのものなのだと言われても納得できずにいる。ここらへんの懊悩がなかなかよい。まあここらへんも、最初は「お前にはもう現実世界には居場所がない」というイジメ的な描写からなされていくから、なかなか鬱々しているんだけど、そもそも生身の人間がネットにデータ化されるのではなくて、最初からデータに過ぎなかった存在が肉体を持っちゃったんだけど、そろそろ元の状態に戻れよ、やだよっていうやり取りだと分かってくると、これはなかなかよいなあと思う。つまり、全体的に覆っている雰囲気がエヴァっぽいんだけど、方向性はエヴァとは逆かなあという感じで。
で、レインは、友人の醜聞を消すためにみなの記憶をいじるのだけど、それが結果的にその友人から不気味がられてしまう。で、結局レインは自分自身とその記憶を世界から消してしまうことを選ぶ。
世界と自分とのあいだに軋轢が生まれた場合にどうするか。90年代後半からゼロ年代前半ってわりと、世界を滅ぼしてしまう系が多かったような気がするのだけど、レインは自分の方を消してしまうという点でちょっと異色かなあと思った。明らかに彼女は世界をリセットできる能力を持っていて、実際ある意味で世界をリセットしているのだけど、そのリセットによって自分を消してしまう。
でも、彼女という人格自体は残り続ける。
これは一度人格化してしまうと、なかなかちょっとやそっとのことじゃあ消すことができないってことなんだろうなあと思うと、これはなかなか感じ入るところが大きいエンディングだと思う。
で、だから結局これ、ネットの話ではなくて妖怪とかの話なんだよなあと思う。

serial experiments lain TV-BOX [DVD]

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*1:いやほんとは、ニコ動でゼーガ動画見てたら、ゼーガとノエインはガチってコメント見掛けたからノエイン見ようと思ったんだけど、何故かlain見てたw

*2:キャラクターの線という意味では、小路啓之っぽくも見えた

*3:モブの一人だけど

*4:神様になるために、ププロトコロルのヴァージョンアップの時を狙っている、というのはなかなか今見ても十分通じる設定だなあと思ったけど