2007-01-01から1年間の記事一覧

グレッグ・イーガン『宇宙消失』

イーガンっぽいようなイーガンっぽくないような作品。 アイデアはイーガンだけど、話の作り方とかはイーガンっぽくないような気がする。まあ初期の作品だからだと思う。 しかし、面白かった。 アイデアの破天荒ぶりとか、サイバーパンクっぽいところとか。 …

円城塔「つぎの著者につづく」他、今月の文芸誌3誌をテキトーに

実際に読んだ順番で。 新潮 新人賞、選評だけ読む。 あれ、斎藤環の連載ってどこだっけ。 書評を3つ読む。 ・島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』/岩宮恵子 ・鹿島田真希『ピカルディーの三度』/田中弥生 ・大西巨人『地獄篇三部作』/福永 信 「大きな…

現代アートの表現するもの/表象について

現代美術についての授業をとっていて、その中で現代アートの入門書を読んでいる*1。 それで考えたことなど。 現代アートはよくわからない、というのはよく言われることである。 僕はむしろ、そのよくわからなさを面白がっていたりしているのだが、多くの人に…

『SFマガジン11月号』

買った直後に撮った 早川の信号機 連載小説と雪風以外は大体読んだ。 雪風もいつか読む。 SFマガジンだけど全然SFじゃない。まあ集まった作家のラインナップとして、今月がたまたまということかもしれない。あと、SFかどうかを判断するのは難しいし。 SFかど…

ヘンペル「意味の経験論的基準における問題と変遷」(現代哲学)

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら 前回までが言語哲学だったとすると、今回からは科学哲学。 経験論的基準というのは、いわゆる線引き問題のこと。 線引き問題とはつま…

学祭

昨日、id:inflorescenciaさん、id:cedさんに来て頂きました。 来て頂けるとは全く思っていなかったので非常に驚くと共に、嬉しかったです。 わざわざありがとうございました。 色々な話が聞けて、とても楽しかったです。 なんだか殺風景な部屋で、大したおも…

「サイバースペースは何故そう呼ばれるか」『情報環境論集』

LSDを買うかどうかは迷っていたのだけど、http://d.hatena.ne.jp/massunnk/20070825/p3をきっかけに購入。 滅茶苦茶面白い。 これは、結論が出なかったという点では「失敗作」なのかもしれないが、こんなに面白いとなると「失敗作」と呼ぶのはもったいない。…

学祭宣伝

今週末は学祭です。 3つほど関わっていますので、宣伝します。 1,友達と屋台出します。 果実酒とタコスのお店です。 バーテンがいるときは、カクテルも飲めます。 2,文芸サークルの冊子を発行します。 これは毎年やってる奴です。 今年は書きました。 …

ウィトゲンシュタイン『哲学探究』

1年かけても、哲学探究の一部分しか読むことはできないのだけど、とても面白い。 いつかちゃんとまとめておきたいなと思っているのだけど、それはまた今度。 とりあえず、今日読んだところで、ついに独我論が崩壊した。 「私」の心的内容は、人との関係の中…

昨日、今日思ったことをテキトーに書く。

ミャンマーやばいだろ、ミャンマー(ビルマ)。 詳しいことは全然わかんないんだけど、いい方向に向かって欲しい。 昨日のクロ現は、ケータイ小説特集だった。 番組そのものは悪くなかったけど、ありとあらゆるジャンルに精通してそうな国谷さんも、若者文化…

ラムジー「事実と命題」(現代哲学)

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら 論文のタイトルにある通り、事実と命題(文)がどのようにして結びついているか、を論じたもの。 命題というか文というのは、それ単体…

ラッセル「指示について」(現代哲学)

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら 日常言語では隠されてしまっている言語の深層構造を見つけ出そうと試みた人、ラッセル。 フレーゲの提示した、意義と意味(内包と外延…

前田司郎「誰かが手を、握っているような気がしてならない」『群像10月号』

とりあえず、タイトルが長い、と都知事のようにケチをつけてみる。 あと、なんでそんなにみんなお尻が好きなの? とも思う。 まあそれはともかく、面白かった。 語り手をぐるぐると変えながら、とある四人家族についての物語が進んでいく。 文体や作り方は全…

『新潮10月号』、「キャラクターズ」とか「ニートピア2010」とか

読んだよ、読みましたよ。 黙殺してやろうかと思ったけど、感想書く。 東浩紀は今すぐ死んでしまえ。 あと、矢野優ももっとまとまな仕事をしろ。 キャラクターには固有名はないが、エクリチュールはある。 (『新潮10月号』63頁) この点にだけ、同意する…

Bravoski2008vol.1

08シーズン開幕 ヤンネ*1すごすぎ、かっこよすぎ あと、表紙がかっこいいと思う。 [rakuten:book:12121015:detail] *1:ヤンネ・ラハテラ

フレーゲ「意味と意義について」(現代哲学)

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 1回目の今週は「意味と意義について」 他の週の授業はこちら 意味=Bedeutung=reference 意義=Sinn=sense=「表示されたものの与えられる様態」 語の意…

現代哲学目次

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 フレーゲ「意義と意味について」 ラッセル「指示について」 ラムジー「事実と命題」 ヘンペル「意味の経験論的基準における問題と変遷」 クワイン「経験論の…

刑事裁判について

最近気になっているので、エントリを立てることにした。 本文に入る前にいくつか前提を立てておく。 1、もとより僕は、刑事裁判に対する「世間」の理解に違和感を憶えていた。 2、『それでもボクはやってない』を見ることによって、その違和感を言語化する…

仲俣暁生『極西文学論』

仲俣暁生の常で、というべきかもしれないが、この本は論理展開が真っ直ぐ進んでいかない。歴史的事実と小説や歌の中の言葉を重ね合わせていくことで、何かを炙り出そうとする。 さて、『ポストムラカミの日本文学』や『「鍵のかかった部屋」をいかに解体する…

ポリフォニーとか

このタイミングで、東浩紀とか読書とかのタグつけた日記書いたら、当然「キャラクターズ」についてだと思われそうだけど、残念ながら違う。まだ読んでいない。 『カラマーゾフの兄弟』を読んだので、『小説家が読むドストエフスキー』という本のカラマーゾフ…

『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー

ついに読みました、カラマーゾフを。 常々、自分の文学レベル(?)を上げるためには読まなければならないだろう、と思いつつも、ずっと前に読んだ『罪と罰』の「ただひたすらに長い小説だった」という印象が残っていて、なかなか手をつけられなかった。 確…

『マインズ・アイ』ホフスタッター、デネット編著

心の哲学の入門書として有名なこの一冊。 論文集かと思いきや、開いてみると思いの外、SF短編が多く収録されている。 その理由は、デネットの以下のような言葉から窺えるかもしれない。 科学のもつストーリーを生み出す能力は、単に周辺的であったり、教育上…

複数性を束ねるもの

前回のエントリでは、「波状言論号外4号」を、「何だ、この「キャラクターズ」とかいう小説は?」で一蹴したのだけれど、まあちょっと真面目に受け止めてみる。 偉そうなことを言うならば、東浩紀と自分の対立点がもしかしたら見えてきたかもしれないのだ。…

今月のアフタヌーン

なんか滅茶苦茶面白かったので思わずエントリをたてる。 というかですね、「おおきく振りかぶって」で泣きました。 このマンガで泣きそうになることはよくあるんすが、ついに今月号で落涙しましたよ。 これ以上説明するとどうあってもネタバレになるので、ア…

ここ1週間くらいのことを一気に書く

丸一週間ブログの記事を書かない、というのは、最近だと珍しい気がする*1。 最近あんまり本も読んでいなかったし映画も観てないし、単にブログの記事にすることがなかっただけなのだが、一つの記事にするにはちょっと物足りない程度のことになると実はいくつ…

『アヒルと鴨のコインロッカー』

ボブディランの「風に吹かれて」がよい。 何度も何度も繰り返されるのが。 冒頭の本屋襲撃シーンは、その後、2度繰り返されるが、2度目はコミカル、3度目は悲しく見える。セリフは全く同じなのに。 同じシーンを繰り返す、というのは、映画的な演出方法の…

『ゆれる』

ambiguous*1なものを描いた作品。 その意味でタイトルが秀逸。形容詞じゃなくて動詞なのがよい。 昨日、『それでもボクはやってない』を見ているために、裁判シーンはすごくわざとらしく見えて仕方なかったが、まあ裁判のリアリティが重要なのではないので仕…

『SFマガジン』9月号、『文学』7,8月号

『SFマガジン』 円城塔「Boy'sSurface」 円城の語り口の魅力というのがあって、どんなわけのわからない話をされても、何となく楽しく読めてしまう。 立ち読みで一読しただけでは、残念ながら話の核のようなものはよくわからなかった。 ただ、語り口の面白さ…

『それでもボクはやってない』

周防正行の痴漢冤罪の映画。 「疑わしきは罰せず」「十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ」という原則を、感覚的に実感してもらうために、多くの人に見て貰いたい作品*1 あと、裁判というのは、真実を明らかにする場所ではない、ということも*2…

『リトル・ミス・サンシャイン』

アメリカ郊外で中流から下流の生活を送る家族のロードムービー。 彼らの織りなすドタバタに笑うだけ笑ったら、そのラストに感動するのは禁止。 最後まで笑って終わらなければいけない。 それにしても、アメリカというのは、本当に風景がいちいち雄大。 ちま…