2007-01-01から1年間の記事一覧

『心の哲学入門』金杉武司

心の哲学面白いなあ! 心の哲学についてもっと勉強したいなあ、と思った*1。 今まで、ネットとかでかろうじて集めていた知識が、かなりはっきりと分かってきた。 やはり入門書というのはよいものだ。 心の哲学に関しては、基礎文献集とかあったけど、こうい…

『マルコビッチの穴』

この前、深夜にやってた奴。 CMがやけに細かく入ってた。 天井が低くてみんな背中丸めて歩いているのが面白くて笑えた。 なんか小難しい映画かと思ってたら、全然そんなことなかった。 小難しく考えようと思えば小難しいことも言えそうな気はするけど、そん…

パトナム『理性・真理・歴史』

上の記事が長すぎるので、こちらは短めにいきたい。 後半はかなり流し読みしたところもあるし。 戦後アメリカ哲学の総まとめ的な感もある。 クワイン(実在主義批判)、デヴィッドソン(相対主義批判)、グッドマン(実在主義批判)の考え方が、基本的に継承…

「現前性」について

「リアリズムとリアリティ」のつづき。 リアリティという言葉を、伊藤剛にならって、「現前性」と「もっともらしさ」に分類した。 大抵、リアリティという語が使われるときは、「もっともらしさ」についてのことが多いが、フィクションについて考察するので…

文学フリマ感想その2

感想その1はこちら URLを書いていないと、スパムとして弾かれるため、今回、トラックバックを送る先、というのを書いています。 はてなは、idトラックバックというシステムがありますが、それにすると最新記事にトラックバックが送られてしまうので、文学フ…

リアリズムとリアリティ

正直、早くPCの電源切って本読みながら寝たい気分なんだけど、 「3つのリアリズム」(らいたーずのーと)を読んだら、そうも言っていられなくなった。 まず、リアリズムとリアリティという言葉を区別したいと思う。 リアリズム、というのは、リアルに描くこ…

グレッグ・イーガン『万物理論』

大作なので、あまり間をおかずに読めてよかった。 扱われているトピックの数が非常に多く、その点で他のイーガン作品と趣を異にしている感はある。 この作品では、万物理論というタイトルに違わず*1、理論物理学が扱われている一方で、バイオテクノロジーも…

今月の文芸誌(『群像2007年12月号』『新潮2007年12月号』)

群像 創作合評「つぎの著者につづく」 このR氏というのは、村上春樹のことなのではないか、という小池昌代の指摘。 つまり、SREのリチャードとジェイムスとリタの話が村上春樹っぽいと円城塔は実際に誰かに言われたのではないか、と仮定して読んだらしい。…

パトナム「水槽の中の脳」

これの続き。 本当は、授業内で読む予定だったのだが、都合で中止になってしまったので、個人的に読んでみた。 懐疑説の議論の例として出てくることの多い「水槽の中の脳」だが、そして実際その要素も含んでいるのだが、議論の文脈はそれとは異なる。 むしろ…

文学フリマ感想その1

今日までに読み終わったものの感想。 今後も、読み終わり次第随時書いていく予定。 感想その2 CRITICA Vol.1 探偵小説研究会。 友達用で、渡す前に瀬名秀明インタビューと千野帽子の文章を読んだ。 法月綸太郎による瀬名インタビューは、インタビューという…

テッド・チャン『あなたの人生の物語』

最近、自分の中でプチSFキャンペーン。 ディックの次は、チャン。 センス・オブ・ワンダーってこういうものかということを感じた。 バビロンの塔 のっけから、舞台が古代バビロニア。 バベルの塔を建設している人たちの話。大工たちが、塔の中で生活してる…

文学フリマ報告

昨日、文学フリマが無事終わりました。 来て下さった方、手にとって下さった方、本当にありがとうございました。 手伝ってくれた全てのみなさん、文学フリマ運営事務局のみなさん、文学フリマに参加していた全てのサークルの方々、お疲れ様でした。 おかげさ…

文学フリマ告知

もうすでに何度か言っていますが、再びアナウンスさせていただきます。 来る11月11日、文学フリマに出ます。 『物語の(無)根拠』シノハラユウキ 阿部和重『グランド・フィナーレ』『ミステリアスセッティング』、佐藤友哉『世界の終わりの終わり』『灰…

文化と政治

今日、ブクマした3つのエントリが、それぞれ別のところで見つけた*1のにも関わらず、同じ問題系を巡っているように感じられたので、紹介してみる。完全に単なる偶然なんだけど。 最初は 橋本努「リチャード・ローティを脱構築する」 私的な領域(つまり文化…

サール「心・脳・プログラム」

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら 今回が最終回。 本当は、パトナムもやる予定だったのだが、先生の都合で中止に。 近々借りて読む予定だが、誰かが元の場所に戻さなか…

フィリップ・K・ディック『ヴァリス』

思っていたほど、読みにくくなかった。 意外とすんなり読める。 死と救済についての物語である。 救済とは、永遠のことでもある。 主人公(わたしかつファット)は、ある1人の女性の自殺を契機に、苦悩し始める。 この物語は、いかに死を受け入れるか、とい…

今日買ったCD

DienBienPhu Sound Trackアーティスト: DJまほうつかい&AENさん出版社/メーカー: Commune Disc発売日: 2007/11/11メディア: CD購入: 9人 クリック: 376回この商品を含むブログ (6件) を見るUNCLE JOHNアーティスト: SPECIAL OTHERS出版社/メーカー: Babestar…

UBC-jamVOL.21

無料ライブ。このメンツが無料で見れるなんてすごいなあ。 低音がよく効いていました。 まず、ハルカリ。 そういえばハルカリってちゃんと聞いたことがなかった。 クラブ寄りのパフィーって感じだけど、かなり踊れた。歌はラップなんだけど、音はテクノポッ…

『パンズ・ラビリンス』

超面白い! 滅茶苦茶面白い!! そして、オフィリアが可愛い! オフィリア可愛いよ、オフィーリア!! あと、メルセデスがかっこいいなあ。 舞台は1944年のスペイン*1 軍人と再婚した母親とともに山奥へと引っ越す少女、オフィリア。 彼女は、妖精に、地…

フィリップ・K・ディック『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』

この手の、夢かうつつかみたいな話は、ほんとに面白い。 幻覚から覚めたと思ったら、まだ幻覚だった、というシーンは、今となっては確かにベタかもしれないが、やっぱり面白いな。 ニューヨークの自分の事務所に戻ってきたはずなのに、そのデスクの陰に怪物…

グッドマン「帰納法の新たな謎」

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら 帰納法というと、ヒュームの問題がある。 帰納法というのは、果たして妥当な推論であるのか、という問題だ。 まあ、帰納法というのは…

文学フリマ

文学フリマのサイトでサークル一覧・配置図が公開されました。 僕は、B-51です。2階です。 シノハラユウキ『物語の(無)根拠』 というのを出します。 なんと、先ほど完成しました。 あとは印刷・製本です。コピー本なので一冊一冊、手作業で作ります。 そ…

古川日出男『ベルカ、吠えないのか』

歴史とは物語であり、物語とは歴史である。 この小説には、1943年から199X年までの歴史=物語が書かれている。 偽史ないし架空史を描いた小説は数多くあるだろうけれど、これはそうした作品を圧倒するだろう。 何故か。これが犬の歴史=物語だからだ…

デイヴィドソン「概念枠という考えそのものについて」

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら 前回のクワインによって、分析と総合の区別と言う二元論は放棄された。 だが、それは別種の二元論を呼ぶこととなった。 分析(必然的…

『ラスト・ワルツ』島田虎之介

最近、1巻完結で(ないし少ない巻数で完結している)面白いマンガ教えろスレとかエントリとかがはてブにホットエントリになっていたけど、 まさに、1巻で完結していて面白いマンガ。 伏線が巧みに配置されていて、完成度が高い。 全11章で、前半はオムニ…

原稿/TV映画・ドラマ/買い物/ウラン、カザフ

というタイトルとはあんまり関係なく、最近の日記。 土日は、文学フリマへ向けて、原稿をいじる作業。 この前、目次を公開したけど、作業している中でちょっと変わったので変えた。 言及作品リストを見ればわかる通り、大半が佐藤友哉と阿部和重。それ以外の…

古川日出男『ハル、ハル、ハル』

あとがき(?)に「速さこそがモラル」とあるが、とにかくあっという間に読めた。 実際、頁数もそれほどあるわけではないが、文章が速い。 パラパラっと見てみるとわかるが、わりと紙面が空いている。描写が少ない。そう、描写が少ない。 モノローグが多い。…

佐藤友哉『世界の終わりの終わり』

連載時より、この作品はそれほど特別に面白い作品というわけではなかったが、単行本化に際してより面白くなくなってしまった。 どのように書き換えられたのか、という点だけの興味で買ったので、まあ別に構わないのだが。 何故面白くなくなったのか。 やや長…

クワイン「経験主義の二つのドグマ」(現代哲学)

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら クワインは、以下の二つのことを、何の根拠もないドグマにすぎないとして否定する 「分析的言明と総合的言明に本質的な違いがあること…

文学フリマに関して

11月11日に出ます。 文学フリマについてはこちら B-51 シノハラユウキです。 こんなものを出す予定です。 隣が、唐沢俊一、と学会のようだ……mjk