一般向けの噛み砕いた表現で、石黒さんが今までやってきた研究の概略についてまとめてある本。
石黒さんのロボット自体は有名だけど、実際にどういうこと考えてこういう研究やってるのかとかはあんまり知らなかったので、面白かった。
面白いのはやはりジェミノイドの話。
石膏で型をとるときの苦労話から始まって、ジェミノイドに給料は支払われないのは何故かという話から、ジェミノイドを操作する人とそれに接する人の関係の話まで。ジェミノイドは石黒さんそっくりの見た目のロボットだが、操作する人はそのロボットにシンクロしたりする。また、その操作者と親しい人の場合、見た目が石黒さんでも操作者をそのジェミノイドに感じたりする。
それから、平田オリザ協力によるロボット演劇の話。
トータルに模倣するのではなく、徹底的に状況を限定して動作を作り込むことによって「人間らしさ」を獲得できるでのはないかというアプローチ。
石黒さんの「心」観は、まんまギルバート・ライルって感じだけど、ここらへんは言語ゲームって感じもするかも。
ウィーンでやったというインスタレーションも面白そう。
石黒さんと石黒さんのジェミノイドが隣り合っていて、途中でジェミノイドの動作が止まってしまうというもの。見る者は、動作を止めるジェミノイドに死を感じるのだとか。
ロボットのアプリケーションとして、情動のメディアとなるというのが面白いなと思った。
ロボットをマンマシンインターフェイスとして捉えるという考え方は今までにもよくあったけれど、メディアとして捉えるという考え方は、ありそうでなかったのではないかなあと思う。人と機械のあいだではなく、人と人との間にたつということだから。
- 作者: 石黒浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/19
- メディア: 新書
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