- 2025オールタイム・ベストSF結果発表
- 「アフター・ゼロ」 グレッグ・イーガン/山岸 真訳
- 「陽の光が届かなくなった年」 ナオミ・クリッツァー/桐谷知未訳
- 「やけにポストの多い町」 大木芙沙子
- ヴェルト 第二部 第四章 吉上 亮
- 日韓SF作家対談 今、SFを書くということ(キム・チョヨプ×池澤春菜 聞き手◎井手聡司[早川書房編集部])
- 秋山文野「宇宙開発 半歩先の未来」
- 長山靖生「SFのある文学誌」
2025オールタイム・ベストSF結果発表
これ目当てだったのだが、結局あんまりちゃんと読んでないし、ブログになんか感想書く類のものでもないな
「アフター・ゼロ」 グレッグ・イーガン/山岸 真訳
勤めていた核融合ベンチャーがつぶれてしまった女性エンジニアが、次なるプロジェクトとして、ラグランジュポイントに太陽光を分散させる装置を作ろうとする話
なんか出資か何かのライバルとなるプロジェクトがトンデモで、それと対峙するあたりが、まあイーガンっぽいといえばイーガンっぽいが、全体としては、まあまあって感じの作品
「陽の光が届かなくなった年」 ナオミ・クリッツァー/桐谷知未訳
パンデミックが起きたり、天候不順が起きたりして、インフラが不安定化した世界の、とある町の話
みんなで協力しあって困難を乗り越えようという話で、読んでいて気持ちの良い話ではあるが、すごく面白いというほどでもない感じだった。
「やけにポストの多い町」 大木芙沙子
望が、恋人の洋平を、自分の故郷である喜浜町へと連れてくる。
ここは、携帯電話の電波が通じないため、かつては一種のホラースポットとして、今はデジタルデトックスできる町として、観光地となっている。
タイトルにある通り、この町には、ポストが非常に多い。普通の郵便ポストではなく、黄色いポストで、この町の住人はそれをメール代わりに使っている。ポスト番号を書いたハガキを入れるとそれが送られる(内部にFAXのような機械が入っている)。
とはいえ、それ以外にはそれほど目立った何かがある町ではなく(夕焼けが美しいというのも観光資源だが)、また、実は今は電波も入る。
洋平は、一緒にいても疲れないという点で望との付き合いを好ましく思っているのだが、町に帰ってきた望はどことなく様子がおかしいというか、自分の故郷を気に入ってほしいからなのかもしれないが、非常に熱心に町のよさを推してくるのである。
ところで、登場人物としてはもう1人、望の幼なじみである唯がいる。彼女は、小学6年生の頃に町に引っ越してきて以来、望と親しくしている。だが、町の外を知っている唯は、あまり先のないこの町に執着している望を、町から引き離したいと思っている。
実際、望も、唯の上京とあわせて上京しており、東京で就職している。洋平とも東京で出会っている。しかし、望の目的は、東京で見つけた恋人と一緒に再び町へ戻ることなのである。
と、ここまでだとあまりSF要素がないが、このポストの中には、ハガキを処理してくれる粘菌が入っていて、それが夕焼けのような赤をしていて、小学生の頃にこれを見た望は、いたく感激して、以来、時々それを食べたりしている(食べても望の体内には定着しないが)。
ヴェルト 第二部 第四章 吉上 亮
こういうタイトルの連載作品があることは知っていたけれど、内容は全然知らなかった
ページをパラパラとしていたら、革命とかサンソンとかロペスピエールとか目に入ったので、なんとなく気になって読んでみた。
たまたま前号も持っているので、第三章もあわせて読んだ。
連載の途中からなので、全体としてどういう話なのかよくわからないが、この部分だけでも結構面白かった。
ルイ16世の眼球は未来視ができるとされ、刑死後、眼球だけがサド侯爵によって持ち去られていた。それを、ロベスピエールの命を受けたサンソンが、ロベスピエールの妹とともに取り返しにいく。
サド侯爵は、精神病院で演劇治療を行っており、眼球と引き換えにサンソンに舞台にたつよう要求する。
サドはマラーを演じ、サンソンがサドを演じ、ロベスピエールの妹がシャルロット・コルデーを演じるその演目は、コルデーがマラーを暗殺するというものだが、この時、マラー暗殺はまだ起こっていない。
そして、このロベスピエールの妹というのが、実はロベスピエールの妹ではなく、シャルロット・コルデーその人で、数年後、本当にマラーを暗殺してしまう。
作中で未来の出来事が劇中劇として演じられ、それも本人が本人が演じていて、みたいな複雑な構成が面白いし、サンソンに正体を明かしたコルデーが自分の身の上とフランスの宗教対立の歴史とかをサンソンに語るくだりとかも面白かった。
今後、ナポレオンも出てくるみたい(眼球の片方がナポレオンの手にわたっている)
秋山文野「宇宙開発 半歩先の未来」
衛星コンステレーションについて
もともと、1970年にジョン・G・ウォーカーという技術者が発表した論文により考案されたアイデア
この論文自体はよく読まれているが、ウォーカーという人が一体どういう人なのかは全くわからないらしい。
長山靖生「SFのある文学誌」
夢野久作のつづき
『SFマガジン2024年12月号』 - logical cypher scape2
東京についてのルポ
都市生活者の堕落について