アストロバイオロジー・生命進化・惑星科学

井田茂『系外惑星と太陽系』

TRAPPIST-1に7つの系外惑星が発見されたというニュースもあったばかり(TRAPPIST-1関連記事まとめ - logical cypher scape)で、非常にタイムリーな1冊 長沼毅と共著の長沼毅・井田茂『地球外生命 われわれは孤独か』 - logical cypher scapeとセットで読む…

ニック・レーン『生命、エネルギー、進化』

生命の起源とはどのようなものだったか、真核生物はどのように誕生したのか(何故20億年も真核生物は生まれなかったのか)、という大きく分けて2つの問いを、エネルギー代謝という観点から説き明かしていく本。 あらゆる生物にとって共通の要素とは何か。 DN…

TRAPPIST-1関連記事まとめ

NASAから予告されていた発表は、TRAPPIST-1で7つの系外惑星を発見したというものだった。 というわけで、ちょっと関連記事とかをまとめてみる。 自分が過去にブクマした記事を並べているだけなので、過去の系外惑星発見ニュースの完全なリストではない 2015…

海部宣男、星元紀、丸山茂徳編著『宇宙生命論』

アストロバイオロジーの教科書的1冊 執筆者として、各分野の代表的研究者が20名以上揃えられている。 第1章・第2章が生物学、第3章・第4章が天文学、第5章は人類学や知的文明探査についてとなっている。 全部内容まとめようと思ったら、ちょっと長すぎるの…

第20回自然科学研究機構シンポジウム

ニコ生で配信されていたので前半だけ見ていた。 テーマ:「生命の起源と進化」 地球から系外水惑星へ シンポジウム詳細 資料(pdf)第20回自然科学研究機構シンポジウム「生命の起源と進化」 ニコ生視聴記録 - Togetter 関連記事 第15回自然科学研究機構シン…

阿部豊『生命の星の条件を探る』

惑星システム科学の観点から、惑星がハビタブルになる条件について考察した本。ハビタブルな条件といえば、中心星との距離に応じて液体のH2Oが維持できる範囲を示したハビタブルゾーンが有名だが、当然ながら、液体の水があればいいというわけでもなく、生命…

『現代思想2015年9月号』『Newton2015年10月号』『日経サイエンス2015年10月号』

『現代思想』 特集:絶滅 とりあえず長沼さんと三中さんが何書いてるかなーと眺める。この2人、ページの上下に線が入っていて、コラム扱いというか、別枠扱いされている感じがする。 長沼さん 長沼さんは、ビッグファイブについて簡単に説明したのち、化石人…

縣秀彦『地球外生命体』

天文学者によるアストロバイオロジーの入門書 アストロバイオロジー関係は新書でも結構出ていて、これまで読んだ本は例えば以下の通り。 松井孝典『生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門』とアストロバイオロジー系の本の紹介 - logical cyphe…

『日経サイエンス2015年5月号』

とりあえず読んだ記事のメモ 特集「超ハビタブル惑星」 「生命の理想郷スーパーアース」 「超ハビタブル」ってどういうことかと思ったら、まずは、主星の寿命が長いということだった。 それから、多島海であること 「有力候補を探せ 系外惑星の空を見る」 2m…

吉川浩満『理不尽な進化』

進化論についての言説史的な(?)エッセー(?)。どういう本なのか一言で説明するのはちょっと難しいが、「何故非専門家は進化論について誤解するのか」「何故グールドは混乱した議論を展開したのか」という問いをたて、非専門家やグールドがアホだからと…

ピーター・D・ウォード『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』

地球史における酸素濃度の変化という観点から、5億4000万年の動物の歴史を辿る本。 既に多くのレビューで指摘されているが、この本は「恐竜がなぜ鳥に進化したのか」についての本ではない。むしろ、サブタイトルにある「絶滅も進化も酸素濃度が決めた」とい…

Origins: Earth & Life

Jack Szostak RNAと細胞膜がそれぞれどう生まれたかということについて 実験室で、細胞膜の成長・分裂を物理・化学的なものだけで実現 RNAの化学的複製も、問題が解決しつつあるが、エネルギー源が謎 Dimitar Sasselov 系外惑星について スーパーアースって…

『Newton8月号』

メタン菌は,火星環境でも生息できる!? 火星の土壌を使ってメタン菌を生息させる実験。火星の環境でもメタン菌は生きていける。というか、酸素なくて二酸化炭素主体だからメタン菌にすれば理想的? ただし、火星でメタンは確認されていない。 全長40mの史…

宮田隆『分子からみた生物進化』

分子進化学の入門 もともと『分子進化学への招待』というタイトルで出ていた本の改訂版 分子進化学とはその名の通り、DNA、RNA、タンパク質といった分子を用いた進化学 この分野では、木村資生の中立説があまりにも有名 この分野の本をほとんど読んでなかっ…

『ビジュアルでわかる地球46億年史 地球創生から生命の進化、文明の誕生、そして現代まで』

洋泉社のムック本 地球誕生から人類誕生までのPart1と人類史のPart2で構成されている。 Part1を担当しているライターが土屋健だったこと、いくつかコラムが挿入されているのだけどその中に小林快次担当のものや『化石の分子生物学』の筆者が担当しているも…

田近英一『凍った地球 スノーボールアースと生命進化の物語』

スノーボールアースの本2冊目 当初は、とりあえずなんか1冊読んでおけばいいかと思ったのだが、川上紳一『全地球凍結』 - logical cypher scapeがわりとわからないところが多かったので2冊目読むことにした。 スノーボールアース仮説が注目を浴びるように…

川上紳一『全地球凍結』

地球科学の本を何か読みたいなーと思って、以前読んだ丸山茂徳・磯崎行雄『生命と地球の歴史』 - logical cypher scape2には、スノーボールアースの話が書いていなかったので、じゃあスノーボールアースの本でも読むかと思って手に取ってみた。 とはいえ、こ…

長沼毅・井田茂『地球外生命 われわれは孤独か』

生物学者長沼毅と惑星物理学者井田茂による共著で、アストロバイオロジー入門的な本。知的生命体の可能性についても触れられている。おおむね、前半を長沼、後半を井田が担当していると思われるが、部分的には必ずしもそうなってないところもある。 地球外生…

キャロル・キサク・ヨーン『自然を名づける』

生物学の分類学の歴史をまとめた読み物的な本であり、また科学的世界観と日常的世界観の齟齬について問題提起する本でもある。 筆者は、分類学の背後に「環世界センス」を見て取り、これが科学的世界観と日常的世界観の対立を引き起こしていると考える。「環…

松井孝典『生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門』とアストロバイオロジー系の本の紹介

タイトルにあるとおり、アストロバイオロジーについての入門書。 これまでも、アストロバイオロジー関連の本はいくつか読んで来ているのだけど、アストロバイオロジーの名前を冠して全体を概観する本を読むのは初めてだった*1。 というわけで、この本のまと…

丸山茂徳・磯崎行雄『生命と地球の歴史』

地球内部の活動を主軸に、地球と生命の関わりの歴史について書いた本。98年に出た本なので多少古めかもしれない。ジャンルとしては地質学ということになるが、地球全体のことを考えるとなると学際的な感じがするというか、こういうのが今のアストロバイオ…

第15回自然科学研究機構シンポジウム アストロバイオロジー

ustで配信されていたのを途中まで見ていた 第15回自然科学研究機構シンポジウム アストロバイオロジー ust実況 - Togetter

高井研『生命はなぜ生まれたのか――地球生物の起源の謎に迫る』

この前、しんかい6500のニコ生を見て高井さんが面白かったので、読んでみたw (前から読もうと思っていた本ではあったけど) そこかしこにネタを挟んでくる軽い文体で進むのだが、内容はかなり濃い 非常に面白い本だった 生命の起源についての自説を紹…

【世界初へ挑戦】深海5,00​0メートルへの有人科学探査を​生中継〜JAMSTEC×ニコ​生

【生中継】深海5000メートルへの挑戦 ~世界最深の深海熱水域に挑む「しんかい6500」の科学探査の現場を公開生中継~ 昨日見てました。 何か今でもタイムシフト視聴できるっぽいですね。 夜の8時半から朝の8時までという長丁場の放送だったので、まあちょ…

『ニュートン7月号』『日経サイエンス7月号』

ニュートン7月号 国立天文台が、円偏光を観測したというニュース記事 円偏光は、生物の材料である左手型アミノ酸への偏りを生じさせるもの それから、惑星科学者生駒大洋へのインタビュー 木星の形成メカニズムやスーパーアースの組成の分析をしている。木星…

井田茂『系外惑星』

本書によれば、系外惑星が最初に発見されたのは1995年。それ以降現在に至るまで、多くの系外惑星が次々と発見され続けている。あとでもう一度触れるが、観測技術の発展と、一度発見されたことによってどのように探せば見つかるかということが分かったこ…

福江翼『生命は、宇宙のどこで生まれたのか』

先日、NASAが系外惑星候補を1200個以上も見つけたニュースがあった。 しかもその中には、ハビタブルゾーン(液体の水が存在する範囲)にあると見られる地球サイズの天体も5つ含まれているとか。 NASA Finds Earth-size Planet Candidates in the Habitable …

長沼毅・藤崎慎吾『辺境生物探訪記』

NASAが砒素でDNAな感じのニュースがあったときに、Twitter上でどなたかが薦めていた本。 生物学者の長沼毅とSF作家・サイエンスライター藤崎慎吾の対談。 対談といっても、その場所がユニークで各章ごとに色んな「極限環境」を訪れている(予算の都合で全て…

三中信宏『進化思考の世界』

三中さんの○○思考の世界シリーズ第三弾。 第一弾→三中信宏『系統樹思考の世界』 - logical cypher scape 第二弾→三中信宏『分類思考の世界』 - logical cypher scape 今回も、進化論の話であるけれど、いわゆる普通の進化論の話ではなく、系統樹を巡ってその…

エリオット・ソーバー『進化論の射程』

三中さんの本で紹介されていた本で、ようやく読めた*1。 日本語サブタイトルは「生物学の哲学入門」、原著タイトルはそのものずばり“Philosophy of Biology”である。 では、生物学の哲学とは何か。まあ、何かと問われてはっきりとした答えが出せるものでもな…