天文学者によるアストロバイオロジーの入門書
アストロバイオロジー関係は新書でも結構出ていて、これまで読んだ本は例えば以下の通り。
松井孝典『生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門』とアストロバイオロジー系の本の紹介 - logical cypher scape
長沼毅・井田茂『地球外生命 われわれは孤独か』 - logical cypher scape
書いている内容的には、まあわりと重なり合うとは思うけど、これまで読んだのはどちらかといえば生物学寄りのを読んでいたので、今回天文学側からだったので
今回は、全体ではなく、気になった部分だけひろってく感じで
序章 宇宙生命への遙かな想い
ドレイク方程式自体は有名だけど、ドレイクが具体的にどういう数値を入れていたのかまで知らなかった。ドレイクの推定では、今現在通信可能な文明の数は10らしい。
文明の存続期間Lは1万年という仮定
最初のSETI=ドレイクが行ったオズマ計画で、ドレイクが選んだ星の一つがくじら座タウ、オキシタケヒコ「イージー・エスケープ」に出てきた
第1章 宇宙の歴史と元素の起源をたどる
銀河の中にも、元素の分布によってハビタブルゾーンがあるとか
第3章 太陽系に地球外生命は存在するのか
この章は惑星探査がまとめられていていい
- 火星探査機
マリナー4号 | 1964年打上 | 表面撮影 |
バイキング1号・2号 | 1975年打上 | クリセ平原、ユートピア地方着陸 |
マーズ・グローバル・サーベイヤー | 1996年打上 | 表面画像を17万枚撮影 |
マーズ・エクスプロレーション・ローバー | 2003年打上 | 1号スピリット、2号オポチュニティ/オポチュニティは今も稼働中 |
マーズ・エクスプレス | 2003年打上 | ESA、着陸船ビーグル2は失敗するも、オービターはメタンを検出 |
フェニックス | 2007年打上 | 北極域に着陸、氷塊、降雪現象 |
マーズ・サイエンス・ラボラトリー | 2011年打上 | キュリオシティ、現在進行中の探査 |
- ハリー彗星探査機
1986年のハリー彗星接近時に、いくつも探査機が行っていたって知らなかった
アメリカ「アイス」日本「さきがけ」「すいせい」旧ソ連「ベガ1号」「2号」ESA「ジオット」
ジオットは核に接近して撮影してる
はやぶさが持ち帰ったサンプルにより、イトカワは大きな小惑星が砕けた破片が集積した天体であり、表面は風化しているため、太陽系形成時の資料を持ち帰るためには、表面でははく内側を採取する必要があることが判明
イトカワはS型小惑星
はやぶさ2が目指すのはC型小惑星で、S型よりも始原的で有機物や含水鉱物を多く含んでいると予測
第4章 次々に見つかる太陽系外惑星
- ドップラー法、トランジット法、重力マイクロレンズ法
系外惑星は最初、1995年にドップラー法で発見されている
ドップラー法で分かるのは質量
トランジット法で分かるのは直径、より小さな惑星が見つかる
重力レンズ効果を使った重力マイクロレンズ法でもわずかながら系外惑星が発見されている。惑星が主星の前を横切るときに重力レンズ効果で主星が少し明るくなる
- 系外惑星の直接観測
2008年 ハワイ・マウナケア山のジェミニ望遠鏡で初めて直接観測
同年 ハッブル宇宙望遠鏡(ただし、本物かどうか議論あり
2009年 すばる望遠鏡による観測
第5章 第2の地球発見を目指して
大型望遠鏡計画
2021年稼働予定 日本のTMT(口径30メートル
2024完成予定 ヨーロッパのE-ELT(口径39メートル
2020年完成予定 アメリカ他の巨大マゼラン望遠鏡(口径24.5メートル
宇宙望遠鏡計画
2018年以降打上予定 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(口径6.5メートル/ハッブルは2.4メートル
2020年代後半 次世代赤外線天文衛星「スピカ」(JAXA
終章 つながる生命
宇宙誕生から138億年を1年間にすると、90歳の人生は0.2秒
最近、ケプラー452b発見された時のニュースを見て、主星が太陽と同じタイプで、ハビタブルゾーンの地球型惑星で、地球外生命体のいる可能性は高まったなと思ったけど
一方で、主星の年齢が太陽と比べて14億年違うと聞いて、同じ時期に文明が持続している可能性は低いよなあと思って
さらに、この「90歳の人生は0.2秒」を読んで、ますますそう思った
地球外生命体 ―宇宙と生命誕生の謎に迫る― (幻冬舎エデュケーション新書)
- 作者: 縣秀彦
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
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