縣秀彦『地球外生命体』

天文学者によるアストロバイオロジーの入門書
アストロバイオロジー関係は新書でも結構出ていて、これまで読んだ本は例えば以下の通り。
松井孝典『生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門』とアストロバイオロジー系の本の紹介 - logical cypher scape
長沼毅・井田茂『地球外生命 われわれは孤独か』 - logical cypher scape
書いている内容的には、まあわりと重なり合うとは思うけど、これまで読んだのはどちらかといえば生物学寄りのを読んでいたので、今回天文学側からだったので


今回は、全体ではなく、気になった部分だけひろってく感じで

序章 宇宙生命への遙かな想い

ドレイク方程式自体は有名だけど、ドレイクが具体的にどういう数値を入れていたのかまで知らなかった。ドレイクの推定では、今現在通信可能な文明の数は10らしい。
文明の存続期間Lは1万年という仮定

最初のSETI=ドレイクが行ったオズマ計画で、ドレイクが選んだ星の一つがくじら座タウ、オキシタケヒコ「イージーエスケープ」に出てきた

第1章 宇宙の歴史と元素の起源をたどる

銀河の中にも、元素の分布によってハビタブルゾーンがあるとか

第2章 生命とは何か

2014年 野辺山の電波望遠鏡で、星間分子雲からメチルアミン(アミノ酸手前の化合物)を検出
2006年 彗星探査機スターダストが、アミノ酸グリシン検出

第3章 太陽系に地球外生命は存在するのか

この章は惑星探査がまとめられていていい

  • 火星探査機
マリナー4号 1964年打上 表面撮影
バイキング1号・2号 1975年打上 クリセ平原、ユートピア地方着陸
マーズ・グローバル・サーベイヤー 1996年打上 表面画像を17万枚撮影
マーズ・エクスプロレーション・ローバー 2003年打上 1号スピリット、2号オポチュニティ/オポチュニティは今も稼働中
マーズ・エクスプレス 2003年打上 ESA、着陸船ビーグル2は失敗するも、オービターはメタンを検出
フェニックス 2007年打上 北極域に着陸、氷塊、降雪現象
マーズ・サイエンス・ラボラトリー 2011年打上 キュリオシティ、現在進行中の探査
  • ハリー彗星探査機

1986年のハリー彗星接近時に、いくつも探査機が行っていたって知らなかった
アメリカ「アイス」日本「さきがけ」「すいせい」旧ソ連「ベガ1号」「2号」ESA「ジオット」
ジオットは核に接近して撮影してる

はやぶさが持ち帰ったサンプルにより、イトカワは大きな小惑星が砕けた破片が集積した天体であり、表面は風化しているため、太陽系形成時の資料を持ち帰るためには、表面でははく内側を採取する必要があることが判明
イトカワはS型小惑星
はやぶさ2が目指すのはC型小惑星で、S型よりも始原的で有機物や含水鉱物を多く含んでいると予測

第4章 次々に見つかる太陽系外惑星

  • ドップラー法、トランジット法、重力マイクロレンズ法

系外惑星は最初、1995年にドップラー法で発見されている
ドップラー法で分かるのは質量
トランジット法で分かるのは直径、より小さな惑星が見つかる
重力レンズ効果を使った重力マイクロレンズ法でもわずかながら系外惑星が発見されている。惑星が主星の前を横切るときに重力レンズ効果で主星が少し明るくなる

2008年 ハワイ・マウナケア山ジェミニ望遠鏡で初めて直接観測
同年 ハッブル宇宙望遠鏡(ただし、本物かどうか議論あり
2009年 すばる望遠鏡による観測

第5章 第2の地球発見を目指して

大型望遠鏡計画
2021年稼働予定 日本のTMT(口径30メートル
2024完成予定 ヨーロッパのE-ELT(口径39メートル
2020年完成予定 アメリカ他の巨大マゼラン望遠鏡(口径24.5メートル


宇宙望遠鏡計画
2018年以降打上予定 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(口径6.5メートル/ハッブルは2.4メートル
2020年代後半 次世代赤外線天文衛星「スピカ」(JAXA

終章 つながる生命

宇宙誕生から138億年を1年間にすると、90歳の人生は0.2秒


最近、ケプラー452b発見された時のニュースを見て、主星が太陽と同じタイプで、ハビタブルゾーン地球型惑星で、地球外生命体のいる可能性は高まったなと思ったけど
一方で、主星の年齢が太陽と比べて14億年違うと聞いて、同じ時期に文明が持続している可能性は低いよなあと思って
さらに、この「90歳の人生は0.2秒」を読んで、ますますそう思った