『RATIO02』

大学の先生にいただいた。感謝。でも、まだほとんど読めていないんだけど。
既読記事

岡田温司「「帝国」と「ヨーロッパ」をめぐって―カッチャーリとその思想」

カッチャーリというイタリアの思想家の話。全く知らない人なので、単に読み流した感じ。
多島海」「宗教的無意識」というのが気になった。
カッチャーリという人は、現役のヴェネツィア市長でもあるらしい。哲人政治?!

永沢哲「螺旋身体論―ブッシュマンの幽性とクンダリニーの悟り」

ブッシュマンがヒーリングダンスでトランスする時の体験。
尾てい骨のあたりにエネルギー溜まりがあって、それが全身へとあがってくる感じらしい(それはヨガも一緒らしい)。
トランス体験者と非体験者(ブッシュマンは男性の半数がトランス経験がある、逆にいうと半数は全くトランスしたことがない)に、自分の身体を描いてもらったところ、非体験者は普通に胴体と手足をかくのに対して、体験者はバネのような螺旋を描く。トランス直前にはミツバチの羽音が聞こえる。

鬼界彰夫「私はなぜ規則に従うのか―制度、規範、「私」の概念的起源について」

規則とは何か、何故それに従うのか
それは規則とはそれに従うものであるということを私が知っているから。
それは一体どういうことなのか。オースティンを使って細かく分析されている。
分析の緻密さと具体例に、抽象的で難解な話だけれど明晰さを感じる。
「公的存在フェティシズム」という言葉*1や「公」についての分析が面白かった。権威主義的なものに対する批判として読むことが出来る。一見、抽象的(衒学的、非政治的)な感じの文章なのに、結構政治的な意図が込められているように思う。

戸田山和久vs伊勢田哲治実在論論争―科学に何ができるのか」

ここでも、分析哲学の面白さを見せつけられた感じ。それに、往復メールという形式もあって(そうでなくても戸田山なんかは砕けた文体で文章を書くけど)読みやすい。
実在論って大変なんだなあ、とか思ったりする。
科学(でも何でもいいけど、ある任意の論理体系)をどうやって現実にコミットメント/付着させるか。

別冊「本」RATIO 02

別冊「本」RATIO 02

*1:そういえばこの人は造語をよく作る気がする