恐竜博2023

上野の科博にて

科博でやってる恐竜博は、大体3年に1回くらいで、今回で行くの3度目だったようだ
「恐竜博2016」&「生き物に学びくらしに活かす」 - logical cypher scape2
恐竜博2019 - logical cypher scape2

  • 系統図

一番最初に恐竜全体の系統図があった。その展示でのポイントは、新鳥盤類についてであったが、個人的には、カルノタウルスってかなり分岐したの早かったんだな、というのが驚きポイントだった。
ズールやカワセミのシルエットが動くという演出もなされていた。

  • スクテロサウルス・スケリドサウルス

基盤的な装盾類から2種
スケリドって鎧竜だと思い込んでたが、それよりさらに遡る種だった。
基盤的な装盾類を除いた、鎧竜と剣竜でエウリポーダ類という分類があるのを初めて知った(恐竜の分類はむずい)
ところで、肋骨にも皮骨が細かくついていて、やや集合体恐怖をもよおすところがあった

  • ヘスペロサウルス


背中の皮骨が一列

  • アニマンタルクス、エドモントニア、サイカニア


鎧竜色々
ノドサウルス類のアニマンタルクスはスパイクかっこいい
放射線の高いところを掘って発見された

  • ズール

で、本展の目玉であるズール!

頭部化石のかっこよさよ
鎧竜共通の特徴と新種とされた特徴について解説されている
鎧竜は、側頭窓がない!

事前に噂は聞いていたけれど、展示方法がかっこよすぎる!
っていうか、本当に保存状態がめちゃくちゃいいな
産状化石なんだけど、頭骨を置いて上から見ると、復元骨格のようにも感じられるのがすごい

尾の腱もすごいし
上から見下ろした時、この大きさのこんな形の生き物がいたなんて、と感慨深くなった。

同種同士で争って傷付いたあとも残っているが、あれが欠けるってすごいなとも思った。

  • ゴルゴサウルス


ティラノと比べるとすらっとしている

  • 三笠のノドサウルス

三笠からノドサウルス見つかってたのかー

  • ケラトプス科の未記載種


現在調査中の実物標本

  • 追記(20230818)

新属新種であることが発表された。
【国立科学博物館】新種の角竜を命名~『恐竜博2023 大阪会場』で実物化石を展示中~|文化庁のプレスリリース
図録でも学生が解説記事を書いていたが、この人が筆頭で記載論文書いたということかな
閃光 - GET AWAY TRIKE !
こちらの記事では、この標本のいきさつが書かれている。
ちなみに、以下のようなことも書かれていた。

実のところ記載論文は2023年の2月上旬には投稿済みであり、7月20日付で校正前の受理原稿が(印刷中という扱いで)公表された。8月11日付で受理原稿は正式に出版され、晴れて命名と相成った(日本語のプレスリリースが公開されたのは盆明けであった)のである。だいぶ以前から“AVA”の骨格図を制作する機会にあずかっていた筆者だったりもするのだが、最初に描いたものはとうとう一度も表に出ることがなかった。

追記ここまで


イタリアの
これももう一つの目玉
内臓などが残っている、保存状態よすぎの奴
個人宅にずっとあったらしいんだけど、そもそもこれどうやって見つかったんだ

スコッティとタイソンの二体
しかしあれだな、ティラノサウルスは本当にでかいな
タイソンは、前脚を同種に噛まれて負傷しているらしいんだけど、よくあんなちっちゃいところ噛みつけたな。

  • レーザー励起蛍光法

という新しい手法による化石の写真が展示されていたが、集中力切れててあまりちゃんと見ていない……
プシッタコサウルスなどがいた。
プシッタコサウルスの羽毛にまだ慣れない

  • カルノタウルス


ティラノサウルスよりもさらに小さい前脚
何故、大型肉食恐竜はみな前脚が小型化したのか……
独特の姿勢しているなと思う。

  • メガラプトル


フクイラプトルってメガラプトル類なのか
あんまり知らない奴だ。
前脚のかぎ爪が特徴的、あと、後ろ脚の指が4本だったり5本だったりするように見える

図録

相変わらず図録の充実ぶりがすごい。
実際の展示で数行しか書いていなかったことなどについて、詳細な解説がある感じ。
また、学生へのインタビューがいくつか入っていた。今回展示されている標本の研究に関わった学生たちで、大体が今も大学院で研究しているが、中には学部卒で今は教師になっているような人もいる。中高生向けの進路の話に使えそうな奴。
また、ロイヤルオンタリオ博物館でプレパレーターとして働いている日本人によるプレパレーターという仕事について書いた文章や、トロント大学に留学歴のある研究者による、同博物館や留学について書かれた文章なども載っている。

図録について追記

第1章 装盾類の進化
第2章 鎧竜ズールのすべて
第3章 北半球における獣脚類の進化
第4章 南半球における獣脚類の進化
第5章 絶滅の最新研究

  • ナバホ・ネイションの話

ナバホ族の準自治領の中でカイエンタ層があって、古生物研究はナバホ・ネイション政府が許可を発行している。カイエンタ層からはスクテロサウルスなどが発見されている。

  • スケリドサウルス

オーウェンによって記載されたが、その後、160年間研究が止まっていた

  • ズールのプレパレーションの話

岩の中に丸々保存されているのが分かって、背中側からクリーニングする必要が出てきて、上下を逆転させなきゃいけなくなって大変という作業の記録


やっぱズールの頭骨はかっこいいなあ

従来、ほかの部分に比べて成長速度が遅かったせいと考えられてきたが、近年、成長率はほかの部位と変わらなかったとか、大型化する前から短くなってきたということがわかってきて、また、ものをしっかりつかんだり運んだりすることができる力強さと可動性を備えていることもわかってきた

  • 卵殻いろいろ
  • 前あしの短縮化

ティラノサウルス上科、アベリサウルス科、カルカロドントサウルス類で、3回独立に起きている
しかし、指の本数の減少などはいつも起きているわけではない(カルノタウルスは指3本ある)

  • メガラプトルの話

メガラプトルってよく知らないなーと思っていたが、そもそもこの分類名ができたのは2010年とかのことらしい! でもって、その後も分類上の位置が次々と変わっていったみたい。アロサウルス類に位置づけられていたけど、今はティラノサウルス上科に。
フクイラプトルも一番最初はドロマエオサウルス科ではないかと思われていたのだが、後にメガラプトル類に位置づけられた。

  • 絶滅の話

地中に巣を作った鳥は絶滅を免れた?
まだ、そういう巣の化石とかは見つかっていない
枝葉末節の話だけど、デカン・トラップとかのトラップはスウェーデン語で階段の意味とあって、驚いた。スウェーデン語由来なんだ(trappaらしい)。

科博の標本・資料でたどる日本の哺乳類学の軌跡

日本館でやってた企画展
哺乳類という訳語は宇田川榕庵
明治から現代まで、日本の哺乳類学者や、科博収蔵コレクションの変遷などが解説されている。予算確保する前にキリン買った人とか。
後半では、様々な標本がその作成方法別に並べられている。『へんなものみっけ!』的な博物館の裏側を見れるような展示で面白かった。一番最後に、標本をしまう収納ケースを並べて収蔵庫を再現した場所があったりしたのもよかった。