『Newton2016年1月号』(特集:高次元)

「特集 高次元」、途中までは知っていることだったけど、後半は知らないことだったし、簡単な言葉で書かれていて分かりやすかった。
あと、はやぶさ2の地球スウィングバイの記事があってタイムリ
あと、兵馬俑の話もあった。

特集 高次元

3次元より大きい次元について
4次元というと、3次元空間+時間次元の4時間時空のことと思われることが多いが、これはアインシュタインが考えた奴。
他に、空間にもう1次元加えた4次元空間というのもある。これに時間を加えると5次元時空になる。
1920年代に、4次元空間を考えた研究者がいて、4次元空間でも理論的には矛盾が起きないことは分かった。そしてこれで重力と電磁気力の統一ができないかと提案したのだけど、この時点ではうまくいかなかった。


高次元について、近年の物理学でまじめに取り上げられるようになった理由は2つ
・重力が弱いことの説明
4つの力のうち、重力は極端に弱い。これが、統一理論の妨げとなっている。
余剰次元があって、重力だけは別の次元にも漏れ出している。だから、3次元空間では重力が弱い、と考えればこれが説明できるのではないか。
超ひも理論
素粒子はめっちゃちいさい弦だという理論。この理論が余剰次元を要求する。
3次元空間のことをブレーンと呼んで、ブレーンにくっついている弦とくっつかなくてもいい弦があって、後者が重力
余剰次元は以前はまじめに取り上げられなかったが、超ひも理論の研究が進むにつれて、余剰次元あってもおかしくない、という方向になった。


重力が弱いことを説明するための理論はいくつかある。
・ADD理論
ルカニハメド、ディモプロス、ドバリが提唱。彼らの頭文字をとってADD。
余剰次元はコンパクト化されていると考えられているが、これが思ってたよりも意外と大きい、というのがADD理論
・RS理論
ランドール、サンドラムによる理論。同じく彼らの頭文字をとって、RS。
重力が弱い空間(ブレーン)と重力が強い空間(ブレーン)を曲がった余剰次元がつないでいる。
どちらも、超ひも理論に影響をうけ、超ひも理論に出てくるブレーンという概念が出てくるが、超ひも理論とは別の理論。


実証実験
重力は弱い。それは、余剰次元に漏れているから。
重力は、距離の二乗則があてはまる。距離が離れるほど弱くなる。では、距離が近づくとどうなるか。実は、距離が短い時(ミリとかマイクロとかそのへんだったはず)にどうなるのかあまりよく分かっていない。
もし、余剰次元よりも小さい距離まで近づいた場合、重力は、距離の二乗則にあてはまらない形で急激に強くなる。
立教大の村田教授→大規模な実験施設を使わずに、実証実験に挑んでいる。インタビューがあったが、余剰次元が意外と大きいADD理論に依拠している。ADD理論は次元の数については中立だが、村田教授の実験の場合は、もしこの世界が5次元空間だった場合、検出できる。もし検出できなくても、これではないということがわかるので、意義がある、とも。
LHCでも、余剰次元を探す実験を行っている。こちらは、どの理論であっても対応できる。
LHCで、マイクロブラックホールができるかも、みたいな話があるが、これは、「もし本当に余剰次元があったら」の場合。LHCのエネルギーでは、ブラックホールができるほど物質を圧縮できない。が、もし余剰次元があった場合、重力が急速に強くなるので、ブラックホールができるほど物質を圧縮できる。

インタビューは、立教の村田教授以外に、LHCに参加してる東大の先生と、CERNの人2人
CERNの人のインタビューで、LHCに対する不安、危険性を訴えるメールが今でもたくさんくるし、これに対して何百通も返信した、とあった。LHCは安全だけど、不安に思う気持ちにはちゃんと向き合わないといけないと。


Newton(ニュートン) 2016年 01 月号 [雑誌]

Newton(ニュートン) 2016年 01 月号 [雑誌]