「ロボット法研究会」設立記念シンポジウム

5月21日に、情報ネットワーク法学会の特別講演会として開かれたシンポジウム
場所は慶應の三田キャンパス
時間は10時〜18時だったけど、自分は13時過ぎ〜17時くらいまでいたので、そのあたりのレポ
主に、パネル1の「ドローンは日本で飛躍できるか?」について

現状の取り組み紹介

午前から午後にかけて7件くらいの発表があったけれど、そのうち「全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
」というのと「自動運転をめぐる現状」を見た。
前者について、ちょっと細かいところだけメモしておくと、
オープン性を、さらに「開放性」と「透明性」に分けていて、透明性についていくつかあげていたけれど、その中に、AIの分散表象はブラックボックス化してしまうという問題があるのでそこが分かるようにすることや、その解釈可能性(AI自身に説明させる)というのを挙げていた。
後者について
自動運転について、政府で、レベル1からレベル4にわけて定義していたというの知らなかった。どのレベルがいつまでに実用化されるか、どのレベルだと誰に責任があるかなども定めているらしい。
総務省の人何人か来てたけど、総務省、というか霞ヶ関の人はどうして1枚のプレゼン資料に文字を詰め込むのか

パネル1 ドローンは日本で飛躍できるか?

司会は、小林正啓弁護士
パネリストは以下の通り。1人1人発表してからディスカッションするという形式ではなく、小林さんから各パネリストにそれぞれ話題が振られて、それに各パネリストが答えていくという形式だった

  • 野波健蔵

千葉大学。98年からドローンを研究し、今はベンチャーも立ち上げて、ドローンの開発や他企業などと連携してドローンのサービスをやってる。工学的面からの話題を提供。

  • 板倉陽一郎

弁護士。ドローンで何か問題が起きた場合の刑事・民事の面からの話題を提供。あと、何かとジョジョとかマンガの話を織りまぜていた。

  • 田原康生

総務省から。電波行政を担当している人。

  • 古谷知之

慶應SFC。統計が専門で観光・交通のデータサイエンスやってる人らしい。このパネルでは、ドローンのビジネス面について話題を提供。

  • 寺田麻佑

国際基督教大学行政法。ドローンの登録制や免許制について話題を提供


ドローンが普及するには、物流分野が鍵
今はまだドローンが飛び回ったりなんてことはしていないけれど、90年代のインターネットのような状況で、これから当たり前のように飛び回る時代がくるはず、と。
ドローンの仕事は大きく分けて3つ
「データをとる」「物を運ぶ」「作業をする」
「データをとる」→インフラの点検や測量など
「物を運ぶ」→2018〜2020頃には物流。Amazonや千葉特区の話の他、楽天(と野波さんの会社)がゴルフ場内でのデリバリーサービスとしてドローンを使っている事例
「作業する」→将来的には建築などにも


ドローンで使う電波については、Wi-FiやVHFを使えるようにしているらしいのだけど、より遠距離で操作するにあたって携帯の電波も使いたいという要望もあって、実験的に使えるような制度を作ろうとしているらしい。ただ、携帯の電波は地上で使う用に基地局配置してるので、空中で使ってどんな影響でるかはまだわからん、と。


HMD使ったドローン操作は何かビジネスにつながりますか、という小林さんからの質問に対して、古谷さんが「HMDといえばドローンレースですよ!」って話をしてたのが面白かった。
【動画】ドバイで開催された「ドローンレース」が美しすぎる件 / 完全に『F-ZERO(エフゼロ)』の世界 | ロケットニュース24
今年の3月にドバイでドローンレースの大会が行われていて、優勝賞金25万ドルで、15歳の少年がいるチームが優勝している。
アラブの王族がお金出してるらしい。
古谷さん曰く、HMD使ったドローン操作は、10代の頃からやった方が熟達が早い。中国・韓国ではドローン人材の育成が始まっていると。「ドローン人材」という言葉も初めて聞いたのだけど、なんかすごい。
板倉さんが、子どもたちにドローンやらせるには、コロコロで連載すれば一発ですよって言ってたw 板倉さんは、「ドローン(による犯罪や攻撃)っていうと自分はジョジョのスタンド(バッドカンパニーやエアロスミス)しか思い浮かばない」などその手のネタを度々話題に挟んで、笑いを生んでいたw


民法によれば、土地の所有権は土地の上下に及ぶ。
航空法施行規則で、ドローンは地上や物件から30メートルの距離をとらなければならない。逆に言えば30メートル上空なら飛んでいい。でも、30メートル上空にはまだ所有権が効いてる。所有権侵害になるか?
→実際に利用を妨げられる場合を除いて損害賠償などの請求は認められないというのが学説。ほかにもドローンがたくさん飛び交うようにならない限りは、所有権で訴えられることはないだろう、と。
この話、あんまり意味は分からなかったんだけど、なんか聞いてて「法学っぽい」と思ったw


ドローンによる違法行為
盗撮とかだけでなく、銃器を載せるとか、そもそも体当たりでもダメージ与えられるので、そういう攻撃とか。
加害者が誰かわからない場合が多そうなので(損害賠償請求できる相手がわからないので)、給付金制度が必要になるかも、とか。
故意ではなく過失による事故に対して、保険制度をどうするか、とか


犯罪・事故等に対しては、登録制や免許制が有効だろう。
アメリカだと、250g以上はすべて登録制になっている。ただ、日本でも同じようにすべて登録制にするのか、特に大きい機体だけ登録制にするのかとか、いろいろどうするかは考えなきゃいけないとこ。
あと、自動車免許みたく点数制にするのか、とか。自動車だと罰金だけど、飛行禁止とかほかの行政罰も考えられるとか。
空路を設定するとか、自動充電スポットを作るとかも考えられる。


自動充電という話にたいして、野波さんから、バッテリ自動交換機というものをすでに開発している、と。
その上に着陸すると、装置の扉が開いてロボットアームがバッテリーを抜き差しするというもの。かっこよかったw
それから、障害物を回避するための自律飛行について
レーザースキャンと3Dマッピングを使って、周囲の障害物を検知して自動で回避して飛ぶ。すでに、福島のイチエフで導入されている。
ただし、時速10〜15kmしかでない。物流分野で実用化するためには、50km/hはほしいとのこと。