『ターナー、光に愛を求めて』

画家ターナーの半生を描いた作品
150分ほどあってそれなりに長い。なんか久しぶりに映画らしい映画を見たなあという感じ、「映画らしい」って何って話だが。
人生の中の様々なエピソードを重ねていった感じで、あらすじは説明しがたい。
ターナーがすぐに不機嫌そうに喉鳴らすのと使用人の女性の存在が、なかなか見るのを辛くするが、まるでターナーの絵そのままかのような風景の映像は美しい。


話としては、父親が死ぬ前と後で大きく分けられるかも
父親はもともと理髪師で、この時はターナーの助手をしていて、絵の具作ったりキャンパス組み立てたりしてる。なんか、すごく仲良い親子。
ターナーは、サラという女性とのあいだに2人の娘がいるのだけど、ターナーは認知していない。で、サラは時々2人の娘を連れてターナーに会いに来て、わーっと責め立てる。ターナーはわりと聞き流してる。
サマーヴィル夫人という女性科学者も訪れる。この人、1回しか登場しなかったけど結構面白かった。プリズムの実験とかをして見せてた。自然科学者って字幕出てたけど、Natural Philosopherって言ってたと思う。ヒューウェル、ほぼほぼ同時代人だけど、まだScientistという言葉できてなかった頃だと思う。
アカデミーの展覧会で、ターナーがパフォーマンス的に最後の仕上げをするシーンもあった。隣にコンスタブルがいて、それにイラついていてるところとかあったけど、コンスタブルはその1回しか出てこなかった。
アカデミーのシーンは他にも画家が沢山出てきていた。コンスタブル以外は知らないけど。ヘイドンという売れない画家が喧嘩しはじめたシーンは結構笑えた。展示する場所が悪いって会長につっかかるんだけど、喧嘩を止めようとした他の画家が「俺の方がもっと奥にあるんだぞ」とか言い始めるあたりw
それから面白かったのラスキン
ラスキン喋りすぎて、ターナーからむしろ疎まれてるじゃねーかってw
ラスキンは両親もなかなかいいキャラしてた
ラスキンターナーを含め何人か画家を自宅に呼んだ時、ターナーを褒めるためにクロード・ロランをdisりはじめる。ターナー含む画家全員から、お前何言ってんのって感じで批難されるのだが、母親が、この子は昔からいいセンスしてるんですよ的なこといいはじめて、ラスキン本人も、母さんいいこというね、我ながらやばいみたいなことを言い始める。
ラスキンとか、あとターナーパトロンとかは、ターナーのことを高く評価しているのだけど、次第に絵から形が失われていく画風の変化に、世間からの評判は悪くなっていく。笑われる対象になっていくし、女王からは汚らしいとか言われてしまう。
その一方でターナーは、海辺の宿の女主人(ソフィア)と親しくなっていく。通い婚みたいな状態。
写真館に自分の肖像写真を撮りに行くシーンとか、カメラにすごく興味津々だったりする。「風景も撮ったりするのか」「ナイアガラの滝を撮ったことがありますよ」「ナイアガラの滝か……一度行ってみたい」という会話しててぐっとくる。
最後は心臓を患って、ソフィアの家で亡くなる。
元々、ターナーの家で働いていた使用人は、ソフィアのことを知らない。で、ターナーが体調を崩してソフィアの家にずっと泊まりこんでしまった頃に、ターナーのことを探しに行って知る。
ターナーが亡くなったあと、ソフィアの笑顔と使用人の絶望的な表情とが対比されて終わるのが辛い