磯崎憲一郎『往古来今』

50歳くらいの男性「私」が自分の人生を回想している連作短編集
(磯崎の「崎」は「大」でなく「立」の方だが、文字化けするのでこっちで)
とはいえ、磯崎作品のことなので、ずっと「私」視点で進むと思ったら大間違いで、むしろ「私」以外の人の人生について書かれている。いつの間にか視点人物が切り替わっていく。
するすると読み進められるんだけど、どんな話だったかと聞かれると困るw


「過去の話」「アメリカ」「見張りの男」「脱走」「恩寵」の5編
「過去の話」は文字通り、「私」の過去の話がいくつか並べられている。
アメリカ」は「私」のアメリカでの話から始まって、シリコンバレーで起業したマシューの話へと切り替わっていく
「見張りの男」は、「私」の小学校時代の友人で、力士になった後地元で郵便配達夫になった男の話が主だが、最後に「私」の話に戻るときに「私」の話なのに人称が「彼」になるというのがなされている。
「脱走」は、「私」が旅館で日雇いで働くという話と山下清の話
「恩寵」は、ハワイへ行った日本移民の話で「私」は出てこない

往古来今

往古来今