上田早夕里「リリエンタールの末裔」『SFマガジン2011年4月号』

『華竜の宮』と同じ世界を舞台にした、全く別の物語。
魚船は出てこないが、背中に鉤腕と呼ばれる腕を持つ人々が出てくる。
鉤腕を持つ民族の一人、チャムは、空を飛ぶことに憧れ、山を下り海上都市へと働きに出る。海上都市ではグライダーが娯楽としてあるが、金持ちにしか許されていない。民族差別もあるなかで、チャムは働き続ける。
ちなみにバングラディシュやインドの水没したあたりに出来た海上都市らしい。
短編小説としては、普通。ストーリー的にはちょっと起伏が足りない感じ。
この世界に奥行きを与えるエピソードの1つ、という感じで、この世界を舞台にした連作短編集とか作って収録してもらいたい。

S-Fマガジン 2011年 04月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2011年 04月号 [雑誌]