『12モンキーズ』

テリー・ギリアム見るのは二作目。なんかとてもディックな世界だなあと思った
ギリアムはディックの映画化はしていないのだろうか。
未来の世界から送り込まれたブルース・ウィリスが、人類滅亡を防ぐために新型ウイルスによるテロをやろうとしている集団12モンキーズを探そうとする、という話なのだが、ブルース・ウィリスは精神病患者扱いされる。
3回目に送られたときに、ウィリス自身が自分は精神病患者で未来から送り込まれたことは妄想だと思い込もうとする。その一方で、彼に妄想だと説いていた精神科医の方が、彼が本当のことを言っていたのだと確信するようになる。この逆転のあたりが非常にディックっぽいっというか、よい感じで、そこでもってヒッチコックの映画を流すというのがまた小憎たらしい演出となっている
まあ結局、ウィリスの妄想ではないのだけど。
しかし、最後のオチも秀逸で、冒頭のフラッシュバックと繋がる、というのはまあ当然として、実はブラピと12モンキーズはミスリードを誘うためのデコイにすぎなかったというか、叙述トリック的なものが仕掛けられていて、ミステリとしても楽しめる趣向だったということが分かる。
っていうか、タイトルが12モンキーズで、パッケージにもブルース・ウィリスvsブラッド・ピットって書いてあるのに、12モンキーズもブラピも犯人じゃないってw
未来の科学者たちであったり、あるいは精神病やら12モンキーズのアジトになってる店やらブルース・ウィリス精神科医が迷い込むホテルであったり、とにかくどの風景も重くて汚れていて、いわゆる未来SF的な白くてピカピカした風景が全然ないのがギリアムっぽくて*1よかった。白くてピカピカしているのは、空港の少年が見ている風景だけなんだよね
ものすごい大ネタがかまされているわけじゃないし、ブラジルほど複雑怪奇というわけではないのだけれど、よい作品だった。
それにしてもこれ、公開当時はどういう感じだったんだろうか。劇場で見てはいないのだけれど、テレビの芸能情報で宣伝されていたのを見た記憶がかすかにある。ブルース・ウィリスとブラピだし、それこそSFサスペンス大作って感じだったような気がするんだけど、そういう感じで見に行くと肩透かしを食らうよな、というか。実際想像していたのとは全然違ったし。まあ実際、SFでサスペンスなわけだけどw

The perfect collection 12 モンキーズ [DVD]

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*1:いや見るの二作目だから何ともいえないけど