前田司郎(新潮)と中原昌也(群像)

『グレート生活アドベンチャー

図書館で読みながら、何度となく吹き出しそうになる。
内容が面白いと言うより、言い回しが笑いを誘う。
逆に言えば、その言い回しの妙以上のものはないように感じる。
しかし、これは悪く言っているのではなくて、そういう文章が書けるっていうのもその作者の力。
30歳にもなって彼女の家でひきこもりニートしていて、働かなくていいのか、いいんじゃねーのという、話の内容とか設定とかはそれほど大したことがないというかどうでもいいというかだが、
その「いいんじゃねーの」というポジティブさを支えるものとして、この文体がうまく機能していたのだと思う。
さらに言えば、この文体(あるいはこのどうでもいい内容もかもしれない)は単なる軽妙さでもポジティブさでもなく、かなりニヒリスティックに一回転した結果としてある。
「こんなこと言っちゃった」って言っちゃった」って言っちゃった」くらいの感じ


はてなキーワードを見たら、役者、演出家で劇団やっているらしい。
本谷有希子とかと同じパターンか、と思うと何か色々納得した。

中原のエッセー

全くもっていつものごとく、作家なんてクソだって話
何も払えなくて、携帯も止まり、家賃も払えなくなったんだけど、取り立ての時家にいなければいいんだということに気付いて(?!)ずっと飲み屋を梯子しているとか。
石原慎太郎の悪口を言った後、3人くらい他の作家も並べていたのだけど、彼らはイニシャル表記でこんな感じになってた→「I.I.(原稿料2万円前借りを条件にイニシャル表記)」
一体誰だったんだろうということも結構気になったんだけど、3人合わせて2万なのか、1人2万×3で6万前借りしたんだろうか、とかそもそもこの2頁のエッセー(??)の原稿料は一体いくらなんだろうか、とか気になった。
いや、実際こんな文章で少なくとも2万ももらえるんだから、どれだけ作家がクソだとしても、そう簡単にはやめられないんじゃないか、と思うな。