”All Yesterdays: Unique and Speculative Views of Dinosaurs and Other Prehistoric Animals”

筆者は、 Darren Naish、John Conway、 C.M. Kosemen
以前読んだDerek D. Turner "Paleoaesthetics and the Practice of Paleontology(美的古生物学と古生物学の実践)" - logical cypher scape2の参考文献に出てきていた本だったので、手に取った。



Paleoart(復元画)についての本で、筆者のうち2名はアーティスト・イラストレイターである。
サブタイトルに、ユニーク&スペキュレイティブ・ビューとあるように、少し変わった見方を紹介している。
恐竜や古生物についてデータがあるのは化石が全てであり、基本的には骨である。
骨の長さなどは分かるが、皮膚がどのようになっているかなどは分からない。
作者は、そこにスペキュレイティブの余地があって、データとスペキュレイティブの両面から復元画が描かれるというようなことを述べている。
もちろんこれは何でもあり、という話ではなくて、データに基づいて、また現生の動物を参考にしながら仮説がつくられていくことになる。
本書の面白いところは、All YesterdaysとAll Todaysの二部構成になっているところで、前半では、恐竜や恐竜と同じ時代の古生物について個々の種について紹介されていくのに対して、後半では、現生の動物について、恐竜と同じ方法で(未来の古生物学者からの視点で)仮説とイラストが作られている。
実際の動物を知ってる身からすると、かなり奇妙な仮説や見た目が登場するのだが、恐竜でもこれと同様の推測がされていることがあるのだということと併せて述べられていて、古生物学の難しさと面白さが伝わってくる。


カルノタウルスの小さな手がディスプレイに使われていたのではないかとか
小型翼竜を捕食するでかいムカデとか
泥遊びするカマラサウルスとか
(表紙にも使われている)木登りするプロトケラトプスとか


逆に現生動物だと、ネコとかカバとかサイとかクモザルとかの、なかなか不気味でインパクトのある「復元画」が続き、未来の古生物学者による説明が付されていたりする
首が水平に伸びて動かないウサギとか、毒腺のあるヒヒとか、吸血ハチドリとか、実際の動物を知ってると何だそれは、という復元なのだが、これらは恐竜に対して実際にそのような仮説が言われたことがあって、それを適用してみたもの
あと、鼻も耳もない象とか、やけにほっそりした姿のクジラとかも