2015年振り返り

今年は、このブログとしては10周年の節目を迎えたというのが、大きな出来事といえば大きな出来事だけど、特にこれといって何かがあったわけでもない。
10周年 - logical cypher scape
あんまりブログには関係してないけど、自分として大きな出来事は、GWにパリ・ロンドン旅行、10月の連休に福井旅行へ行ったこと。
どちらの旅行もミュージアム巡りの比重が大きかった。最近、幼い頃の恐竜好きがぶり返しているので、ロンドン自然史博物館と福井県立恐竜博物館に行けたのはとてもよかった。

読書

冊数でいうと54
昨年が67だったので、まあわりと減ってしまったが、洋書については1冊から2冊に増えたので、まあいいことにしよう*1。去年は目標70冊としていたが、今年は目標なしだったということもある。
英語では分析美学を読みつつ、日本語では哲学はほとんどなく、古生物学・生物学関係の本が多め、小説はSFが多め。
(去年の年末に進化論・古生物関係を読みたいと言っていたので、ある程度それに応えているかな。多分、読もうと想定していた本読めてないけど。)
来年はまた哲学関係の本も読んでいきたい。今年ほとんど読めてないので、科学哲学、心の哲学形而上学あたりで読みたい本がたまっている。今年同様、美学関係の洋書もがんばりたいし、古生物学、進化論関係も読みたいが。
小説は25冊
ビブリア、テスタメント、エルピスといったラノベを読んでいる。まあ、ラノベ本道のラノベではないけど、シリーズものを読むというのは結構久しぶりかもしれない。
まあ、大体はSFで、去年と大まかな傾向は一緒。

面白かった本
  • 土屋健の黒い本シリーズ

土屋健『エディアカラ紀・カンブリア紀の生物』 - logical cypher scape
土屋健『オルドビス紀・シルル紀の生物』 - logical cypher scape
土屋健『デボン紀の生物』 - logical cypher scape
土屋健『石炭紀・ペルム紀の生物』 - logical cypher scape
土屋健『三畳紀の生物』 - logical cypher scape
土屋健『ジュラ紀の生物』 - logical cypher scape
土屋健『白亜紀の生物』 - logical cypher scape
装丁からしてかっこいいですし、写真いっぱい載ってますし、勉強になりますし
古生物に少しでも興味がある人は、手にとってみて損することなしなシリーズ
あ、正式名称は、生物ミステリーPROシリーズですが、通称黒い本ですw
新生代編も楽しみ

  • 形態学

倉谷滋『形態学 形づくりにみる動物進化のシナリオ』 - logical cypher scape
ゲーテから始まり、進化発生生物学(エヴォデヴォ)まで
発生生物学って今まであまり興味がなかったけど、進化とも分子生物学とも繋がっていて、とても面白かった。
新書サイズの本だけれど、とてもそうは思えない程、内容が濃い。
動物の共通項を探求する話で、形態的な話から共通祖先の話となっていく。

  • 多数決を疑う

坂井豊貴『多数決を疑う――社会的選択理論とは何か』 - logical cypher scape
多数の意見を集約するためには、どのようなルールをどのような基準で考えればいいか。
コンドルセパラドックスやアローの不可能性定理など、民主制にまつわる問題についての解決策が提案されている。
よりよい民主主義を技術的な課題として捉える、という本。

  • 生命の星の条件を探る

阿部豊『生命の星の条件を探る』 - logical cypher scape
今年もなおアストロバイオロジーが熱い
惑星環境をシミュレーションして、タイトル通り、どんな惑星がハビタブルかという条件を探っていく。
液体の水が必要だ、というのは昔からよく言われていることだけれど、水さえあればいいのか、どれくらいあればいいのかという話がなされる。
気候を維持したりするのに、大陸が必要だろう、と。

面白かった本(小説)

オキシタケヒコ『波の手紙が響くとき』 - logical cypher scape
オキシタケヒコ『筺底のエルピス 絶滅前線』 - logical cypher scape
オキシタケヒコ『筺底のエルピス2 夏の終わり』 - logical cypher scape
一つは、武佐音研に持ち込まれる事件を音響工学で解決する、音響SF連作短編
ミステリ風のプロットも面白いが、最終話に至って、それまでの話がすべて繋がって、壮大なSFネタにつながっていく様も見事。
もう一つは、伝奇SFライトノベルシリーズ
能力バトルものだが、それぞれの能力に課せられた制限が、バトルシーンを盛り上げる。
こちらも当然ながら、がっつりとしたSFネタが織り込まれている。

  • 汝、コンピュータの夢

ジョン・ヴァーリィ『汝、コンピュータの夢(〈八世界〉全短編1)』 - logical cypher scape
〈八世界〉という世界観のもとに書かれた短編をまとめたもの
1970年代のSFだが、太陽系各所の美しい風景と性転換などの身体改造が当然となった未来社会の描写は今もなお楽しめる。また、ヴァーリィはSF設定をいたずらに説明することなく、ドラマを展開させていく。それは青春小説であったり、遠距離恋愛ものだったり、ミステリだったりして、SFということを気負わずに読めるものになっているが、SF要素とドラマが絡み合って新しい世界を垣間見せてくれるところがまた面白い。

  • 私の恋人

上田岳弘『私の恋人』 - logical cypher scape
三島賞受賞作品ということで、まああえてジャンル分けするなら純文学ということになるだろうが、だいぶSFマインドもあわせもった作品
天才クロマニョン人の生まれ変わりである「私」と、「私の恋人」(と勝手に「私」が思い定めている)であり「行き止まりの人類の旅」と称して世界を旅した女性との話。
時間的にも空間的にも人類全体を射程におさめようとしている点がSF的だが、それをSF的な仕掛けよりは語りで展開する点は純文学的か。

  • エピローグ

円城塔『エピローグ』 - logical cypher scape
円城塔の長編SF
多宇宙をまたにかけて、連続殺人事件と人類の存亡をかけた戦いと物語を巡るメタフィクションが展開されるラブストーリーストーリー
なんだそれはという感じだが、読めば分かる。

  • 火星の人

アンディ・ウィアー『火星の人』 - logical cypher scape
これ、読み終わったのが1月1日なので、実際に読んでいたのはほぼ2014年なんだけど、まあ2016年には映画が公開されることもあるし、2015年に読んだ面白い本として改めてあげておきたい。
いかなる時もユーモアを忘れない主人公による火星サバイバル

ホッテントリ
  • 『面白さの研究』

都留泰作『〈面白さ〉の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』 - logical cypher scape
文化人類学者にしてマンガ家である筆者が、『スターウォーズ』や宮粼アニメや『進撃の巨人』などの面白さを考察する

  • 『美術の物語』

E.H.ゴンブリッチ『美術の物語』 - logical cypher scape
全世界的に読み継がれているロングセラー
まさに名著という感じ

映画

映画全然見てない。
今年は明らかに映画の当たり年だったと思うのだけど、実写で見たの、「ターナー」くらいだ。
他にも見たい作品あったけど、結局映画館に行ってなかった。
あと、飛行機の中でいくつか見た。そう、飛行機の中で、一応「キングスマン」見てるんだけど、まだ日本語版になってなくて、とばしながら見てたので、あまり「見た」とはいえない。飛行機の中で見たので、まあ一応「見た」と言えるのは「イミテーションゲーム」くらいか。

映画見てないとはいうものの、アニメ映画はそれなりにいくつか見ており、映画館には行っている。とはいえ、こちらも今年は話題の劇場版オリジナル作品もあったはずだけど全然見ていなくて、見たのは、TVシリーズの劇場版だけ。
具体的には、「境界の彼方」「アイカツ!」「Wake up, Girls!」「ガールズ&パンツァー

ミュージアム関係

マグリット展、ブリヂストンベスト展、ルーブル展、マンガアニメゲーム展、生命大躍進展
あとはまあ、今年はGWのパリ・ロンドンと10月連休の福井が大きい
連休中の出来事 - logical cypher scape
福井県立恐竜博物館への旅行 - logical cypher scape


まあ、こんな感じ
こんなブログに今年もお付き合いいただいたみなさま、ありがとうございます。
よいお年を
来年もよろしくお願いします

*1:洋書1冊で和書10冊分かというとどうかという点はあるが細かいことは気にしない