ブライアン・オールディス『寄港地のない船』

年末ギリギリに読み終わったので、とりあえず記録用に短めに
恒星間飛行するために、乗組員が何世代にも渡って乗船することになっている宇宙船を舞台に、文明が退化してしまった人類が、自分たちについての真実を知ることになるまでの物語

1958年に発表された作品だが初邦訳
早川でも創元でも河出でもなく、竹書房。自分が知らないだけでSFレーベルあったんかと思ったけど、ほかにSFはでてないっぽい(映画のノベライズとかはあるけど)

第一部はやや退屈なのだけど、船内での冒険が始まる第2部以降、がぜん面白くなった
船内は植物が繁茂して、それぞれのコンパートメントごとに交流が途絶え、独特の「教え」や伝承などがはびこっている。
これは一体なんのことかなと想像しながら読むのも楽しい。
主人公のコンプレインは、インチキ司祭マラッパーに声をかけられ、「司令室」を探す旅へと出ることになる。5人で旅するあたりは、なんかちょっと指輪物語冒頭を思い出す。マラッパーが、ガンダルフっぽいんだと思う。なんかよくわからんことを言いながら旅に連れ出すあたり。まあ、ガンダルフは本当に賢者なのに対して、マラッパーは違うけどw

この船の置かれた絶望的な状況がだんだん明らかになってくる後半は、マジかよ……ってなる
それとともに、船内では抗争が激化してカオスっていく
船内でなんとか保たれていた秩序が崩れていく。