トリノ男子モーグル

ついに、トリノ五輪最大のイベント、男子モーグルのときがやってきました!
サミ・ムストネンが残念ながら予選落ち。
また、日本では附田、尾崎も予選落ちし上野のみ決勝へ。
地元ということもあってか、イタリア勢が5人もエントリしていましたが、うち4人は予選落ち。イタリアはまだまだターンに向上の余地ありです。
また、デイルの兄、ジェイソン・ベッグスミスも予選落ち。
決勝は非常にアグレッシブかつ高得点のでる戦いとなりました。
決勝2人目、ヤンネの弟ユッソがフルツイストとコークでエア点6.09を叩き出し24.42。いきなりの高得点に一気に沸き立ちます。
4人目、スウェーデンの選手はCMが入ってリプレイすら見れませんでした。選手に対して失礼ですよね。
今年は、デイルを含めオーストラリア勢が伸張。デイルと共に残ったニック・フィッシャーも23.39を出して12位です。オーストラリアの特徴は、非常にターンが安定した正確なものであることでしょう。ただその代わりにスピードやエアの難易度を犠牲にしている部分があると思います。
日本勢唯一の決勝進出、上野は720を決めた後、ミドルで後傾となり跳ねるような滑りに。第2エアでコークするもランディングでタッチダウン。完全に失敗で20位に沈みました。
続いてフランス、ピエール・オキシ。ホーム・イタリアに負けず劣らずの大声援。フランスからの客が多かったようです。ミドルの途中で乱れ、第2エアバックフリップのランディングでもタッチダウンしてしまいました。
予選13位通過は、ミッコ・ロンカイネン。
第1エアは720、第2エアはコーク。そして何よりも速い!膝が次々とこぶを吸収し、高速で駆け降りていく。タイムは21.87!セットタイム(斜面の距離から割り出した基準タイム)は23秒台。決勝20人中3番目の速さ。26.62の高得点を叩き出し、暫定1位。
ここでのミッコの快走に観客(つまり俺)大興奮!さらに上位選手への見事なプレッシャー!!後続の選手は、アグレッシブな滑りが続き今大会をハイレベルなものへとしていきます。
つづくドイツ、クリストフはアグレッシブな滑りとクワッドツイスターを見せるものの、スピードの遅さとエアに3Dがなかったために点数は伸びず。
そして次は、アレクサンドル・ビロドー!
と思った時にCM。これはありえません。女子モーグル決勝前半、日テレのCMの頻度の多さも大ブーイングものでしたが、これはそれ以上にひどいCMの入れ方。よりにもよってビロドーでCM?!今回、放送に関しては、カメラワークも含めて、反省してほしいことが多いです。
彼のシグネチャーエアである、ダブルフルツイストとD1080は、かろうじてスローモーションで見ることが出来ましたが……。
しかし、次はわれらが王者、ヤンネ・ラハテラ!とにかく速い。このスピードは誰にも真似できない。そして、ゆっくり大きく回転するバックフリップ。しかし第2エア、コークのランディングで後傾となってしまい点数は伸び悩む(弟に負ける結果に)。とはいえ、このランディングのミスは、一重にヤンネが遠くまで飛びすぎたせいだと考えると、それはそれでヤンネらしい。タイムは21.29で20人中トップ。
カナダ、クリス・ウォンはグラブヘリに挑戦するも掴みきれず。第2エアまではアグレッシブで見事な滑りを見せていただけに残念。高く飛びすぎて焦り、手を伸ばすのが早すぎたのかもしれない。
モーグルでは無名の国スウェーデンが、女子サラに続き男子にも刺客を送り込んできた。その名もJesperBjoernlund。最初のセクションは遅かったが、ミドルからは速度にものりターンも安定。25.21で2位へと躍り出る。
つづくトラビス・メイヤーは、上体の姿勢がすばらしい。1エアではフルツイスト。2エアの720は上体がしっかり固定され、ゆっくりと回る720.
さらにアメリカが続き、トビー・ドーソン。エアはグラブ720とコークで6.50を決め、タイムは22.47の速さ(最初の1,2個目のこぶはターンせずに越えていった気が)。さらにトップが真っ直ぐ下を向き続ける、非常に攻撃的な滑り。二人目の26点台!
さすがは「韓流の虎(byゴンちゃん)」!!
フランス、ギルバート・コラの1エアはグラブ・サイドフリップ。グラブは非常に見事に掴んでいたが、このサイドフリップは軸の判定が厳しいらしい。ミドルでアグレッシブに滑り21.68という20人中2位のタイムを出すも、コークのランディングでミスをし10位。
ジェレミー・ブルームは高い720とDスピンをするも、どちらもエア後のターンが乱れてしまっている。今季の調子の悪さを五輪までによくすることはできなかったようだ。
カナダ、マークアンドレ・モローはフルツイストとコークで6.30のエア点を出し、さらにターンもノーミスといえる完璧なものであったが、ターンの確実さが逆にスピードを遅くしてしまった。
予選2位突破のトラビス・キャブローはこいでスタート、最初のセクションがスピードを稼ごうとします。720でテールグラブを入れようとしてミス。第2エアのコーク後もランディングで乱れ、スピードも23秒台と伸びず9位と沈みました。
そして、最後、予選1位突破。今季絶好調のデイル・ベッグスミス!「着地後の処理が一番うまい」選手とはゴンちゃんこと三浦豪太の弁。事実、ランディングが非常に上手く、着地後ほとんど何の乱れも大きな動作もなく次のターンへと入っていく。また、ひざの動きがよくターンも乱れない美しいもの。26.77で堂々の金メダル。
終了後のハイライトで「世界最高の“エア”」というキャプションが出てましたが、それは見当外れというもの。デイルのエアの完成度は確かに高いが、彼への評価はターンの安定性とトータルな完成度にこそなされるものだろう。
だけど、人をより興奮させるのは、ターンが多少荒くてもエアで一発勝負かけてくる奴とかだったりするわけです
安定した滑りで記録を残すか、アグレッシブな滑りで記憶に残るか
金デイル・ベッグスミス(AUS)
銀ミッコ・ロンカイネン(FIN)
銅トビー・ドーソン(USA)
この3人の中では、デイルが一番背が高かったなあ。
まあそれはともかくとして、ミッコとトビーは僕の非常に好きな選手で、また以前より(ソルトレークの前から)メダルが待望されていた選手であっただけに、喜びひとしおです。ミッコの滑りを見たときは、もう興奮しきりでした。これだからフィンランドファンはやめられない!(笑)
男子モーグルリザルト(エクセルファイル)